【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇希生さんちへ

「びっくりだけど」*優月

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 オレが車が止まった目の前にある門の大きさと、奥に続いてる敷地の広さに、ほけー、と固まっていると。
 車を降りて、インターホンで玲央が何かを言ってる。自動で門が開いて、また玲央が車に戻って、奥まで進む。

 門から、駐車場までが長い。
 ……お家っていうのかな、これ。

 玲央のお家の敷地の中に、希生さんのお家が建ってて……って言ってたよね。
 玲央が、車庫みたいなところに車を止めて、「下りていいよ」というまで、オレは、ただただぽけー。と。きょろきょろ。

 シートベルトを外して、車を降りる。
 全然詳しくないので車種はよく分からないけど高そうな車が、並んでる。

「……玲央?」
「ん?」

 玲央が買い物したものを後ろから出しながら、オレをふと見つめる。

「なんかオレ……大きいんだろうなーとは思っていたんだけど……」
「ん」

「予想以上過ぎて……」
「……ん?」

 ぷ、と笑いながら玲央がオレに近づいてくる。

「まあ……デカいか、敷地は。びっくりした?」

 よしよし、と頭を撫でられる。

「敷地はっていうか……門までこんなに遠いって、あるの? もうびっくり」
「まあ別にオレが建てたんじゃないしな」
「そうだけど……玲央は、一人暮らしするまでここに住んでたの?」
「そうだよ。あっちの屋敷が住んでた方」

 結構離れた所に見える、大きなお屋敷……。
 あれ絶対、近くに立ったら、びっくりするやつだー。
 お城かな??


「んで、こっちがじいちゃんち。おいで」

 背に手が置かれて、そのまま、一緒に歩き出す。
 向かう先の建物も大きいんだけど……でも、二階建てなのでまだいける。
 ……いけるって何?と自分で面白くなりながら、玲央を見上げる。

「なんか、玲央って、ほんとに、すごいお坊ちゃまなんだなって思った」
「……嫌?」
「嫌……? とかじゃなくて……うーん。すごい?」

 言うと、玲央は、目をぱちくりして、オレを見つめる。

「なんかテレビの中とかさ、物語の中に入ったみたい。中に入るの楽しみ」
「ぁ、そっちか」

 玲央はクスクス笑う。

「こんな身分違いの恋なんてーって言われるかと思った」
「あ、ちょっとは思うよ?」
「思うの?」
「玲央は、時が時なら、若様とかさ、なんかそういうのなんじゃないかなって……」
「それは良く分かんないけど」

 玲央が楽しそうにクスクス笑ってオレを見つめる。

「お殿様……?」
「もっと分かんない」

 クスクス笑って、玲央が、オレの頬に触れる。

「家でかくても小さくても、オレはオレだし」
「……」

 うん、と頷く。

「知ってる。玲央は玲央だよね」

 そう言うと、玲央はなんだかとってもとっても嬉しそうに微笑む。
 なんだかとっても、愛しく思えて、ふふ、と笑みながら。
 玲央が頬に触れてる手に、すり、と頬を寄せると。

「――――……あーかわいぃな。ほんと」

 真面目な顔してオレを見つめて、そのまま顔を傾けてくる。
 ちゅ、とキスされて、あれ、ここって、誰も来ないの?と思った瞬間。


「……言われて、迎えに来てやったんだけど、お前ら……」

 見なくても分かる。

 ……蒼くんの、ちょっと呆れたような。
 でもなんか、笑いを含んだ声。


 う。うわ。
 ……これはちょっと…………最悪かも。ひえー……。
 蒼くんにキスされてるとこ見られた―。

 よかった、せめてオレの後頭部側が蒼くんで。
 いや、全然良くないよー。






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