67 / 328
第六十七話 聖女
しおりを挟む
セミロングの髪は羽を広げるように左右にふわっと広がり、薄暗い森の中自ら光を発するように黄金に輝いている。
ライダースーツが密着した女性らしいフォルムでありならが雌豹を思わせる締まった体で堂々と立ち、澄み渡る空のような瞳が居並ぶ異形共を睥睨するその姿は天使が罰を与える罪人共を見下ろすかの如く。
俺は少女の登場により、俺中心に盛り上がっていた舞台が少女にとって変わられたことを悟った。
モブに転落か。だが不思議と納得するほどに少女にはオーラがあった。
ストンと心が納得することで、先程まであった誇りなんたらの気概も冷えていき、己がすべきことが明確になっていく。
狂人達に襲われる一般市民、其処に颯爽と現れるヒロイン。
そんなときモブに出来ることは、観戦するか逃げるかのどちらかのみ。
俺はさっと周りを見渡して見定めると、注目が少女に注がれる流れから、俺はそっと外れて、ひっそりと存在感を消していく。
「アラン」
神が彫り込んだように凜々しかったジャンヌの顔がアランを見た時に少しだけ曇った。恋人?それとも仲間だったのか?
「彼が作ってくれたチャンス無駄にはしません。
神の名の下に歪みし魔を調律します」
脇に抱えたヘルメットを投げ捨てジャンヌは歌い出した。
黄金に輝く声が広がっていく。
世界が心を傾ける黄金の旋律。
鳥どころか木が大地が黄金の旋律を乱すまいと静まりかえる。
荘厳なる神の降臨。
天使が先触れをし、世界が黄金に輝く。
人はただ頭を垂れるのみ。
神の降臨を思わせる旋律の歌。
ただただ美しい。
ただただ美しく。
ずっと聞き惚れていたく思う、多分普通の人なら心を虜にされ歌声が終わるまでローレライに沈められる船員のように聞き惚れているだろう。
だが俺はここで現実に立ち返る。
だからなんだ? ここはアイドルのコンサートでもオペラ劇場でも無い、美しい歌声が何の役に立つ。感動はするが俺の体には何の影響も無い。まさか美しい歌声に感動して悪人が改心するとでもいうのか?
小馬鹿にしてセクデスに目を向ければ、彼は跪き頭を垂れていた。
はい?
見渡せば黒服や巨人も跪いている。
美しい歌に感動して悪人が改心する?
そんなそんな漫画やアニメみたいなことがあるというのか。
「神の律を押しつける、忌々しい聖女ジャンヌ。
その歌声に我ら魔は調律される」
セクデスは苦渋を呑み込むように聖女の名を呼び、呼び終わる間もなく邪悪に嗤う。
「だが、普通の人間には効果有るまい」
跪いていた巨人が総合の選手のように地を這うようにタックルの構えでジャンヌに向かって行く。
「!」
これには意表を突かれたようでジャンヌの対応が一瞬遅れ、その一瞬が命取りと成り躱そうと飛び退いた時には足首を掴まれた。
すかさずジャンヌは捻ってく足を振りほどこうとするが、意に介すること無く巨人は飽きた人形を持ち上げるようにジャンヌを軽々と片手で持ち上げた。
「きゃっ」
ジャンヌは片足が広がり逆Y字に吊り下げられる
「おのれっ」
股が広がり股間を晒される屈辱にジャンヌは巨人を睨み付ける。そのお返しとばかりに巨人はジャンヌの腹に遠慮無くパンチがめり込ませた。
「うごっ」
ジャンヌの口から胃液を吐き出す。
「驕ったな聖女。大熊、遊ばず止めを刺せっ」
大熊と呼ばれた巨人はセクデスの命令に従いジャンヌを掴んだまま大きく振りかぶったのであった。
ライダースーツが密着した女性らしいフォルムでありならが雌豹を思わせる締まった体で堂々と立ち、澄み渡る空のような瞳が居並ぶ異形共を睥睨するその姿は天使が罰を与える罪人共を見下ろすかの如く。
俺は少女の登場により、俺中心に盛り上がっていた舞台が少女にとって変わられたことを悟った。
モブに転落か。だが不思議と納得するほどに少女にはオーラがあった。
ストンと心が納得することで、先程まであった誇りなんたらの気概も冷えていき、己がすべきことが明確になっていく。
狂人達に襲われる一般市民、其処に颯爽と現れるヒロイン。
そんなときモブに出来ることは、観戦するか逃げるかのどちらかのみ。
俺はさっと周りを見渡して見定めると、注目が少女に注がれる流れから、俺はそっと外れて、ひっそりと存在感を消していく。
「アラン」
神が彫り込んだように凜々しかったジャンヌの顔がアランを見た時に少しだけ曇った。恋人?それとも仲間だったのか?
