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4.目が覚めると王太子の婚約者?
しおりを挟む目覚めるとそこには天使が花々と戯れている絵。え?絵?
「ん?」
身体を起こすとベッドの傍らには五人の女性が私に向かって頭を下げていた。
「「「「「イーリス様、シシリ王国を救っていただいてありがとうございました」」」」」
「え?」
な、何?
そうだ、私……聖女にされたんだった。
こうして女性たちが私に傅くって事は……結界は上手く張れたのかしら?
「お、お、お、お、お、おはようこざいます。け、結界は、ど、どうなったのですか?」
「聖女イーリス様のお力により、無事結界は完成し、噴火での死者は一人も居ません」
「……(良かった)」
「魔力を使い果たしてお倒れになったイーリス様のお目覚めを、全国民が待っていました」
国民が……?
いや、待って怖い。みんなでずっと私が目を覚ますの待ってたの?
「今、聖女様が目覚めたことを知らせる遣いを陛下に出しております。すぐに全国民に御触れが回るでしょう。聖女様の功績を讃えるセレモニーが開かれる予定です。」
寝起きで身体も怠い。思考が纏まらない。
私を讃える……セレモニー……。
……。
いやぁーーっ!!
こ、困る。人前になんて出れない。
心の中で動揺しまくっている私に、聖女の支度を手伝ってくれたメイドのハナさんが代表して話し掛けてきた。
「イーリス様、お身体は大丈夫ですか?」
へ?
改めて自分の身体を見回した。
少し怠いだけで、異常はないみたい。
「は、はい。だ、大丈夫です」
無事聖女としての役割を成し遂げられたことにほっとする。
少し落ち着いて辺りを見ると、ここは前回案内された部屋とは違う。
私の眠っていた天蓋付きのベッドは天蓋の中まで絵が描いてある、豪華なデザイン。
キングサイズのベッドは、平らな部分が無いほど。至るところに装飾が施されていて、些か毳々しい。
私がぐるぐる辺りを見ていると、ハナさんから衝撃の事実が告げられた。
「イーリス様、そろそろお支度を。ケンドリック殿下が昼食を一緒にしようと仰っております。」
「え?で、殿下??」
そう言えば、婚約とかなんとか言ってた……。何とか断らなきゃ。
「イーリス様は正式にケンドリック王太子殿下の婚約者になりました。婚約の御披露目は1ヶ月後になりますが、すでに手続きは済んでいるそうです。」
「へっ?」
いやいや、全く、一回も同意してないよね?
なに?この国って強権政治?
「あ、あの……わ、私が、婚約者と言うのは、き、拒否出来ないんでしょうか?ふ、不敬で捕らえられたりとか?」
「まさか!イーリス様は救国の聖女様ですもの。でも、もしかして、婚約は……望んでらっしゃらない……の……ですか?」
「……は、はい。」
「まぁ。」
ハナさんは目を丸くして驚いている。
いやいや、結構王族に嫁ぐって微妙だよ?
「この国でケンドリック王太子殿下との結婚を嫌がる女性がいるとは思いもよらず……、申し訳ありませんでした。」
「そ、そんなに皆様、お、王太子妃にな、なりたがるんですか?」
「はい。ケンドリック王太子殿下は美丈夫ですし、仕事も優秀、性格も穏やかで優しいので、この国の独身の令嬢方には大人気です。婚約の手続きを急いだのも、他家から横槍が入り、イーリス様が嫌な思いをする事が無いようにとの殿下の配慮ですわ。」
そんなに大人気なのか……あの殿下。
「こ、ここの部屋って……もしかして……。」
「はい。王太子妃の部屋ですわ。」
いやぁーーーーっ!!
既に追い詰められてるぅ。
コン、コン、コンーー
「はい。」
「神官長がお見えです。お通ししても宜しいでしょうか?」
「はい。」
神官長には結界を張る時に助けてもらった。お礼を言わなくちゃ。
私はハナさんとの会話を中断して、神官長に部屋に入ってもらった。
「イーリス様、お身体に障りはないですか?我が国を助けていただきありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ。あの時支えていただかなければ魔力が安定せず失敗していたかもしれません。」
結界……あんな大変だとは思わなかった。女神様、簡単そうに言ってたから。
それにしても神官長はフードを深く被ったままだから目が合わなくて会話し易い。
この下に隠れている目、綺麗だったな。
琥珀色の瞳を思い出していると、神官長は持ってきた小箱を私に差し出した。
「それで……今日から必要になるかと思い、お持ちしました。」
渡されたのはーー
「え?」
「これが必要でしょう?使ってください。」
小箱の中は……大人のおもちゃ?
いやぁーーっ!!
神官長ってもしかして、変態??
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