婚約者を妹に奪われ、家出して薬師になった令嬢は王太子から溺愛される。

二位関りをん

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第41話 後始末

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 ジュナは何も言わずに捕縛されたまま兵に連行されてその場を後にした。自身を縛る縄を掴まれ時折よろめく力ない歩き方は、彼女らしく無く見えた。

(ジュナ……これでいい)
「ジャスミン。彼女は今日はそのまま屋敷に軟禁されて、明日流刑に処されると父上からのお言葉だ」
「どこに流されるんですか?」
「北部の国境付近の修道院と聞いている。そこは修道院になる前は監獄だったそうで今もその時の施設が残っているからね」
「そうですか、わかりました。ご迷惑をおかけしてしまいすみませんでした」

 ジュナは屋敷に軟禁され、ジョージと正式に離縁し翌日簡素な馬車に乗せられて修道院へと移送されていった。
 兵曰く屋敷についてからもずっと黙っていたらしい。しかし修道院行の馬車に乗る際はなんでこうなったのかと時々不満を口に出していたようだ。
 
(そうだろうなと思った)

 ジョージはジュナと離縁した後、ヨージス侯爵、いや伯爵家と養子縁組した。実家には帰らずそのままヨージス家に留まるつもりのようだ。そこは私の予想通りと言うべきか。伯爵家に格下げされた事で、屋敷も手放し、少し狭めで宮廷からは少し遠い場所にある新居に移り住んだのだった。両親とジョージの3人には、しばらくは兵の監視が付き、仕事以外の外出は禁止と言う半分は軟禁状態に置かれるのだとか。
 侯爵家から伯爵家に格下げされたとはいえ、現時点では両親の動向は特に変化も無いと聞いている。ジョージにも怪しい動きは無いとの兵からの報告だった。
 最後にジュナが手を出したあの執事は退職し、故郷に戻ったと聞いた。無罪放免とはいえよほどトラウマになっていたのだろうか、もう執事として働く事は無い。とアダン様や兵に語ったという。
 兎に角、これにてジュナの不貞騒ぎは幕を閉じたのだった。

「これでいいんだ」

 ようやくしばらくは家族の事を考えずに、静かに暮らせそうだ。そう胸の底から深く感じる。

「ジャスミン、今日はよろしくね」
「はい、アダン様」

 私はアダン様や国王陛下の公務にも薬師として同行するようになっていった。仕事にもだいぶ慣れて、ミスも減った気がする。
 今日は国王陛下と王妃アネーラ、アダン様の公務に同行している。公務の内容は新しく完成した歌劇場にてオペラを観劇するというもの。専用のボックス席に座り、オペラを観劇する。

「ああ、姫よ!」
「陛下!」

 オペラの内容は悲恋ものだった。オーケストラの迫力かつ重厚感のある演奏に、演者の鬼気迫る歌と演技が見ているだけで脳裏に焼き付く。

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