12 / 61
12 デートの約束
しおりを挟む
休日が明けた月曜日。
会社へ向かう夕美の足取りは、ふわっふわの羽毛のように軽く、軽すぎて空でも飛べそうな勢いだった。
土曜日に行われた「お見合い」の夢見心地から、未だ抜け出せずにいる。
(しつこいけど、また見ちゃお)
地下鉄のホームで電車を待つ間、バッグからスマホを取り出す。次の発車はすぐだが、確かめずにはいられない。
――今日は本当にありがとう。奥寺さんが僕を受け入れてくれたことに感謝しています。今夜は嬉しくて寝られそうにないよ。
帰宅後に届いた神原からのメッセージである。
お見合いの帰りにプライベートのアプリを交換し、メッセージを送り合うことが可能となったのだ。
そしてそのメッセージを繰り返し見ては、ひとりニヤけている。
(私、本当に社長とお見合いをしてお付き合いすることになったのよね? 会社で彼に会ったとたん目が覚めて、夢オチだったなんてことないよね?)
たびたび不安に襲われそうになるが、昨日実家の母に連絡したところ、神原の話はすべて本当だったのだからと、自分を安心させた。
「そういえば神原社長、毎日腕時計を着けてくれてて驚いてるのよ。夕美ちゃん、本当にありがとうね」
昼休みになり、一緒にランチに来た室井が夕美に言った。
「お役に立てて嬉しいです」
「ねえ、最近何か、いいことあった? いつも可愛いけど、今日はすごく輝いてる気がする。すごく幸せそうに見えるよ?」
デミグラスソースがかかったオムライスを前に、室井が真面目な顔をして問う。
「そっ、そうですか? 嬉しいですけど、特に何もないですよ~」
室井は鋭いところがある。
神原とのことを話すのは、さすがに無理だろう。神原の了承も得ていないし、何より、ふたりの関係は始まったばかりなのだから。
「気のせいかもしれないけど、夕美ちゃんが幸せならいいのよ。私も嬉しいって言いたかっただけ」
室井が優しく笑いながら、スプーンでオムライスをすくう。夕美はハヤシライスに手を付けた。
「室井さんはどうですか? 先日の合コンの人、良さそうだったんですよね?」
「最初はいいなと思ったんだけど、スマホでやり取りを始めたらなんだか合わなくてね。向こうもそう思ってるみたいで、これ以上の進展はなさそう」
「そうでしたか……」
「あーあ、もうクリスマスだし、たまにはときめくデートでもしたいわ~、なんてね」
デートという単語にドキリとする。
見合いの帰り、タクシーの中で神原に「今度どこかへ出かけよう」と言われたのだ。
(お出かけイコール、デートでいいのよね? 昨日、張り切って洋服を買いに行ってしまったけど、社長は忙しいからデートは三ヶ月後とかだったら、せっかく買った洋服の季節が合わなかったりして……)
推しとデート。とんでもないパワーワードだ。
本当にこんな夢みたいなことがあっていいのだろうか……。
「夕美ちゃん、どうしたの?」
「えっ? あっ、すみません……!」
「もしかして仕事量が多すぎるんじゃない? 最近頑張りすぎだなって思ってたのよ。振り分けを見直そう」
「いえっ、それは全然大丈夫です! 最近、思い出し笑いすることが多くて……、ごめんなさい」
「ああ、この前夕美ちゃんが言ってた配信の人、私も見たよ。面白くてハマっちゃった」
あはは、と室井が笑ってくれたのでホッとする。
真剣に夕美のことを心配してくれる室井は、先輩という前に本当にいい人なのだ。その時が来たら、神原とのことを一番に彼女へ報告したいと思う。
夕美は帰宅後、風呂が湧くのを待ちながら、「推し活手帳」をこたつの上でひらいた。
「ああ~、幸せなことがありすぎて手帳に書ききれない……! 情報量が多過ぎるから、ページを継ぎ足さないと」
一日一ページの手帳を使っているのだが、神原に誘われて行った食事の夜から細かい文字で書いてもページが全然足りない。
夕美はお気に入りのメモ帳に追加情報を書き、切り離して、手帳のページを継ぎ足した。こんな手間も、社長に関することなら楽しくて仕方がなかった。
「私、本当に社長とお付き合いするのよね……? まだ信じられない……」
スマホを取り出して神原とのやり取りを眺め、「本当だった」とまた確かめる。
「勝手に笑いがこみ上げちゃう。こんなんじゃ、室井さんに指摘されるのは当然だよね。……わっ、社長! って、ええっ、通話っ!?」
