44 / 88
第39話 執事からの告白
しおりを挟む
彼以外に同行者がいるような気配は特に感じられない。私はとりあえず執事服を着た彼に声をかけてみた。
「もしかしてあなたがこの手紙を書いたんですか?」
「はい、そうです。ジュナ様の名前をお借りしてお送りさせていただきました。嘘をついてしまってすみません」
彼は丁寧に頭を下げる。私は頭をあげるようにと伝えた。
(なんか、訳ありって感じの雰囲気があるな……)
「なぜ、手紙を書いて送ったんですか?」
「あ、それは……あの、場所を移動してもらってもいいですか?」
何かやんごとなき事情があるのだろう。場所を移してほしいという彼の要望に対して、私はハイダの方を見る。
「移しましょう。宮廷の医務室辺りで話を聞くと致しましょうか」
「そうですね、そうしましょう」
こうして、彼を宮廷へと入れて医務室にて話を聞く事となった。念の為兵士もこのままついてきてもらっている。
宮廷に入る前に、兵士にはもう2人程声をかけて増員する。
「どうぞお入りください」
私がドアを開けて医務室に入るよう、彼に促すと彼は頭を下げて入室した。兵士がドアを閉めてハイダと私がそれぞれ椅子を用意させ更に紅茶も用意し、彼が話しやすいような空間を作る。
「失礼します」
執事は椅子に着席し、ハイダから手渡された紅茶を受け取ると一口、二口とゆっくりと飲み始めた。そして目を私に合わせて来る。
「では、なぜ手紙を書いたのかお話しいただけますか? ゆっくりでいいので」
「はい、結論から言うと私は今ジュナ様に……犯される日を送っています」
「え、ジュナから?」
「はい。暴力とかではないんです。私を、その……犯すだけで。命令通りにしないと怒られるので」
要はジュナが彼と肉体関係にある。という事か。そしてそれはジュナからの命令である事。
いや、彼女にはジョージがいるではないか。なぜジョージがいるにも関わらず不貞を働くのだろうか。
「心当たりはありますか?」
「ジャスミン様、それが……よくわからないんです。でも、いつもジュナ様がおっしゃっているのはジョージ様への不満だったり、ジャスミン様への不満や王太子殿下が自分に見向きもしない事とかで……」
なるほど。こないだ母親とジョージがアダン様の部屋に来ていたが、それで私が薬師として宮廷にいたのを母親かジョージから聞き嫉妬しているのだろう。
あのわがままなジュナの事だ。ジョージでは満足できなくなってきているのかもしれない。
「ジョージについてはなんて?」
「あ、ジョージ様よりも私の方がものが硬くて大きくて気持ち良い、と。それにあまり最近ジョージ様は子作りに対して積極的ではないと。仲はそこまで冷え切っているようには見えませんが」
(そういう事ね)
「私については?」
「王太子殿下を狙っているんじゃないかと言う疑いの目は向けていました」
「やっぱりね……そう言うと思いました」
まとめてみると、ジュナはこの執事と不貞関係にある事。ジョージはジュナとの子作りに対してあまり積極的ではないという事、そして私に嫉妬と疑いの目を向けている事。この3点だ。
「それで手紙を書いて、私達を呼んだんですね?」
「はい、ジャスミン様。もう耐えられなくて、手紙を書きました」
本来、不貞は重い罪となる。だがそれでも彼はジュナに良いように利用されるのに耐えられずこうして私達に告白をしてくれたのだ。私は彼によく告白してくれてありがとうございました。とまずは感謝の意を示した。
「いえ、本来は許されるべき行為では無いのは自覚しています。勿論私も罪を受ける覚悟はあります。死刑になっても文句は言いません」
そうきっぱりと言い切った執事。彼の目は力強く私やハイダ、兵達を捉えていた。
「ジャスミンさん、とりあえずはアダン様にご報告しましょう」
「そうですね、このまま彼にも来ていただきましょうか」
「それがいいです。私達では手に負えなさそうですし」
ハイダの言う通り、これは立派な不貞罪が成立しそうなのは確実だろう。となるとこれは宮廷の薬師である私ではどうにもならない問題となる。
「私がアダン様をお呼びします」
私はそのまま部屋から出て、兵2人と共にアダン様を呼びに行った。アダン様は王太子殿下の間で、公務に励んでいる。
「薬師のジャスミンです。アダン様に急を要する話があります」
「どうぞ」
執事に案内されてアダン様の前に向かった。私の後に兵と執事がそれぞれ並んでいる。
「ジャスミン、どうした? 兵と執事もいるようだけど」
「私の妹がこの執事相手に不貞を働いているという話を聞きまして」
「なんだって?」
アダン様が眉をひそめながら椅子から立ち上がり、私と執事の元に歩み寄る。
「この執事とかい?」
「はい、強引に……だ、そうで。執事が打ち明けてくださいました」
「そうか……わかった。執事よ、こちらへ。ジャスミンは休んでていいよ」
「はい」
「今から取り調べを行う。兵よ、記録係を連れてきたまえ」
「かしこまりました」
ここはひとまずアダン様に任せるしか無い。私は一礼をしてからこの場から静かに去ったのだった。
