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ep.55 人工ダイヤモンド爆発

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 どっかぁーーーーん♪ どっかぁーーーーーーーーん♪

 いえい! いえーーーい!

 パニックの日っ~~~~♪ パニックの日ぃっ~~~~♪

 ぱにっくでいッ Panic Dayッ Panic Dayッ Panic Dayッ~~~~♪

 いえい!



 あっ、坊さんの立てカンバンがある。観てみよう。

善行は正しいからやれというのでは、善行をやる人間は育たない。
そのため、私たちは信仰で、善行に褒賞を作りたい。
私たちは善行札を作る。私たちが善行を行ったものに与える札だ。
その札は、お店で余り物が出たときに、食糧と変えられるようにしたい。
また、商品で捨てる商品が出たら、変えられるようにしたい。
食べ物のお店は、余らせると腐らせて捨てることになる。だから、善行札でその無駄をはぶく。
商品を売るのも、余剰在庫が発生すると倉庫を圧迫して不利益になる。だから、善行札でその無駄を省く。
善行に褒賞を作りたい。それは、王国の信仰がやらなければならないことだ。信仰に力を。

アーメン・インシュアラー・褒賞


 へえ。正しいことに、あるべき余り物で褒賞を作るんだね。

 うん。坊さん、できる材料をありあわせて工夫してる。 

 がんばってるな~。


 確かに、ちょっと思うところがあるんだよね~。

 いいことをしても、なんか、褒賞ってない。


 例えば、人にパンを与えたとき、誰かが褒めてくれるかと言えば、褒めてくれない。

 善意ってそういうものじゃないとわかりながら、

 ただ、ほんとにいいことをしても、報われない世界で、

 逆に悪いことをする人だけ、得をする世界だなあとか思ってしまう。


 そんなときに、例えば、僕が恵まれない人にパンを与えたら、

 お坊さんがそれを観ていて、

 善行札です。あなたの善意を私は見ていました。

 少しだけですが、褒賞を受け取りなさいとか言われたら、

 ちょっとほっとした気分になるかも知れない。


 善意って、報われない。

 そんな価値観を崩すなにかがあったらとか思ったり。


 坊さん、がんばってるなあ。







 おっ、もう一個立てカンバンがある。観てみよう~。



我々は悪をなさねばならない。
人が善で動きながら、世界が悪のとき、
我々は悪となって、本当の悪を滅ぼさなければならない。
善に縛られていては、なおさら、世界は悪となる。

アーメンズ・インシュアラー・キール


 なるほどね~。

 人が善を利用したりして、世界が善なのに悪で廻ってるときって、

 善がひどいことをするようになっちゃうんだね~。

 善がひどいことばかりをやって、人が不幸になり続けるんだ~。

 そういうとき、悪になって世界を悪で直さないとならないって話みたい~。


 なるほど~。キール良いこと言ってるね~。



 と、そこで、僕は思った。

 僕はちょっと悪をなそう。

 嘘をついて、戦争を止める手をちょっと掲示板に書きこんじゃえ。

 悪だ。悪だ。悪をするんだ!


 カキカキ。


王様がビッグ・ドワーフ合衆国と、竜人連邦の戦争の手を止める手を募集してます。王様の目に止まると、10憶ギル手に入る状態です。みなさん、掲示板に自分しか解けない質問を「マイ質問」を書いて、戦争を止める手を書いてください。王様がその案を採用されると、10億ギル手に入ります。

例えばこんな感じです。

戦争をやっている国には、利益を得ようとして戦争を推し進めている勢力がいます。その利益を奪って、戦争を止める方に利益誘導すると戦争が止まります。

「マイ質問」巨大なこの星が壊滅してしまいそうな隕石が地上に落ちるとき、その隕石を一瞬で止める手立ては?

このように「マイ質問」で僕だけしか答えられず、王様がその答えを納得する場合、10憶ギル手に入ります。

みなさんも10憶ギルに挑戦してみましょう。


 カキカキ。

 よし! こんな感じのことを掲示板に書いておけば、誰かが戦争を止める手立てを思いつくかも知れない。

 たまに掲示板にこれを書いておこう。


 そのとき、僕が書いた掲示板の様子を、アーシャさんが見ていた。

「・・・伊佐木。お前はやはり特別な人間なのだな。私にはお前のような考えはできない。やはりお前は特別なヤツだ」

 アーシャさんはちょっと考えてまた言った。

「私に戦争を止める手を考えようと思ったが・・・思いつかないな。周りの騎士たちにこの掲示板を見せてみようか」


 アーシャさんがそんな風に動いているのを、僕は知らなかったんだ。


 ・・・って、言ってる場合じゃないよ!!!





「たいへんです。たいへんです。伊佐木さん!!!」

「どうしたの。メルティちゃん」

「あの・・・ギルドにすごい女の人が押し寄せて来てきて。伊佐木さんを出せってその女の人たちが叫んでいるんです!」




「どういうこと?」

「はい! それがなんでも、お見合いをしていた王太子と、シェスティーナお嬢様の結婚が決まったらしくて」

「ええ。本当に?」




「はいっ! そのときに、お嬢様がついていた人工ダイヤモンドが、王都ですごい話題になったらしくて。それで、人工ダイヤのネックレスを求める人が、ローデルムまで押し寄せて来たみたいです」




 うわ! すごいことになったなぁッッ☆彡

 ギルドまで行ってみて、そこに押し寄せる1万人以上の女の人を目の当たりにして、僕は呆然とした。




 女の人たちは、僕を見つけると、たちまちに声を上げ始めた。

「伊佐木よっ。伊佐木が来たわ。人工ダイヤを寄越しなさいっ」

「伊佐木くん。私が先よ。私が先にネックレスを手に入れるのっ」

「私に人工ダイヤを!!!。私に人工ダイヤをぉーーーーっ」




 うわわわわわ。すごいことになってるよ。やばいかなりパニックだよっッッ☆彡

 そのとき、ギルド長がやって来て、むんずと僕の襟首を掴んで、僕にすごい怖い形相で言って来た。
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