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◇同居までのetc
「可愛いっていつまで」*玲央
しおりを挟む――――……よし、と。
たくさん鳴いて、気を失うみたいに眠った優月をタオルで清めて、ふ、と息をついた。
さっぱりしたのか、優月は、スヤスヤ眠ってる。
――――……ヤバかったな。今日。
可愛すぎて、ほんと。手加減ができないって、どんだけだ。
……て、いつもか。
最近毎日、同じこと思ってるな。
すやすや眠っている優月の髪にそっと触れる。
……可愛い。めちゃくちゃ。
何な訳、この可愛い感じ。
くす、と笑みがこぼれてしまう。
『……れ、お……へん、になっちゃ……んん……ン……っ』
最後の方に、そんな風に言って、首を振ってた優月をふと思い出して。
乱れてる時と、今のすやすやの寝顔のギャップに、やばいくらい、惹かれてんな、オレ。なんて、思う。
抱いてる時の優月は、エロい。としか言いようがない。
いい意味で、素直。
まあ素直なのはいつもだけど。
……気持ち良いことに素直で。
たまに声を我慢してたりしてるけど、反応はめちゃくちゃ素直で隠さない。
イっちゃう、とか。
……普段の優月見てたら、絶対言いそうに無い言葉だと思うけど。
多分最初の頃、「イく時は言って」って言ってたからな気がするけど。意外と素直に、口にする。
すぐ泣いて、真っ赤になって、なのに素直で。
……可愛すぎる。
あー……。なんか。また触れたくなってくる。
こんな可愛く寝てるので、襲いはしないけど。
……ん、オレ、相当ヤバいな。
何か、目が冴えて、眠れない。
目が冴えてなんだか、また興奮しかけてるんだか。
自分に苦笑いが浮かぶ。
「――――……」
拭いていたタオルを持って、立ち上がり、部屋を出た。
洗濯機に入れて、予約のボタンを押す。
キッチンで冷蔵庫の中から、水のペットボトルを出してソファに腰かけて、窓から暗い空を見上げた。
「――――……」
誰かと、住むとか。
誰かと、ずっと居るとか。
そんなこと、自分がするなんて、考えたことも、無かった。
つか。ほんと。我ながら、おかしい。
朝から晩まで、優月のことを考えて、優月と一緒に、何かしてる。
学校では別だし、お互い他の奴といる時間も多いけど、その間も忘れてる訳じゃない。今頃どうしてるかな、という気持ちがすぐ浮かぶ。
……それだけだって、人生初。
可愛くてたまんなくて、胸が締め付けられるみたいに感じるのも。
可愛すぎて、ほんと、どうしてやろうかなとか、思ってしまうのも。
未知すぎて、思った瞬間に、よく分からなくなる。
できることは、撫でたりキスしたり。抱き締めたり。
それくらいしか、結局することはないしな……。
優月が可愛い。
これっていつまでそう思うんだろうか。
顔が綺麗な奴とかは居たけど、全部が可愛いとか、こんな風に思う事が無かったから、これが続く気持ちなのかが全く未知。
そのうち慣れて、可愛いとか思わなくなるのか?
……いまんとこ、そんな気配はねーけど。
――――……つか。
なんにしても、優月のことしか、考えてねーな、オレ……。
初めてすぎて、よくわかんね。
月を見上げながら、ふ、と息をついて、水を口にした。
随分乾いていたみたいで、沁み込む気がする。
――――……優月も喉、乾いてるよな。
喘ぎっぱなしだったし。
ふ、と口元が緩んで。それに気づいて、また笑ってるし、と自分に突っ込む。
水を持ったまま寝室に戻ると、優月はさっきのまま、動いていない。
……まあ。めちゃくちゃした後はいつも、まったく動かずスヤスヤ寝てる気がする。動けない、が正しいのか。
口に少し水を含んで、口移しでうまく飲ませる。
ん、と優月が声を出す。
何度か飲ませて。それでも目覚めないけど。
――――……少しは潤ったかなと、思いつつ。
水は無しで、ゆっくりキスして、舌に触れる。
「……んん……」
鼻にかかったみたいな甘い吐息が抜けていって。
――――……めちゃくちゃ、可愛いなと感じてしまう。
これ、やっぱ、ずっと可愛いかも。
息ひとつでこんなに、愛しいとか。もうどうしようかな、ほんと。
寝てる優月の邪魔になるかなと思いつつ。
抱き寄せて、よしよし撫でながら。眠くなるまでの時間を過ごした。
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