「彼が作ってくれたチャンス無駄にはしません。
神の名の下に歪みし魔を調律します」
脇に抱えたヘルメットを投げ捨てジャンヌは歌い出した。
黄金に輝く声が広がっていく。
世界が心を傾ける黄金の旋律。
鳥どころか木が大地が黄金の旋律を乱すまいと静まりかえる。
荘厳なる神の降臨。
天使が先触れをし、世界が黄金に輝く。
人はただ頭を垂れるのみ。
神の降臨を思わせる旋律の歌。
ただただ美しい。
ただただ美しく。
ずっと聞き惚れていたく思う、多分普通の人なら心を虜にされ歌声が終わるまでローレライに沈められる船員のように聞き惚れているだろう。
だが俺はここで現実に立ち返る。
だからなんだ? ここはアイドルのコンサートでもオペラ劇場でも無い、美しい歌声が何の役に立つ。感動はするが俺の体には何の影響も無い。まさか美しい歌声に感動して悪人が改心するとでもいうのか?
小馬鹿にしてセクデスに目を向ければ、彼は跪き頭を垂れていた。
はい?
見渡せば黒服や巨人も跪いている。
美しい歌に感動して悪人が改心する?
そんなそんな漫画やアニメみたいなことがあるというのか。
「神の律を押しつける、忌々しい聖女ジャンヌ。
その歌声に我ら魔は調律される」
セクデスは苦渋を呑み込むように聖女の名を呼び、呼び終わる間もなく邪悪に嗤う。
「だが、普通の人間には効果有るまい」
跪いていた巨人が総合の選手のように地を這うようにタックルの構えでジャンヌに向かって行く。
「!」
これには意表を突かれたようでジャンヌの対応が一瞬遅れ、その一瞬が命取りと成り躱そうと飛び退いた時には足首を掴まれた。
すかさずジャンヌは捻ってく足を振りほどこうとするが、意に介すること無く巨人は飽きた人形を持ち上げるようにジャンヌを軽々と片手で持ち上げた。
「きゃっ」
ジャンヌは片足が広がり逆Y字に吊り下げられる
「おのれっ」
股が広がり股間を晒される屈辱にジャンヌは巨人を睨み付ける。そのお返しとばかりに巨人はジャンヌの腹に遠慮無くパンチがめり込ませた。
「うごっ」
ジャンヌの口から胃液を吐き出す。
「驕ったな聖女。大熊、遊ばず止めを刺せっ」
大熊と呼ばれた巨人はセクデスの命令に従いジャンヌを掴んだまま大きく振りかぶったのであった。
0
あなたにおすすめの小説
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
皆さんは呪われました
禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか?
お勧めの呪いがありますよ。
効果は絶大です。
ぜひ、試してみてください……
その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。
最後に残るのは誰だ……
都市街下奇譚
碧
ホラー
とある都市。
人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。
多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか?
多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。
忌憚は忌み嫌い避けて通る事。
奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。
そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる