最推しと結婚できました!

葉嶋ナノハ

文字の大きさ
19 / 61

19 愛しい肌と夜の事情(1)

しおりを挟む

 長い長いキスのあと、千影の唇は夕美の頬に押し付けられ、耳たぶに移動した。

「あ……」

 彼がそこを甘噛みする。そして耳の周辺も何度かキスされた。千影の息が耳に入り込むたびにぞくりと夕美の肌が粟立ち、体が震えてしまう。
 夕美の両手首は彼に掴まれてシーツに押しつけられているため、身動きが上手く取れなかった。

「あ、あの……」

「ん?」

「キ、キスするだけって、千影さん」

 夕美の耳元から顔を離した千影が、こちらを見下ろした。

「うん、キスしてるだけだよ? 問題ないよね?」

「そ、そうだけど、なんか」

 千影の瞳を見つめて訴えるが、彼は優しい笑みを見せるだけだ。
 そして彼は戸惑う夕美の首筋に顔を埋めた。

「んん……っ!」

 ちゅっとキスされて、思わず声が漏れ出てしまう。味わったことのない感覚がそこから広がり、下腹がきゅんと甘くわなないた。

 千影は夕美の手を離し、首筋にキスを落としながら、浴衣の合わせを引いた。あらわになった鎖骨も唇で探り始める。

「えっ、そこ、そんな……、あっ」

 千影は何度もキスをし、夕美の肌を舐めている。ちゅっちゅという音が卑猥なものに聞こえ、恥ずかしさに耐えきれなくなった夕美は、解放された手で自分の顔を覆った。

 首と鎖骨を愛撫されているだけなのに、体の奥が疼いて仕方がない。
 夕美は足をもぞもぞさせて自分をごまかそうとしたが、脚の間が濡れ始めているのを確認できただけだった。

(どうしてこんなに感じちゃうの。このままじゃ私……。千影さんは私のために今夜はしないって言ってくれたのに……、その気持ちを大切にしたいのに……、私のほうが我慢できるか、自信がない……)

 高まる興奮を抑えるように何度も息を吐き、どうにか耐え続ける。頭がクラクラして、体が熱くてたまらない。

「後ろから抱きしめたいから、横向きになろうか」

「……あ、うん」

 これでキスは終わりだと思うと、ホッとしたような、まだ続けて欲しいような、複雑な気持ちを隠しながら、彼の指示に従った。

 キスだけなのに体の力が抜けてしまった夕美は、のろのろとどうにか横向きになる。

「じゃあ今度はここにキスするね」

「え……っ!」

 浴衣の肩をするりと剥かれてしまい、驚いて声を上げた。抱き合っているうちに帯が緩んでいたのか、いとも簡単に肌が露出する。

 夕美の髪をかき分けた千影は、背中に唇を押しつけた。

「あぁっ」

 思わぬ快感に声が飛び出してしまう。
 彼は夕美に構わず、そこからゆっくり背骨に沿って唇を滑らせた。千影の感触が伝わるたびに、夕美の体がぴくんと震える。

「あ……あ、ダメ」

「どうしてダメなの?」

「ひう……っ!」

 囁く彼の吐息が背中にかかり、またもビクビクと体が反応した。
 そんな夕美の後ろから千影の手が伸び、下腹に回される。ちょうど子宮がある場所だ。

「変な声、出ちゃうから、もう……」

「全然変じゃないよ。夕美の可愛い声、もっと聞きたい」

「体が変、なの……っ、だからダメ……」

 涙目で訴えるが、後ろにいる彼には夕美の顔が見えない。体をよじろうとすると、千影の手が夕美の腰を捉えた。

「ねえ、夕美。……これ、わかる?」

 お尻に何か、固いものが当たる。押しつけられたソレを理解した瞬間、かぁっと夕美の顔が熱くなった。

「……千影さん、の?」

 確かめるように呟くと、さらに彼のモノをグッと押しつけられる。

「そう。夕美が可愛くてこんなに興奮してるんだよ。だから、夕美と同じ。恥ずかしがらなくていい」

「で、でも……」

「じゃあ、どうしてほしいか言ってみようか。素直になってくれたほうが嬉しいから」

「あっ、んんっ」

 またも背中に彼の唇が触れる。今度は何度も強く押しつけ、移動しながら大きな音を立てた。

 千影が触れている下腹が、やるせなさに甘く疼く。

「……っ、触って」

 体が欲するままに、夕美の唇から言葉がこぼれた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない

如月 そら
恋愛
「二度目は偶然だが、三度目は必然だ。三度目がないことを願っているよ」 (三度目はないからっ!) ──そう心で叫んだはずなのに目の前のエリート役員から逃げられない! 「俺と君が出会ったのはつまり必然だ」 倉木莉桜(くらきりお)は大手エアラインで日々奮闘する客室乗務員だ。 ある日、自社の機体を製造している五十里重工の重役がトラブルから莉桜を救ってくれる。 それで彼との関係は終わったと思っていたのに!? エリート役員からの溺れそうな溺愛に戸惑うばかり。 客室乗務員(CA)倉木莉桜 × 五十里重工(取締役部長)五十里武尊 『空が好き』という共通点を持つ二人の恋の行方は……

恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~

泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の 元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳  ×  敏腕だけど冷徹と噂されている 俺様部長 木沢彰吾34歳  ある朝、花梨が出社すると  異動の辞令が張り出されていた。  異動先は木沢部長率いる 〝ブランディング戦略部〟    なんでこんな時期に……  あまりの〝異例〟の辞令に  戸惑いを隠せない花梨。  しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!  花梨の前途多難な日々が、今始まる…… *** 元気いっぱい、はりきりガール花梨と ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。

私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜

みかん桜
恋愛
身長172センチ。 高身長であること以外ごく普通のアラサーOL、佐伯花音。 婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。 「名前からしてもっと可愛らしい人かと……」ってどういうこと? そんな男、こっちから願い下げ! ——でもだからって、イケメンで仕事もできる副社長……こんなハイスペ男子も求めてないっ! って思ってたんだけどな。気が付いた時には既に副社長の手の内にいた。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

処理中です...