「もしかしてあなたがこの手紙を書いたんですか?」
「はい、そうです。ジュナ様の名前をお借りしてお送りさせていただきました。嘘をついてしまってすみません」
彼は丁寧に頭を下げる。私は頭をあげるようにと伝えた。
(なんか、訳ありって感じの雰囲気があるな……)
「なぜ、手紙を書いて送ったんですか?」
「あ、それは……あの、場所を移動してもらってもいいですか?」
何かやんごとなき事情があるのだろう。場所を移してほしいという彼の要望に対して、私はハイダの方を見る。
「移しましょう。宮廷の医務室辺りで話を聞くと致しましょうか」
「そうですね、そうしましょう」
こうして、彼を宮廷へと入れて医務室にて話を聞く事となった。念の為兵士もこのままついてきてもらっている。
宮廷に入る前に、兵士にはもう2人程声をかけて増員する。
「どうぞお入りください」
私がドアを開けて医務室に入るよう、彼に促すと彼は頭を下げて入室した。兵士がドアを閉めてハイダと私がそれぞれ椅子を用意させ更に紅茶も用意し、彼が話しやすいような空間を作る。
「失礼します」
執事は椅子に着席し、ハイダから手渡された紅茶を受け取ると一口、二口とゆっくりと飲み始めた。そして目を私に合わせて来る。
「では、なぜ手紙を書いたのかお話しいただけますか? ゆっくりでいいので」
「はい、結論から言うと私は今ジュナ様に……犯される日を送っています」
「え、ジュナから?」
「はい。暴力とかではないんです。私を、その……犯すだけで。命令通りにしないと怒られるので」
要はジュナが彼と肉体関係にある。という事か。そしてそれはジュナからの命令である事。
いや、彼女にはジョージがいるではないか。なぜジョージがいるにも関わらず不貞を働くのだろうか。
「心当たりはありますか?」
「ジャスミン様、それが……よくわからないんです。でも、いつもジュナ様がおっしゃっているのはジョージ様への不満だったり、ジャスミン様への不満や王太子殿下が自分に見向きもしない事とかで……」
なるほど。こないだ母親とジョージがアダン様の部屋に来ていたが、それで私が薬師として宮廷にいたのを母親かジョージから聞き嫉妬しているのだろう。
あのわがままなジュナの事だ。ジョージでは満足できなくなってきているのかもしれない。
「ジョージについてはなんて?」
「あ、ジョージ様よりも私の方がものが硬くて大きくて気持ち良い、と。それにあまり最近ジョージ様は子作りに対して積極的ではないと。仲はそこまで冷え切っているようには見えませんが」
(そういう事ね)
「私については?」
「王太子殿下を狙っているんじゃないかと言う疑いの目は向けていました」
「やっぱりね……そう言うと思いました」
まとめてみると、ジュナはこの執事と不貞関係にある事。ジョージはジュナとの子作りに対してあまり積極的ではないという事、そして私に嫉妬と疑いの目を向けている事。この3点だ。
「それで手紙を書いて、私達を呼んだんですね?」
「はい、ジャスミン様。もう耐えられなくて、手紙を書きました」
本来、不貞は重い罪となる。だがそれでも彼はジュナに良いように利用されるのに耐えられずこうして私達に告白をしてくれたのだ。私は彼によく告白してくれてありがとうございました。とまずは感謝の意を示した。
「いえ、本来は許されるべき行為では無いのは自覚しています。勿論私も罪を受ける覚悟はあります。死刑になっても文句は言いません」
そうきっぱりと言い切った執事。彼の目は力強く私やハイダ、兵達を捉えていた。
「ジャスミンさん、とりあえずはアダン様にご報告しましょう」
「そうですね、このまま彼にも来ていただきましょうか」
「それがいいです。私達では手に負えなさそうですし」
ハイダの言う通り、これは立派な不貞罪が成立しそうなのは確実だろう。となるとこれは宮廷の薬師である私ではどうにもならない問題となる。
「私がアダン様をお呼びします」
私はそのまま部屋から出て、兵2人と共にアダン様を呼びに行った。アダン様は王太子殿下の間で、公務に励んでいる。
「薬師のジャスミンです。アダン様に急を要する話があります」
「どうぞ」
執事に案内されてアダン様の前に向かった。私の後に兵と執事がそれぞれ並んでいる。
「ジャスミン、どうした? 兵と執事もいるようだけど」
「私の妹がこの執事相手に不貞を働いているという話を聞きまして」
「なんだって?」
アダン様が眉をひそめながら椅子から立ち上がり、私と執事の元に歩み寄る。
「この執事とかい?」
「はい、強引に……だ、そうで。執事が打ち明けてくださいました」
「そうか……わかった。執事よ、こちらへ。ジャスミンは休んでていいよ」
「はい」
「今から取り調べを行う。兵よ、記録係を連れてきたまえ」
「かしこまりました」
ここはひとまずアダン様に任せるしか無い。私は一礼をしてからこの場から静かに去ったのだった。
19
あなたにおすすめの小説
【完結】呪いを解いて欲しいとお願いしただけなのに、なぜか超絶美形の魔術師に溺愛されました!
