【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「周知」

「人って」*玲央

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 バスルームから出てきた優月は、ほこほこしてて、可愛い。

 細い首筋にキスしたい。とか。朝から思ってしまうけど。
 なんかまだ、顔がというか、口もとが、ぷっくりしてる。ちょっと困ってるみたいな顔。……可愛い。

 オレは先に席に座って、コーヒーを飲んでいたのだけれど。優月のその様子に、ぷ、と笑ってしまうと。

「ね、玲央。さっきの続き、話してもいい?」
「ん。いーよ」

 優月は、オレの隣に座って、じっとオレを見つめてくる。

「玲央もね、夜一緒に起きてるのに……ていうか、オレの事、拭いてくれたりしてオレより遅いのに、朝起きてるでしょ」
「……まあそーだけど」

「いつもスマホ置いたままベッドに行っちゃうから、今日から、目覚まし、セットしてもいい? オレも一緒に起きたい。ご飯の用意一緒にしたいし」

 優月は、そう言って、テーブルの上の料理をじっと見ている。

 まあ分かるんだけど。言いたいことは。
 んでもなあ。


「優月」

 ふに、と、まだ暖かい優月の頬に触れる。

「オレ、お前と食べるもの作るの、全然苦じゃないし。むしろ、楽しいくらいだし。……でもって、夜の疲れるのは、多分お前のが疲れる、と思うんだよな」

 優月が、面白い位に真っ赤になるのを見てると。
 なんだかもう、可愛くてたまらなくなる。


「シャワー浴びたての優月、隣に置いてご飯食べるのが、結構幸せなんだけど。……ダメ?」

 じっと見つめて、そう言うと。
 めちゃくちゃドキドキしてますって顔して。
 瞬きパチパチして。

「だめ、とかじゃ、ない……けど……」

 頬から項に手を滑らせて、優月を引き寄せる。
 唇を重ねて、そのまま至近距離で見つめると。


 まっすぐな大きな瞳が、可愛くて。
 ちゅ、と瞼にキスして。



「まだ優月、ああいうことに慣れてないし。いつも、落ちるみたいに寝るだろ。……その内慣れて、自然と目が覚めるようになったら、一緒に起きる。ていうんでいい?」
「……玲央、それでいいの?」

 むー、と困ったみたいな顔で聞いてくるけれど。

「それが、いい」

 はっきりそう言って、すりすり頬に触れると。


「――――……分かった。なるべく自然と起きれるように……早くなるね?」

 その言葉には、苦笑いが浮かぶ。

 優月がそうするために、オレがすべきことは。
 なるべく負担かけないように抱いて、なるべく早めに寝かせてやればいいんだろうけど。……できる自信が無い。


「いいよ。ゆっくりで。オレ、お前がすやすや寝てんのも可愛すぎるし、寝起きも可愛いし、全部ずっとそのままでいい位だから」
「――――……」

 もはやよく分からない、と言う感じの表情でオレを見て、優月がちょっと困ってる。

「とりあえず、食べようぜ?」
「あ、うん」

 くる、と前を向いて、優月が頂きますと手を合わせてる。


「美味し、スクランブルエッグ」
「だろ」

 めちゃくちゃ嬉しそうに笑う優月に、ふ、と笑んでしまう。


「朝、起きれない内は、オレに世話されててくれたらいいし」
「……ありがと」

「夜は、その分付き合えよな」

 また赤くなるのかなあと、ちょっとイタズラ心でそう言うと。
 案の定恥ずかしそうな顔をして、でも、こくこく、と頷いてる。


「……ほんと、かわいーな」

 よしよし、と撫でてやると、恥ずかしそうなまま、でも、嬉しそうに、ふわふわと、笑う。



 朝から、ずーっと可愛いぞ。
 ……何だこれ。ほんとに。



 よく考えたら、すやすや寝て、息してるだけで可愛いからな……。

 ――――……人って、こんなに可愛いんだな。







(2022/6/8)

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