失意の中、血塗れ国王に嫁ぎました!

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15.血塗れ国王の変化

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 金剛宮での生活は今までとは全く違っていた。

 まず「血塗れ国王」と呼ばれていた彼は「賢君」として、人々からの尊敬を集める存在になっていた。

 彼を「血塗れ国王」などと蔑んだ名で呼ぶ人はもう居ない。

 陛下は真神教が麻薬を使い信者を集めて、勢力を急拡大していた事を突き止め白日の元に曝け出した。
 確固たる証拠を揃え、真神教に支配されていた貴族を粛清し、王宮を信頼出来る場所へと戻したのだ。

 陛下の手腕は各国から高い評価を得て、彼の名声を高めることになり、今や国民からの人気も高い。







 そして、私は今陛下に抱っこされている。
 二人きりの部屋の中……ではない。
 大勢の貴族の前で!

 陛下は私の御披露目のために王宮舞踏会を開いてくれた。私はリュゼット王国の貴族たちの前に出るのは結婚式以来二回目。

 この、伝統的な王宮舞踏会で、妃を抱っこして登壇する国王なんて存在しただろうか?

「陛下、下ろしてください。立てますから。」

「君は俺に抱っこされてると嬉しいんだろう?」

 ニヤリと笑う。それはそれは自信たっぷりな顔で……。憎らしいけど、好きだなぁ、とも思う。

「まあ、そうですが、
 こんな場所でこんな風に目立つことは望んでいません!」

 陛下の胸を両手で押して、抗議の意思を伝えるけれど、彼は全然動じない。

「やっぱり跳ねっ返りだ。
ほら、俺の元に側室の話が来ないように牽制しないとな。」

 なんて、
 「ははっ。」って笑ってますます私を強く抱きしめ頬にキスする。
 周囲から若い令嬢の悲鳴にも似た声が聞こえる。
 見せつけるにもほどがある!!

 恥ずかしくて、顔をあげられないじゃないっ!!

 涙目で陛下を睨むけれどなんの効果も無いみたいで。

「俺の評判が良くなった途端に手のひらを返す奴が多くてな。鬱陶しいから、これからはそばにいてくれ。」

 甘く囁かれれば、やっぱりそこは惚れた弱み。胸がキュンとして、頬が熱くなる。

 なんと、陛下はその舞踏会の間ずっと私を抱きかかえ、私とだけダンスを踊り、私の食事は手ずから食べさせた。
 私は何度も抗議したが、却下された。
 挨拶に来た貴族たちの中には、私に対して敵意を隠さないご令嬢もいたけれど、大半の貴族は、温かい目を陛下と私に向けてくれていた。

 彼は親しい令息も多いみたいで、冗談みたいに「俺の寵妃だ!」なんて繰り返し強調していた。

 こんなに破天荒な国王で良いのだろうか?

 「明日からは、陛下の王妃への寵愛ぶりが貴族の間で話題になるぞ!」

 なんて面白そうにしている。私の羞恥なんてお構い無し??

「恥ずかしいのですが?」
「俺の寵愛を一身に受けていることが君の武器になる。我慢するんだな。」

 なんて悪戯な表情で笑う。
 私だけが恥ずかしいのが悔しい……余裕の表情を浮かべる陛下に対抗心を燃やした。

「陛下、愛してます。」

 身体を起こし、陛下にだけ聞こえるように耳打ちするとそのまま陛下の唇を掠めるようにキスを奪った。

「なっ!!」

 どっと沸く会場と陛下を囃し立てる声が聞こえる。真っ赤になって動揺する陛下を揶揄う友人たち。

 陛下は怒ったのか、もう私が何も出来ないように私の顔を強く自分の胸に押し付けた。

 ドクドクと早くなった陛下の心臓の音が聞こえる。こんな大胆な事をしたツケは私にも回ってきた。
 徐々にいたたまれないような気持ちが湧き上がってどうしていいか分からない。
 自分でしたくせに……。

 もう貴族たちにこの真っ赤な顔を見せれなくて。私は舞踏会が終わるまで陛下の胸に顔を埋めたままになってしまった。






 舞踏会が終わって漸く二人きりになれた。金剛宮の寝室は改装に時間がかかって、この部屋を使うのは今日が初めて。

 二人の寝室は今までより広くなったけど、ベッドはちょっと?いや、かなり小さくなった。

 これでは眠る時、くっついて眠ることになっちゃう。ベッドを見て困っている私に陛下は気づかないみたい。

「リーナ、今日のアレは仕返しか?」
「……、ええ、まぁ。すみません。ちょっと悔しくて。」

 思い出すと恥ずかしくなる。陛下に恥ずかしい思いをさせて申し訳なくて頭を下げた。

 陛下は少し呆れたように息を吐いた。

「分かってるのか?俺たちのはじめての口づけだぞ?」

 うん?
 あっ?!

「やっぱり分かってなかったのか……。
はじめてのキスぐらいは君が喜ぶようにって考えてたのに……。」

「ご、ごめんなさい。」

 陛下はプロポーズの事を後悔して、何か考えててくれたのだろうか?

「一度触れた君の唇は忘れられない。あんな短いキスじゃ満足出来ないな。」

 陛下は私を抱き寄せると、片手で頬を優しく包んだ。

「煽ったのは君だ。」

 不意に陛下の大きな口で食べるように口づけられた。びっくりして唇を固く引き結んだ私の唇を、今度は優しく啄む。
陛下の手が私の首筋から耳朶を擽るように優しく触れる。
 ムズムズするのに、気持ち良くて……。
 思わず吐息を漏らせば、ぬるりとした舌が咥内に侵入を果たした。

「……んっ、はぁ……。」

 苦しくて、気持ちよくて、頭の中がじんじんと痺れるみたいになって力が入らない。

ぷはぁ……と息を吐き唇が離れると、陛下の真剣な瞳と視線が重なった。
 さっきまでの軽い口調が嘘みたい。私に恋焦がれるみたいな真っ直ぐな目に囚われて、私の心までが昂る。


「いいか?」

 好きな人にこんなに強く求められて断れる訳がない。
 今さらこんなことを聞かれたのが恥ずかしくて、真っ赤になりながらも頷くと、陛下は私を横抱きにしてベッドへと運んでくれた。

 大袈裟なほど大切そうに、そうっとそうっと私をベッドへと下ろす。その仕草一つで私を大切にしてくれているのが伝わる。

「陛下……。」
「二人の時はルースと。」
「ルース……。
んっ……はぁーー。」

 再び優しい口づけが落ちてくる。

 その夜、二人ではじめて身体を重ねた。

 ルースは行為中、何度も何度も私の名前を呼ぶ。それは、少し切なくて胸が締め付けられるような響きを持っていて……。

 気持ち良くて、頭が真っ白になっても、その切なげな声は耳に残った。

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