メッセージではなく通話だとは思わなかったので、あたふたしながらスマホをタップした。
「はいっ、奥寺ですっ!」
『こんばんは。遅くなってごめん。今、大丈夫?』
「全然、大丈夫です! 社長はこのお時間まで、お仕事ですか?」
『会食という仕事だね。でも、奥寺さんの声を聞いたら疲れが吹き飛んだよ』
嬉しそうな神原の声を聞くだけで、体が溶けてしまいそうなくらいに心地良い。
『奥寺さんの休みは二十五日からだよね? 実家に帰るのはいつ頃になりそう?』
会社内では、週の半分をリモートで仕事する人や、年末ギリギリまで営業をする人、夕美のように早めに休みを取って、年始は早めに出る人など、自由に設定ができるため、仕事納めは個人で違うのだ。
「休みは二十五日からなんですが、昨日、社長とのお見合いの話を両親にした際、今年の年末年始は帰らなくていいと言われたんです。理由はその……」
『僕と一緒にいるように、って?』
「どうしてわかったんですか!?」
先読みされた夕美は驚きの声を上げた。
母にお見合いの件で話をし、その時に「神原さんとたくさんデートしなさいよ~」などとからかわれたのだ。
『実は僕も昨日、ご両親に電話をさせてもらったんだよ。お見合いについてのお礼を話したら、今年は奥寺さんを帰らせないってお母さんが言ってたんで、ピンと来たんだ。でも君は家に帰りたいかもしれないから、敢えて僕からは言わなかったんだけどね』
「お気遣い、ありがとうございます。ロッジの人手も足りているようですし、今年は帰りません。その……社長とお会いしたいから」
正直な気持ちを言ってしまった。
『ありがとう、嬉しいな。僕もたくさん会いたいと思ったから』
こういう甘い言葉を言われたとき、どう返して良いかわからずに言葉に詰まる自分がもどかしかった。
『じゃあ、実家にはオフシーズンになったら一緒に行こうか? 僕もご両親に直接会ってご挨拶したいから』
「いいんですか?」
『もちろん。逆に、僕が一緒でお邪魔じゃないかな』
「そんなことありません。私はすごく嬉しいですし、母も父も喜ぶと思います」
三人が話している姿を見てみたいし、両親に神原のことを詳しく聞きたいので、その提案はかえってありがたかった。
『では改めて。二十五日は僕も休みを取っているから、その日に出かけない?』
「嬉しいです、ぜひ!」
『良かった。それで、二日間の予定になるんだけど、いいかな?』
神原の問いかけに、夕美の心臓がドキッとする。
「あの、もしかして、お泊まりということでしょうか……?」
『ああ、そうなんだ。奥寺さんにどうしても食べてもらいたいところがあって、場所が都心から離れてるんだよ。どうせなら泊まったほうが酒も飲めると思って』
「わ、わかりました……!」
突然ではあるが、覚悟を決めよう。
夕美はまだ誰とも付き合ったことがなく、当然のようにセックスの経験はない。だから、たとえ推しの誘いでも、泊まりがけで出かけると言われれば、かなりの勇気がいる。
しかし急な話とはいえ、大好きな推しが初めての相手というのは幸運だろう。神原と付き合っていれば、いずれその時は訪れるのだ。だったら、すぐにそういうことをしても、同じというわけで……。
一瞬のうちにあれこれ考えを巡らせていると、神原の戸惑いの声が届いた。
『……ん? ああ、そうか! いやその……、ごめん!』
「社長?」
『ただ一緒に過ごしたいっていうだけなんだよ。宿が取れたから嬉しくて、つい勢いで誘ってしまった。心配させてごめん。僕は奥寺さんの気持ちを優先させたいから、いきなり襲いかかったりはしないよ。安心して』
「そういうことだったんですね。……でも『襲いかかる』って」
初めて聞く、慌てふためく神原の声を可愛く感じてしまい、思わずクスッと笑いがこぼれる。
『笑われてしまったな……』
バツが悪そうにぽつりと言った神原も、夕美に釣られて小さく笑った。
「いろいろ考えてくださってありがとうございます。ぜひ一緒に行きたいです」
『よし、じゃあ決まりだね。行き先はメッセージで送るよ。楽しみだな』
「私もすごく楽しみです」
『じゃあ、また。おやすみ』
「おやすみなさい」
通話は切れたが、夕美はスマホを握りしめたまま大きく息を吐いた。
「はぁああああ、ビックリしたぁあ……! いきなりお泊まりなんて、ど、どうしよう……!」
二十五日まであと三日しかない。
夕美は手帳を脇に置いて、急いで準備することと、持ち物のチェック表を作り始める。
「社長が幸せになることが私の望みなんだから、一緒にいて幸せに感じてもらえるように、がんばろう」
神原は夕美の気持ちを優先させたいと言ってくれた。彼の優しい気遣いを知るたびに、嬉しさで胸がいっぱいになる。
「でも私、社長だったら……、その日にしてもいい……。なんて言ったら、どう思われるかな」
自分で言っておきながら、恥ずかしさで体が熱くなる。
興奮冷めやらぬままベッドに入って「神原社長の幸福を願う儀式」を終えたあとも、さまざまな甘い期待と、彼に伝えなければと思い悩むことで、夕美はなかなか寝付けずにいた。
会社へ向かう夕美の足取りは、ふわっふわの羽毛のように軽く、軽すぎて空でも飛べそうな勢いだった。
土曜日に行われた「お見合い」の夢見心地から、未だ抜け出せずにいる。
(しつこいけど、また見ちゃお)
地下鉄のホームで電車を待つ間、バッグからスマホを取り出す。次の発車はすぐだが、確かめずにはいられない。
――今日は本当にありがとう。奥寺さんが僕を受け入れてくれたことに感謝しています。今夜は嬉しくて寝られそうにないよ。
帰宅後に届いた神原からのメッセージである。
お見合いの帰りにプライベートのアプリを交換し、メッセージを送り合うことが可能となったのだ。
そしてそのメッセージを繰り返し見ては、ひとりニヤけている。
(私、本当に社長とお見合いをしてお付き合いすることになったのよね? 会社で彼に会ったとたん目が覚めて、夢オチだったなんてことないよね?)
たびたび不安に襲われそうになるが、昨日実家の母に連絡したところ、神原の話はすべて本当だったのだからと、自分を安心させた。
「そういえば神原社長、毎日腕時計を着けてくれてて驚いてるのよ。夕美ちゃん、本当にありがとうね」
昼休みになり、一緒にランチに来た室井が夕美に言った。
「お役に立てて嬉しいです」
「ねえ、最近何か、いいことあった? いつも可愛いけど、今日はすごく輝いてる気がする。すごく幸せそうに見えるよ?」
デミグラスソースがかかったオムライスを前に、室井が真面目な顔をして問う。
「そっ、そうですか? 嬉しいですけど、特に何もないですよ~」
室井は鋭いところがある。
神原とのことを話すのは、さすがに無理だろう。神原の了承も得ていないし、何より、ふたりの関係は始まったばかりなのだから。
「気のせいかもしれないけど、夕美ちゃんが幸せならいいのよ。私も嬉しいって言いたかっただけ」
室井が優しく笑いながら、スプーンでオムライスをすくう。夕美はハヤシライスに手を付けた。
「室井さんはどうですか? 先日の合コンの人、良さそうだったんですよね?」
「最初はいいなと思ったんだけど、スマホでやり取りを始めたらなんだか合わなくてね。向こうもそう思ってるみたいで、これ以上の進展はなさそう」
「そうでしたか……」
「あーあ、もうクリスマスだし、たまにはときめくデートでもしたいわ~、なんてね」
デートという単語にドキリとする。
見合いの帰り、タクシーの中で神原に「今度どこかへ出かけよう」と言われたのだ。
(お出かけイコール、デートでいいのよね? 昨日、張り切って洋服を買いに行ってしまったけど、社長は忙しいからデートは三ヶ月後とかだったら、せっかく買った洋服の季節が合わなかったりして……)
推しとデート。とんでもないパワーワードだ。
本当にこんな夢みたいなことがあっていいのだろうか……。
「夕美ちゃん、どうしたの?」
「えっ? あっ、すみません……!」
「もしかして仕事量が多すぎるんじゃない? 最近頑張りすぎだなって思ってたのよ。振り分けを見直そう」
「いえっ、それは全然大丈夫です! 最近、思い出し笑いすることが多くて……、ごめんなさい」
「ああ、この前夕美ちゃんが言ってた配信の人、私も見たよ。面白くてハマっちゃった」
あはは、と室井が笑ってくれたのでホッとする。
真剣に夕美のことを心配してくれる室井は、先輩という前に本当にいい人なのだ。その時が来たら、神原とのことを一番に彼女へ報告したいと思う。
夕美は帰宅後、風呂が湧くのを待ちながら、「推し活手帳」をこたつの上でひらいた。
「ああ~、幸せなことがありすぎて手帳に書ききれない……! 情報量が多過ぎるから、ページを継ぎ足さないと」
一日一ページの手帳を使っているのだが、神原に誘われて行った食事の夜から細かい文字で書いてもページが全然足りない。
夕美はお気に入りのメモ帳に追加情報を書き、切り離して、手帳のページを継ぎ足した。こんな手間も、社長に関することなら楽しくて仕方がなかった。
「私、本当に社長とお付き合いするのよね……? まだ信じられない……」
スマホを取り出して神原とのやり取りを眺め、「本当だった」とまた確かめる。
「勝手に笑いがこみ上げちゃう。こんなんじゃ、室井さんに指摘されるのは当然だよね。……わっ、社長! って、ええっ、通話っ!?」
メッセージではなく通話だとは思わなかったので、あたふたしながらスマホをタップした。
「はいっ、奥寺ですっ!」
『こんばんは。遅くなってごめん。今、大丈夫?』
「全然、大丈夫です! 社長はこのお時間まで、お仕事ですか?」
『会食という仕事だね。でも、奥寺さんの声を聞いたら疲れが吹き飛んだよ』
嬉しそうな神原の声を聞くだけで、体が溶けてしまいそうなくらいに心地良い。
『奥寺さんの休みは二十五日からだよね? 実家に帰るのはいつ頃になりそう?』
会社内では、週の半分をリモートで仕事する人や、年末ギリギリまで営業をする人、夕美のように早めに休みを取って、年始は早めに出る人など、自由に設定ができるため、仕事納めは個人で違うのだ。
「休みは二十五日からなんですが、昨日、社長とのお見合いの話を両親にした際、今年の年末年始は帰らなくていいと言われたんです。理由はその……」
『僕と一緒にいるように、って?』
「どうしてわかったんですか!?」
先読みされた夕美は驚きの声を上げた。
母にお見合いの件で話をし、その時に「神原さんとたくさんデートしなさいよ~」などとからかわれたのだ。
『実は僕も昨日、ご両親に電話をさせてもらったんだよ。お見合いについてのお礼を話したら、今年は奥寺さんを帰らせないってお母さんが言ってたんで、ピンと来たんだ。でも君は家に帰りたいかもしれないから、敢えて僕からは言わなかったんだけどね』
「お気遣い、ありがとうございます。ロッジの人手も足りているようですし、今年は帰りません。その……社長とお会いしたいから」
正直な気持ちを言ってしまった。
『ありがとう、嬉しいな。僕もたくさん会いたいと思ったから』
こういう甘い言葉を言われたとき、どう返して良いかわからずに言葉に詰まる自分がもどかしかった。
『じゃあ、実家にはオフシーズンになったら一緒に行こうか? 僕もご両親に直接会ってご挨拶したいから』
「いいんですか?」
『もちろん。逆に、僕が一緒でお邪魔じゃないかな』
「そんなことありません。私はすごく嬉しいですし、母も父も喜ぶと思います」
三人が話している姿を見てみたいし、両親に神原のことを詳しく聞きたいので、その提案はかえってありがたかった。
『では改めて。二十五日は僕も休みを取っているから、その日に出かけない?』
「嬉しいです、ぜひ!」
『良かった。それで、二日間の予定になるんだけど、いいかな?』
神原の問いかけに、夕美の心臓がドキッとする。
「あの、もしかして、お泊まりということでしょうか……?」
『ああ、そうなんだ。奥寺さんにどうしても食べてもらいたいところがあって、場所が都心から離れてるんだよ。どうせなら泊まったほうが酒も飲めると思って』
「わ、わかりました……!」
突然ではあるが、覚悟を決めよう。
夕美はまだ誰とも付き合ったことがなく、当然のようにセックスの経験はない。だから、たとえ推しの誘いでも、泊まりがけで出かけると言われれば、かなりの勇気がいる。
しかし急な話とはいえ、大好きな推しが初めての相手というのは幸運だろう。神原と付き合っていれば、いずれその時は訪れるのだ。だったら、すぐにそういうことをしても、同じというわけで……。
一瞬のうちにあれこれ考えを巡らせていると、神原の戸惑いの声が届いた。
『……ん? ああ、そうか! いやその……、ごめん!』
「社長?」
『ただ一緒に過ごしたいっていうだけなんだよ。宿が取れたから嬉しくて、つい勢いで誘ってしまった。心配させてごめん。僕は奥寺さんの気持ちを優先させたいから、いきなり襲いかかったりはしないよ。安心して』
