【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「周知」

「中心」*玲央

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 ふと、時計を見ると、22時半を過ぎていた。
 
 結構長く居たな。
 ――――……最初は優月を隣に座らせたけど、その後は離れて。
 一旦外で、触ってキスしまくったけど。

 よくもずーっとこんなに楽しそうにしてられるものだなと、周りを眺める。
 特に稔と勇紀はずーっと同じテンション。ある意味すげーけど。

 で、優月はそこまでのテンションじゃないけど、なんだかポワポワとしたまま、それでも何となくあのテンションに巻き込まれるというよりは、自分の感じは保ったままで、なんだかとても楽しそうに笑ってる。

 ……可愛い。

 とか。思いながら、見ていると。
 隣で颯也が、笑い出した。

「あ? 何?」
「――――……お前が優月を見る目ってさー」
「……何」

「何て言うんだろ。……そんなに、好きか?って、聞きたくなるっつーか」
「――――……」

「もう好きでしょうがないんだろうなーと、ツッコミたくなるっつーか」

 口元を軽く握った手で押さえて笑いながら、そんな事を言ってくる。


「まさか、そんな類の事をお前に思う日が来るとは思わなかった」
「――――……つか、オレそんな顔してるか?」
「してる」

 稔に言われるなら、してねーと言い返すのだけど。
 颯也は冗談じゃなく、そう思ってるんだろうなと思ってしまい、特に反論が出てこない。


「まあ……オレはすげー良かったなと思ってるけど」
「良かった?」

「だってお前、元はちゃんと付き合おうとしてたじゃん。昔さ」
「――――……」

 まあ確かに。最初の頃は、ちゃんと恋人、作ってた。

「すげー遊び人ぽい見た目ではあったけどさ、昔から」
「るせ」

 ツッコむと、颯也がクスクス笑う。

「……見た目に反して、ちゃんと誰かと付き合おうとする奴なんだなーと思ってたのに、なんか段々おかしくなってってさ」
「――――……」

「遊んでたけど、でも別にそれが心から楽しいとは思っていなそうな感じでさ。なんかむしろ、全部めんどくせーって、なってたような……」
「――――……」

「なのに、書く曲は一途なのとかも書くし、ほんとはこっちなんじゃねえのかなと思ってたからさ」

 そんな風にそこ、つっこまれると、なんか、すげー恥ずかしい気がする。

「だから、一途になっても応えてくれて、穏やかに居られる相手が出来て、ほんと良かったなーと、オレは思ってンだよな」

「――――……お前、ハズい」

 言うと、そーだな、と颯也が苦笑い。
 颯也の隣で黙ってた甲斐も、オレをまっすぐ見て。

「でも、オレもそー思う」

 そう言って笑う。

「なんか、オレも誰か1人に決めようかなーと、ちょっと思う位。最近の玲央は楽しそうに見えるしな」

 甲斐がそう言うと、颯也は真顔で甲斐を見つめて、「お前も早くそーしろよ」と一言。はいはい、と甲斐が苦笑してる。


 何だかなあ。

 ……もう面倒だと思って楽しく遊んでたつもりが。
 そんな風に周りにも思わせていたのかと思うと、何だか複雑だけど。



 視線の先で、楽しそうな優月を見てると不思議な気分になる。

 少し前では、こいつらとの空間にも存在してなかったし。
 オレの世界のどこにも、全く居なかったのに。


 今は、オレの世界全部の、一番中心に居るって。
 ほんと不思議ではある。


  
 
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