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ヴォラルの姫

54 アレを押し付けられたから

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五十四話  アレを押し付けられたから


 「ほらどうした! かかってこいオラァ!!」


 男は息を荒げながら股を開く。

 なんとも気持ち悪くみっともない光景。
 私は心を無にしてその部屋を出ようとしたのだがー……。


 パシィンっ!!
 

 男がムチを強く床に打ち付ける。

 ーー…そうだ、このままではあのムチで女の人たちが酷い目に遭わされてしまうかもしれない。


「私がなんとかしないと。」


 ーー…とは言ってももうアレに直接触れたくないし。。
 私は魔王ミルキーポップを男に向けて構える。


 室内だし、氷結弾だったら問題ないよね。
 私は男に向かって氷結弾を連続で撃ち込んだ。


 ーー…しかし。


「オラァ! 聞いてないぞオラァ!!」

 
 男が白い息を吐きながら誰もいない方向に向かって怒鳴りつける。
 

「ーー…え、なんで効いてないの!?」


 男の体の氷がものすごい速さで溶けていく。


 え、え!?


「じゃあもういいよ!!」


 ヤケになった私は火炎弾を連発。周りに被害が及ぶことを分かっていながらも男に炎の渦を浴びせる。


「流石にこれならー……。」


 私は爆発の影響で起こった黒煙が収まるのを待つ。
 しかし私の瞳に映ったのはー……。


「オラ! こいオラァ! そんな生ぬるい炎じゃ俺は倒せねぇぞオラァ!!」


「ええええええええ!!??」


 軽く髪だけが焦げてはいるが全く効いてない。


 ーー…え、もう私攻撃手段ないんだけど。


 私が焦りながらあたふたしていると、男はまるで独り言を言っているかのように小さく呟いた。


「あーあ、そんな魔法効かないけど、ココ蹴ったりしてくれたらダメージ入るのになぁー。」


 ーー…!?


 耳のいい私はその言葉を聞き逃さなかった。
 自ら弱点を言うなんて、ほんとバカな人だなぁ。

 私はニヤつきながら男のもとへ。
 流石に気持ち悪いけど…仕方ない。


「じゃあその弱点、めちゃめちゃ蹴ってあげるから!!!」


 私は足を開いて座り込んでいる男の大きく反り返ったおちんちん目掛けて、思いっきり踏んづけたり蹴りを入れたりを繰り返す。


「ほらっ…! ほらっ! どう!? もう体力、なくなるんじゃないかな!!」


 私は必死で弱点一点を責める。


「うっん!! そんなもんかぁ!! ほらもっとお!!!!」


 男は顔を真っ赤にしながら大きく叫ぶ。
 これは効いているみたいだ。

 私はこの蹴りに、より一層の力を込める。


 ただ何故か蹴り飛ばすたびにおちんちんが防衛反応なのか、より一層固くなり…たまにビクビクと痙攣する。
 

「震えてるってことはおじさん限界近いんじゃない!?」


 私が休まずに蹴り続けていると、一瞬男の顔が引きつり体を反らした。


「これはー…いける!!!」


 私はおおきく振りかぶって、とどめと言わんばかりの一撃を打ち込んだ。
 するとー……。


「あぁっ……!!!!」


 おちんちんから白い何かが飛んでくる。


「うわっ!!!」


 それは私の顔面に付着。
 ただならない臭いがそこから臭ってきた。

 ーー…、セミのオシッコ的なやつ?

 男は力尽きたのか、仰向けに寝そべりながら息を切らしている。
 

「か…勝った。。」


 私は顔に付いた何かを拭いながらその部屋から出ようとした。
 しかし。。


「まだ負けてない! もう1回戦だあああああ!!!!」


 まるでバネのように起き上がった男が目を充血させながら大きく叫ぶ。


「もう1回!! もう1回!!!」


 男は弱点を隠さず見えない私に懇願しながら暴れまわる。


 ーー…無理だこの人は。気持ち悪いし…蹴っても平気なんだったらもう勝てない。
 私は諦めて男に背を向けた。


 その時。


 グイっ


 何かが私のお尻に食い込む。


「ーー…!!??」


 振り返ると背後には男。
 そしてお尻に押し付けられていたのはーー……。


「いやあああああああああ!!!」


 私は火炎弾と氷結弾を交互に浴びせ、それでも男が倒れていないことを確認したのでー…。


「もういいもん! くらっちゃえ新魔法ー…地獄の業火ああ!!!!」


 私は【地獄の業火】を発動。
 すると男の足元に大きな魔法陣が出現。
 それは眩く光だし、その部屋ー…いや、その階全てを焼き尽くす大爆発が起こった。


 その後私の目の前にステータス画面が表示される。


 ●【地獄の業火】を使用したことにより、レベルが1下がりました。
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