「そういうことだったんですね。……でも『襲いかかる』って」
初めて聞く、慌てふためく神原の声を可愛く感じてしまい、思わずクスッと笑いがこぼれる。
『笑われてしまったな……』
バツが悪そうにぽつりと言った神原も、夕美に釣られて小さく笑った。
「いろいろ考えてくださってありがとうございます。ぜひ一緒に行きたいです」
『よし、じゃあ決まりだね。行き先はメッセージで送るよ。楽しみだな』
「私もすごく楽しみです」
『じゃあ、また。おやすみ』
「おやすみなさい」
通話は切れたが、夕美はスマホを握りしめたまま大きく息を吐いた。
「はぁああああ、ビックリしたぁあ……! いきなりお泊まりなんて、ど、どうしよう……!」
二十五日まであと三日しかない。
夕美は手帳を脇に置いて、急いで準備することと、持ち物のチェック表を作り始める。
「社長が幸せになることが私の望みなんだから、一緒にいて幸せに感じてもらえるように、がんばろう」
神原は夕美の気持ちを優先させたいと言ってくれた。彼の優しい気遣いを知るたびに、嬉しさで胸がいっぱいになる。
「でも私、社長だったら……、その日にしてもいい……。なんて言ったら、どう思われるかな」
自分で言っておきながら、恥ずかしさで体が熱くなる。
興奮冷めやらぬままベッドに入って「神原社長の幸福を願う儀式」を終えたあとも、さまざまな甘い期待と、彼に伝えなければと思い悩むことで、夕美はなかなか寝付けずにいた。
26
あなたにおすすめの小説
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
如月 そら
恋愛
「二度目は偶然だが、三度目は必然だ。三度目がないことを願っているよ」
(三度目はないからっ!)
──そう心で叫んだはずなのに目の前のエリート役員から逃げられない!
「俺と君が出会ったのはつまり必然だ」
倉木莉桜(くらきりお)は大手エアラインで日々奮闘する客室乗務員だ。
ある日、自社の機体を製造している五十里重工の重役がトラブルから莉桜を救ってくれる。
それで彼との関係は終わったと思っていたのに!?
エリート役員からの溺れそうな溺愛に戸惑うばかり。
客室乗務員(CA)倉木莉桜
×
五十里重工(取締役部長)五十里武尊
『空が好き』という共通点を持つ二人の恋の行方は……
恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~
泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の
元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳
×
敏腕だけど冷徹と噂されている
俺様部長 木沢彰吾34歳
ある朝、花梨が出社すると
異動の辞令が張り出されていた。
異動先は木沢部長率いる
〝ブランディング戦略部〟
なんでこんな時期に……
あまりの〝異例〟の辞令に
戸惑いを隠せない花梨。
しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!
花梨の前途多難な日々が、今始まる……
***
元気いっぱい、はりきりガール花梨と
ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。
私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜
みかん桜
恋愛
身長172センチ。
高身長であること以外ごく普通のアラサーOL、佐伯花音。
婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。
「名前からしてもっと可愛らしい人かと……」ってどういうこと?
そんな男、こっちから願い下げ!
——でもだからって、イケメンで仕事もできる副社長……こんなハイスペ男子も求めてないっ!
って思ってたんだけどな。気が付いた時には既に副社長の手の内にいた。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる