7 / 58
第6話 エドワード王太子
その顔を近くで見たレゼッタは私にどうにかしろと耳打ちして来た。
「お姉様。私はもうこんな汚い場所いたくないわよ。どうにかしなさいよ」
「わかりました。では代わりに私達が引き続き業務にあたると言ってきます」
「ええ、そうしなさい。お姉様には屋敷よりもこの汚い野戦病院の方がお似合いかもね?」
レゼッタはそう言い残し早足で屋外に出ると離宮を後にしようと馬車に乗り込む。すると衛生兵がレゼッタの元に汗を垂らしながら駆け寄って来た。
「聖女様! エドワード様が……!」
エドワード。もしかして隣国のエドワード様だろうか。衛生兵の奥にはひどいやけど跡を負った男性が担架に乗せられ運ばれて行くのが見える。
「はあ。私はもう時間が無いの。お姉様、後はよろしく。まあ助からないでしょうけどね?」
「……っ。お嬢様、かしこまりました……」
レゼッタはそのまま馬車で屋敷へと戻って行った。私は衛生兵に付いていく。
衛生兵から話を聞くとエドワード様はやはり隣国のあのエドワード様だった。どうやら最近王太子に即位したばかりらしい。確かにあのさらさらした金髪は変わっていない。それにぱっと見彼はがっしりとした身体つきに長身の部類に見える。
エドワード様は建物の奥の個室へと運ばれた。息はうっすらあるものの意識は無く、全身のほとんどに重度のやけどを負っている。レゼッタが言ったようにこれはもう助からないのでは……と呟く衛生兵もいた。
だが、私は聖女だ……。まだ死んでいないならチャンスはある。
「皆さんどいてください。私が診ます」
「あなたは……聖女のメイドか」
「はい。聖女の魔法薬がここにあります。それに私は薬師の資格もありますので」
正確には私が作った魔法薬なのだが。やけど用の魔法薬をポケットから取り出しエドワード様の服を衛生兵に脱がしてもらうと全身にくまなく魔法薬を塗る。するとやけど跡はゆっくりと消えて行ったが、まだいくつか残っている。
(魔法薬だけでは駄目か。治癒魔法を使わないと……)
両手を組み、祈るようにして治癒魔法を使う。私の周囲が青白く光だし、その光がエドワード様の身体全体をふわふわと覆う。
「おおっ……!」
「すごい、みるみる治っていく……!」
やけど跡は全て治り、美しいつやつやした肌となる。だがエドワード様はまだ意識を失ったままだ。
(何か、術でもかかった?)
「あの、どういう経緯でエドワード様がお怪我をされたか分かりますか?」
一緒に部屋に入った彼の側近に話を聞くと、大砲及び魔法による攻撃をまともに食らったという事を知る。
「衝撃がまだ残っているのかもしれません……」
「なるほど」
衝撃が残っているとなると、彼が目覚めるまで待つより他はない。ただ息はしているので安心は出来る。
私はエドワード様を側近と衛生兵に任せ、建物に残ったメイド達と共に負傷兵を手当したのだった。
「お姉様。私はもうこんな汚い場所いたくないわよ。どうにかしなさいよ」
「わかりました。では代わりに私達が引き続き業務にあたると言ってきます」
「ええ、そうしなさい。お姉様には屋敷よりもこの汚い野戦病院の方がお似合いかもね?」
レゼッタはそう言い残し早足で屋外に出ると離宮を後にしようと馬車に乗り込む。すると衛生兵がレゼッタの元に汗を垂らしながら駆け寄って来た。
「聖女様! エドワード様が……!」
エドワード。もしかして隣国のエドワード様だろうか。衛生兵の奥にはひどいやけど跡を負った男性が担架に乗せられ運ばれて行くのが見える。
「はあ。私はもう時間が無いの。お姉様、後はよろしく。まあ助からないでしょうけどね?」
「……っ。お嬢様、かしこまりました……」
レゼッタはそのまま馬車で屋敷へと戻って行った。私は衛生兵に付いていく。
衛生兵から話を聞くとエドワード様はやはり隣国のあのエドワード様だった。どうやら最近王太子に即位したばかりらしい。確かにあのさらさらした金髪は変わっていない。それにぱっと見彼はがっしりとした身体つきに長身の部類に見える。
エドワード様は建物の奥の個室へと運ばれた。息はうっすらあるものの意識は無く、全身のほとんどに重度のやけどを負っている。レゼッタが言ったようにこれはもう助からないのでは……と呟く衛生兵もいた。
だが、私は聖女だ……。まだ死んでいないならチャンスはある。
「皆さんどいてください。私が診ます」
「あなたは……聖女のメイドか」
「はい。聖女の魔法薬がここにあります。それに私は薬師の資格もありますので」
正確には私が作った魔法薬なのだが。やけど用の魔法薬をポケットから取り出しエドワード様の服を衛生兵に脱がしてもらうと全身にくまなく魔法薬を塗る。するとやけど跡はゆっくりと消えて行ったが、まだいくつか残っている。
(魔法薬だけでは駄目か。治癒魔法を使わないと……)
両手を組み、祈るようにして治癒魔法を使う。私の周囲が青白く光だし、その光がエドワード様の身体全体をふわふわと覆う。
「おおっ……!」
「すごい、みるみる治っていく……!」
やけど跡は全て治り、美しいつやつやした肌となる。だがエドワード様はまだ意識を失ったままだ。
(何か、術でもかかった?)
「あの、どういう経緯でエドワード様がお怪我をされたか分かりますか?」
一緒に部屋に入った彼の側近に話を聞くと、大砲及び魔法による攻撃をまともに食らったという事を知る。
「衝撃がまだ残っているのかもしれません……」
「なるほど」
衝撃が残っているとなると、彼が目覚めるまで待つより他はない。ただ息はしているので安心は出来る。
私はエドワード様を側近と衛生兵に任せ、建物に残ったメイド達と共に負傷兵を手当したのだった。
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。