藤原ライラ
恋愛
ルイーゼ=アーベントロートはとある国の末の王女。複雑な呪いにかかっており、訳あって離宮で暮らしている。
ある日、彼女は不思議な夢を見る。それは、とても美しい男が女を抱いている夢だった。その夜、夢で見た通りの男はルイーゼの目の前に現れ、自分は魔術師のハーディだと名乗る。咄嗟に呪いを解いてと頼むルイーゼだったが、魔術師はタダでは願いを叶えてはくれない。当然のようにハーディは対価を要求してくるのだった。
解呪の過程でハーディに恋心を抱くルイーゼだったが、呪いが解けてしまえばもう彼に会うことはできないかもしれないと思い悩み……。
「君は、おれに、一体何をくれる?」
呪いを解く代わりにハーディが求める対価とは?
強情な王女とちょっと性悪な魔術師のお話。
※ほぼ同じ内容で別タイトルのものをムーンライトノベルズにも掲載しています※
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました
有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。
魔力が弱い私には、価値がないという現実。
泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。
そこで目覚めた彼は、私を見て言った。
「やっと見つけた。私の番よ」
彼の前でだけ、私の魔力は輝く。
奪われた尊厳、歪められた運命。
すべてを取り戻した先にあるのは……
不器用な大富豪社長は、闇オクで買った花嫁を寵愛する
獅月@体調不良
恋愛
「 御前を幸せにする為に、俺は買ったんだ 」
〜 闇オク花嫁 〜
毒親である母親の為だけに生きてきた彼女は、
借金を得た母の言葉を聞き、
闇オークションへ売られる事になった。
どんな形にしろ借金は返済出来るし、
母の今後の生活面も確保出来る。
そう、彼女自身が生きていなくとも…。
生きる希望を無くし、
闇オークションに出品された彼女は
100億で落札された。
人食を好む大富豪か、
それとも肉体を求めてか…。
どちらにしろ、借金返済に、
安堵した彼女だが…。
いざ、落札した大富豪に引き渡されると、
その容姿端麗の美しい男は、
タワマンの最上階から5階部分、全てが自宅であり、
毎日30万のお小遣いですら渡し、
一流シェフによる三食デザート付きの食事、
なにより、彼のいない時間は好きにしていいという自由時間を言い渡した。
何一つ手を出して来ない男に疑問と不満を抱く日々……だが……?
表紙 ニジジャーニーから作成
エブリスタ同時公開
婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!
柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。
敵将を捕虜にしたら夫になって、気づけば家族までできていました
蜂蜜あやね
恋愛
戦場で幾度も刃を交えてきた二人――
“赤い鷲”の女将軍イサナと、
“青狼”と恐れられたザンザの将軍ソウガ。
最後の戦いで、ソウガはイサナの軍に捕らえられる。
死を覚悟したその瞬間――
イサナは思わず、矢面に立っていた。
「その者は殺させない。命は……私が引き受けます」
理由などなかった。
ただ、目の前の男を失いたくなかった。
その報告を受けた皇帝エンジュは、
静かに、しかし飄々とした口調で告げる。
「庇いたいというのなら――夫として下げ渡そう」
「ただし、子を成すこと。それが条件だ」
敵国の将を“夫”として迎えるという前代未聞の処置。
拒否権はない。
こうしてソウガは、捕虜でありながら
《イサナの夫》としてアマツキ邸に下げ渡される。
武でも策でも互角に戦ってきた男が、
今は同じ屋根の下にいる。
捕虜として――そして夫として。
反発から始まった奇妙な同居生活。
だが、戦場では知り得なかった互いの素顔と静かな温度が、
じわじわと二人の距離を変えていく
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる