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第二十話 刻印
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「全くもう~」
時雨は気恥ずかしさからいたたまれなくなって出てきたしまった。化粧室はカフェ内には無く、ショッピングモール共通の化粧室を使うことになる。だから一旦カフェから出た時雨は通路に出ると案内板を確認して歩き出す。
歩きながら、何でこんな事に成ってしまったんだろうと思った。
自分には想い人がいる。でもその人への想いは届かないことも知っている。
それでも傍にいられるだけで嬉しかった。
だから、今まで色々と告白されてきたけど全て断った。
想いを捨てられないままに他人の想いに答えることなんか出来なかったから。
ボクは浮沈艦なんかじゃない、とっくに撃沈しているだけ。
でも彼奴は違った今まで真摯に告白してきた人と違って初手から取引だった。
まるで悪魔との取引のように交換条件で交際を申し込んできた。
ぐいぐいと押され、気が付いたら交際という契約を結んでいた。
最初のデートも強引に約束させられていた。
それでもメールも番号も交換してないのだ、すっぽかそうと思えば逃げられた。
強引なようでいて逃げ道を与えてくれる。
まるで、約束をしたら裏切らないとボクを信じ切っているようなやり方。
当日も随分と迷い。迷っている内に緊急の仕事が入り、しょうがないと自分に言い訳するように仕事に向かった。
仕事が終わったときには、約束の時間は大幅に過ぎていた。
もういないと思っていた。
それで縁も切れると思っていた。
ただ単に自分の中にある後ろめたさに区切りを付ける為に向かった約束の場所。
そこに彼はいた。
そして呪いにも近い刻印を打ち込まれた瞬間でもあった。
なのに今日偶然目が合ったのに無視された。
そしたら無性に腹が立って彼を引き留めてしまい、こうなってしまった。
「もしかして、気を遣ってくれたのかな」
そう思ったときには化粧室の前まで来ていた。
角を曲がり脇の通路にに入り、更にもう一回ぐるっと回って化粧室に入った。
化粧室は繁盛しているショッピングモールらしく綺麗に清掃が行き届いていてぴかぴあである。そして広い化粧室にずらっと並んだ個室は一番奥意外は扉は閉まっている。
時雨は特に何も思うこと無く一番奥の個室に入る。
「ふう~」
腰を下ろして一息ついたタイミングだった。
ガタンッと突然腰が落ちた。
「なっなに」
一瞬で尿意は引っ込みのぼせていた頭は冷えた。冷えた頭で感覚を研ぎ澄ませば、其処はユガミの気配で満ちていた。
「くっ」
便器に手を付け尻を引っこ抜こうとしたが蛇に呑まれたように動かない。この時点で時雨は自力脱出を一旦諦める。内ポケットに入れていたスマフォを取り出し助けを求めようとして、指が止まった。
自分は便器に尻を呑まれた驚きで力が抜け大事なところを隠す下着が床に落ちてしまっている。その上で尻が下がって足は大の字に広げられ、大事なところを晒した格好をしている。
こんな格好をあの人にだけは見せられない。もし見られたらと思うと顔で目玉焼きが焼けそうになる。もう傍にすらいられなくなる。
それに更に冷静に考えれば、間に合うとも思えない。
今どこにいるか分からないがショッピングモールにいるとは思えない。
どんなに急いできてくれても一時間は掛かるだろう。そしてこのユガミが一時間も自分を生かしておいてくれるとは思えない。
ならば、今一番自分を助けられる可能性があるのは。
自分から電話することは絶対に無いと思っていた、最近登録された番号に掛ける。
自分がこんなこと願うとも思わなかったと早く出てと祈り、祈りが通じて通話になった瞬間、
「助けて」
と叫んでいた。
「どこだ」
彼は余計なことは聞かない。
ボクが助けてと言えば、場所を聞いてくる。
それが、ちょっとだけ心が頼りに感じる。
時雨は気恥ずかしさからいたたまれなくなって出てきたしまった。化粧室はカフェ内には無く、ショッピングモール共通の化粧室を使うことになる。だから一旦カフェから出た時雨は通路に出ると案内板を確認して歩き出す。
歩きながら、何でこんな事に成ってしまったんだろうと思った。
自分には想い人がいる。でもその人への想いは届かないことも知っている。
それでも傍にいられるだけで嬉しかった。
だから、今まで色々と告白されてきたけど全て断った。
想いを捨てられないままに他人の想いに答えることなんか出来なかったから。
ボクは浮沈艦なんかじゃない、とっくに撃沈しているだけ。
でも彼奴は違った今まで真摯に告白してきた人と違って初手から取引だった。
まるで悪魔との取引のように交換条件で交際を申し込んできた。
ぐいぐいと押され、気が付いたら交際という契約を結んでいた。
最初のデートも強引に約束させられていた。
それでもメールも番号も交換してないのだ、すっぽかそうと思えば逃げられた。
強引なようでいて逃げ道を与えてくれる。
まるで、約束をしたら裏切らないとボクを信じ切っているようなやり方。
当日も随分と迷い。迷っている内に緊急の仕事が入り、しょうがないと自分に言い訳するように仕事に向かった。
仕事が終わったときには、約束の時間は大幅に過ぎていた。
もういないと思っていた。
それで縁も切れると思っていた。
ただ単に自分の中にある後ろめたさに区切りを付ける為に向かった約束の場所。
そこに彼はいた。
そして呪いにも近い刻印を打ち込まれた瞬間でもあった。
なのに今日偶然目が合ったのに無視された。
そしたら無性に腹が立って彼を引き留めてしまい、こうなってしまった。
「もしかして、気を遣ってくれたのかな」
そう思ったときには化粧室の前まで来ていた。
角を曲がり脇の通路にに入り、更にもう一回ぐるっと回って化粧室に入った。
化粧室は繁盛しているショッピングモールらしく綺麗に清掃が行き届いていてぴかぴあである。そして広い化粧室にずらっと並んだ個室は一番奥意外は扉は閉まっている。
時雨は特に何も思うこと無く一番奥の個室に入る。
「ふう~」
腰を下ろして一息ついたタイミングだった。
ガタンッと突然腰が落ちた。
「なっなに」
一瞬で尿意は引っ込みのぼせていた頭は冷えた。冷えた頭で感覚を研ぎ澄ませば、其処はユガミの気配で満ちていた。
「くっ」
便器に手を付け尻を引っこ抜こうとしたが蛇に呑まれたように動かない。この時点で時雨は自力脱出を一旦諦める。内ポケットに入れていたスマフォを取り出し助けを求めようとして、指が止まった。
自分は便器に尻を呑まれた驚きで力が抜け大事なところを隠す下着が床に落ちてしまっている。その上で尻が下がって足は大の字に広げられ、大事なところを晒した格好をしている。
こんな格好をあの人にだけは見せられない。もし見られたらと思うと顔で目玉焼きが焼けそうになる。もう傍にすらいられなくなる。
それに更に冷静に考えれば、間に合うとも思えない。
今どこにいるか分からないがショッピングモールにいるとは思えない。
どんなに急いできてくれても一時間は掛かるだろう。そしてこのユガミが一時間も自分を生かしておいてくれるとは思えない。
ならば、今一番自分を助けられる可能性があるのは。
自分から電話することは絶対に無いと思っていた、最近登録された番号に掛ける。
自分がこんなこと願うとも思わなかったと早く出てと祈り、祈りが通じて通話になった瞬間、
「助けて」
と叫んでいた。
「どこだ」
彼は余計なことは聞かない。
ボクが助けてと言えば、場所を聞いてくる。
それが、ちょっとだけ心が頼りに感じる。
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