失意の中、血塗れ国王に嫁ぎました!

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14.会えない!?

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 私達は予定通り、二週間でリュゼット王国へと戻ってきた。

「これからは更に忙しくなる。不在にすることも多い。だから翡翠宮から出ないでくれ。」

 陛下にそう請われて、翡翠宮で過ごす日々。

 真神教の支配下にある貴族を王宮から一掃するため、陛下はほとんど眠る暇も無いようだった。

 何が起こっているのかは聞かない。けれど、護衛騎士たちの緊張感がピリピリ伝わってきて、私は決して陛下の足を引っ張らないよう静かに、慎重に行動していた。

 きっと陛下は私を守るために最大限の警戒をしてくれているのだ。きちんと守られているのも妃としての私の務め、そう心得ていた。

 陛下は毎日3~4時間ほどの睡眠だろうか。
 王宮を不在にすることも多い。ミモレ王国へ行った時のように影武者を立てているのか?それすらも私には分からなかった。

 それでも王宮に居るときには必ず私の元へと来てくれているみたい。

 陛下は深夜にそっと私のベッドにもぐり込み束の間の睡眠をとると、早朝には出ていってしまう。
 陛下は私を起こさないようにしていてくれるけど、気配で目覚めることもある。私は陛下が入ってきたことに気づくと、
「おやすみなさいませ。」
と、微笑む。

 疲れているであろう陛下にそれ以上は話し掛けることもしない。彼は毎日、僅かしか眠っていないのだから。
 そんな私に、陛下は「おやすみ。」と額にキスを落としてさらりと頭を撫でる。

 そんな風にされると、何故だか安心して。隣に彼の気配を感じながら微睡みの中に沈んでいく。
 そんな夜を繰り返した。





 翡翠宮での身を隠すような生活が終わりを告げたのは突然だった。

「リーナ、やっと全てが終わった。明日から翡翠宮から金剛宮に移るぞ。」

 金剛宮とは本来の国王の住まい。そこに移れると言うことは真神教による勢力を排除できたということなのだろう。

「リーナもこれからは王妃として忙しくなるだろう。
伴侶として、俺を支えてくれるか?」

 そう言われたのは翡翠宮に与えられた私の部屋。なんの飾り気も準備も無いタイミングでのプロポーズ。

 多くの男性は美しい宝石と花を準備し、日付を選んでロマンチックな場所で感動的な演出を贈るものだ。

 けれど、陛下は女性を喜ばせる方法なんて知らなくて、愛の言葉さえ無かった。

 彼の心は知っているけれど、念のため意地悪く聞いてみた。

「それは、今まで通りお飾りの伴侶ですか?」

  陛下は狼狽えて……
  視線を彷徨わせ何かを考える仕草を見せた。

「悪い。言葉が足りなかった。
  リーナ、愛してる。これから先、俺の伴侶として人生を一緒に歩いて欲しい。」

 慣れないセリフに照れているのだろう。居心地悪そうに私から視線を外した。
 本当に女性の口説いたことなんて無いみたい。
 らしくない彼の困った顔が愛しかった。

 私は陛下の手をとりその大きな身体を見上げた。

「陛下が私のためにしてくれた沢山の事、ありがとうございます。どんな感動的なプロポーズより嬉しかった。これから陛下を王妃として支えていくことをお約束します。」

 陛下の思いに応えるために、私も王妃として努力していこう、そう思う。

 そして、

「陛下、私は陛下のことが好きです。旅の間、陛下の胸の中で守ってもらえて嬉しかった。翡翠宮に帰ってきてから、離れて眠るのは少し寂しかったです。また、私を抱きしめてくださいますか?」

 ずっともう恋なんて出来ないと思っていた。
 だけど、エニュオ侯爵邸で私は確かに自分が先に進んでしまったことを思い知った。悲しいけれど、私の時間は止まらない。

「今、君を抱きしめてもいいだろうか?」
「はい。」

 旅の間、あんなに私を抱っこしていたくせに……陛下は遠慮がちに私の背中に腕を回した。

 すっかり嗅ぎ慣れた陛下の匂い。
 いつの間にかこの匂いに包まれていると安心するようになった。
 陛下は香水なんて着けないから洗濯した服の香りに少し汗の匂いが混じる。

「陛下の匂い好きです。」
「え?お、俺の?」
「はい。ほっとして、胸がじんとするんです。」

 陛下の胸の中でスンスン鼻を鳴らした。
 うん、やっぱりこの匂いは好き。

 陛下は少し困ったように、それでもずっと私を抱きしめてくれていた。



 
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