俺嫌な奴になります。

コトナガレ ガク

文字の大きさ
194 / 328
世界救済委員会

第百九十三話 組織は怖い

しおりを挟む
 事件の後始末に追われる忙しい日々。
 違うか。
 事件を追い続ける忙しい日々。
 ファンが死亡し残党狩りをしている工藤達はもはや事件の後始末気分だろうが、俺は違う。俺は退魔官、魔を狩らねばどれほどの悪党を逮捕しようとも手柄にならない仕事をしたと見なされない。
 俺の事件雨女事件は全く解決していない。
 なんとしても雨女を上げねば黒星と成り俺の評価は駄々下がりになる。まあなんだ、雨女とは多少ではあるが共感出来る余地はあり、多少の友誼が出来てしまった。故に出世関連はまあ許容出来るとしてもだ。
 掛かった費用は許容出来ない。
 雨女を逮捕したわけではないので警察から成功報酬が支払われることもなく警察に必要経費として請求することも出来ない。酷い話だ。ただでさえ命を賭けているのに失敗は許されない悪の帝国並みのブラック、今まで退魔官が長続きしなかった訳が良く分かる。
 俺も別の目的、まあ色ボケなので半分自業自得なのだが、それがなければとっととおさらばして学業に専念してエンジニアを目指す。エンジニアなら命を賭けることも無く安定した生活ができる。迷うまでも無いことなのに、合理に生きると目指した俺なのに、どうしても捨てられない。色に狂ったばかりに目下財政の立て直すため奮闘している日々である。
 それで真面目にユガミや魔人退治に勤しむのかといえば違う。どんなに雑魚のユガミや魔人でも俺では歯が立たず、旋律者を雇わないわけにはいかず、その先立つものが無いという泥沼。
 優しい時雨なら土下座して泣き落としをすれば同情して手伝ってくれるかも知れないが、俺だって惚れた女を前にしてプライドがある。合理に生きる俺だって捨てられない誇りがある。
 獅子神以下他の旋律士とはビジネスでの付き合い。ビジネスという情などという下らない感情が入らない投資とリターンの世界。値引きくらいなら交渉してみるが、それ以上の不純なものは入らない入れたくない。
 やはり世の中金であり金は命より重い。
 こんな仕事だ。銀行に投資計画書を持っていったところで相手にされない。幹部クラスの何か弱みでも握る必要がある。ここで銀行幹部のストーカーでもするかといえば、しない。なぜなら今回に限っては一攫千金のお宝の当てがある。
 いい年して夢みたいな事を妄想するなと言われそうだが、俺の目は覚めている。夢ではない現実的なお宝が、ある。あるんだよ。
 それは捜査状況を工藤に聞いて判明したが、工藤達はフォンの配下の逮捕は出来ているが、フォンが自殺したこともありその資金の行方が分かってないらしい。フォンのことだ、いざという時のため絶対に秘密口座の一つや二つ持っている。それを警察より早く見つけ出し根こそぎ奪う予定である。いや言い方が悪いか、証拠品として永久押収する予定だ。
 そんな1分1秒たりとも無駄に出来ない俺に呼び出しが掛かった。
 断りたいところだが、ボスである五津府からの呼び出しとあっては無碍に出来ないし、朝出かけようとアパートのドアを開けたら如月さんがいた。目を疑ったがいた。別にラブコメ的要素はない。直属の上司である如月さん直々に迎え、いや直々にお迎えという連行しに来られてはどうしようもない。
 しかし今更だが俺は警察内における五津府派閥にガッツリ属している事になっていんだな。成り行きで退魔官に成り仕事をこなしていく中で、一匹狼と格好付けていたわけじゃない。いずれ辞める気だった俺は派閥の力関係などに興味なかったというか、気にしたことが無かった。それがいけなかったのか、いつの間にか五津府諸共浮沈する一蓮托生みたいになっている。
 組織は怖い。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

視える僕らのシェアハウス

橘しづき
ホラー
 安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。    電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。    ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。 『月乃庭 管理人 竜崎奏多』      不思議なルームシェアが、始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。 最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。 会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。

皆さんは呪われました

禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか? お勧めの呪いがありますよ。 効果は絶大です。 ぜひ、試してみてください…… その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。 最後に残るのは誰だ……

都市街下奇譚

ホラー
とある都市。 人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。 多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか? 多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。 忌憚は忌み嫌い避けて通る事。 奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。 そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...