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捕食する瞳
事情聴取
「ほら、みんな落ち着いて席に着け!」
「先生、由美は? 竹原さんは助かったんですか?」
「……救急車の中で、息を引き取ったそうだ。今、担任の町田先生が、ご両親の到着を待ちながら病院で付いていらっしゃる」
息を引き取った。その言葉に教室中が一瞬シンとして、それからざわざわと騒がしくなった。
「竹原が屋上から落ちる寸前に、誰かと揉めているのを見たと証言している生徒もいる。警察にも通報したので、これからこのクラスは事情聴取を受ける事になるだろう。みんなも気づいた事や知っている事があれば、竹原の為にも包み隠さず本当の事を言うように。分かったな。……ああ、それと、スクールカウンセラーの先生もお願いしているから。早ければ明後日あたりには来てくれると思う。もし辛いと思ったり、話を聞いて欲しいと思う場合は遠慮なく申し出てくれ」
柴田先生は皆に言い含めるようにそう言って、「今日は自習だ」と椅子に腰かけた。
ちらっと沙良を窺うと、青い顔をして両手を握りしめている。大石君は目を伏せて心なしか下を向いている。
心臓がぎゅうっと痛くなった。
それから1時間くらい経ったころに警察官が2人やってきて、1人ずつ聴取されることになった。
出席番号順に男子から始まる。
2階の端っこに空き教室があったので、1人1人呼ばれる事になった。
「ねえ、沙良がやったのかな」
真奈美が小さな声でつぶやくように聞く。
「真奈美……」
「だって、どう考えてもおかしいでしょ。朝の8時に屋上に呼び出して、自分は知らないみたいな言い方。あれ、絶対いづみのことハメようとしたとしか考えられないよ」
真奈美の言葉に唇をかむ。
沙良はそれほどまでにあたしが憎くて邪魔だったってことだ。そして、それほどまでに大石君のことが好きだったって事なんだ。
「大丈夫だよ。堂々としてて。大石君だって、一緒に居たって証言してくれたんだから」
「…………」
「いづみ?」
「あ、うん。そうだね……」
「しっかりしなよ。事情聴取の時は、ちゃんと沙良に呼び出されたことも言わなきゃダメだよ」
「そう……だね」
今までの流れで考えると、沙良が由美を突き落としたと考えて間違いはないような気がする。そして沙良の態度からも、それをあたしに被せようとしている事は間違いないだろう。
でも、それを自分が証言しないといけないのかと思うと、凄く複雑な気分だった。
そしてもう一つ複雑なのは……。
「あ、大石、聴取すんだのか?」
「ああ。次は加藤、来てくれって」
「……おう」
大石君が席に着くと、まだ聴取を受けていないみんながどういう事を聞かれたのか教えて貰おうと集まってきた。
そこから漏れ聞こえてくる声は、沙良が主張していた事やあたしの反応、それに対する大石君のフォローなどを既に伝えていた人がいたようで、それについて大石君も答えたと話していた。
ふうっと細く長い息を吐き、目を瞑る。
大石君の嘘はあたしに余計な疑いがかかるのを心配してくれての事。
そうは思っても、それが最善の策だとしても、気持ちが重くなるのはどうしようもなかった。
そして……、あの長い髪。異常な身体能力。
もうよそう……。
今はもう余分な事は考えたくない。
あたしは両手で顔を覆い、肘をついた。
「先生、由美は? 竹原さんは助かったんですか?」
「……救急車の中で、息を引き取ったそうだ。今、担任の町田先生が、ご両親の到着を待ちながら病院で付いていらっしゃる」
息を引き取った。その言葉に教室中が一瞬シンとして、それからざわざわと騒がしくなった。
「竹原が屋上から落ちる寸前に、誰かと揉めているのを見たと証言している生徒もいる。警察にも通報したので、これからこのクラスは事情聴取を受ける事になるだろう。みんなも気づいた事や知っている事があれば、竹原の為にも包み隠さず本当の事を言うように。分かったな。……ああ、それと、スクールカウンセラーの先生もお願いしているから。早ければ明後日あたりには来てくれると思う。もし辛いと思ったり、話を聞いて欲しいと思う場合は遠慮なく申し出てくれ」
柴田先生は皆に言い含めるようにそう言って、「今日は自習だ」と椅子に腰かけた。
ちらっと沙良を窺うと、青い顔をして両手を握りしめている。大石君は目を伏せて心なしか下を向いている。
心臓がぎゅうっと痛くなった。
それから1時間くらい経ったころに警察官が2人やってきて、1人ずつ聴取されることになった。
出席番号順に男子から始まる。
2階の端っこに空き教室があったので、1人1人呼ばれる事になった。
「ねえ、沙良がやったのかな」
真奈美が小さな声でつぶやくように聞く。
「真奈美……」
「だって、どう考えてもおかしいでしょ。朝の8時に屋上に呼び出して、自分は知らないみたいな言い方。あれ、絶対いづみのことハメようとしたとしか考えられないよ」
真奈美の言葉に唇をかむ。
沙良はそれほどまでにあたしが憎くて邪魔だったってことだ。そして、それほどまでに大石君のことが好きだったって事なんだ。
「大丈夫だよ。堂々としてて。大石君だって、一緒に居たって証言してくれたんだから」
「…………」
「いづみ?」
「あ、うん。そうだね……」
「しっかりしなよ。事情聴取の時は、ちゃんと沙良に呼び出されたことも言わなきゃダメだよ」
「そう……だね」
今までの流れで考えると、沙良が由美を突き落としたと考えて間違いはないような気がする。そして沙良の態度からも、それをあたしに被せようとしている事は間違いないだろう。
でも、それを自分が証言しないといけないのかと思うと、凄く複雑な気分だった。
そしてもう一つ複雑なのは……。
「あ、大石、聴取すんだのか?」
「ああ。次は加藤、来てくれって」
「……おう」
大石君が席に着くと、まだ聴取を受けていないみんながどういう事を聞かれたのか教えて貰おうと集まってきた。
そこから漏れ聞こえてくる声は、沙良が主張していた事やあたしの反応、それに対する大石君のフォローなどを既に伝えていた人がいたようで、それについて大石君も答えたと話していた。
ふうっと細く長い息を吐き、目を瞑る。
大石君の嘘はあたしに余計な疑いがかかるのを心配してくれての事。
そうは思っても、それが最善の策だとしても、気持ちが重くなるのはどうしようもなかった。
そして……、あの長い髪。異常な身体能力。
もうよそう……。
今はもう余分な事は考えたくない。
あたしは両手で顔を覆い、肘をついた。
感想 1
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