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第二章
4-2
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そう言うと、ダリアとリアムはそそくさとお茶の準備を始めた。
カイはアルと共に部屋の隅にある椅子に腰を掛ける。
半日近く立ったままだったので足の筋肉の緊張が一気にほどけた。
「ダリアさん、すごく体力あるんだね」
「俺はいつもあの体力に振り回されていますが」
「それはカイが体力ないだけじゃない?」
その件に関しては痛いところを突かれ、何も言い返せない。
代わりにむっとしてみせると、おかしそうに笑いながらカイの頭にぽんぽんと手を置いた。
最近は頭を触るのがブームらしい。自分よりも年下の相手に頭を触られるというのは普通なら屈辱的だが、アルにそんなものは感じない。むしろ、気に入っていた。
しかし、そんな穏やかな時間をかき消すように突如扉を鳴らす音が響いた。
「どうした」
カイはいかにも不機嫌そうに冷気の籠もった声色で答えると、扉の向こうで男が話し始めた。
「休息日に申し訳ございません。ミギア指揮官より伝達です。広場で騒ぎが起きており、応援を求めるとのことです。至急、対応をお願いいたします。」
最悪の内容に頭を抱える。
なぜこんな日に限って、事件が起こるのか。ようやくアルとの時間が確保できたというのに。
ミギアが悪いのではない。この男が悪い訳でもない。
誰にも向けることのできない不満の感情が今にも爆発しそうだ。
するとアルが背中をバシッと叩いた。
「行ってきて!カイなら、すぐにお仕事終わらせて帰ってくるでしょ?大丈夫、待ってるから」
その言葉だけで元気が出る。
アルがくれる言葉は薬のようだ。
「わかりました、行ってきます」
「うん!レッスンは大丈夫。アビルさんに教えてもらったこともあるし、練習なら1人でもできるから」
アビルの名前を出された途端に少し複雑な気持ちになる。
カイはミギアの言葉を思い出した。
帰ってきたらちゃんと話をしよう。自分の素直な気持ちを伝えて、どうしたらいいのか一緒に考えよう。
「帰ってくるまで待っててくださいね」
いつもの数倍やる気を奮い立たせて部屋を急いで飛び出した。
門前まで来ると既に馬車が用意されており、警備隊員が二人待っていた。
移動しがてら、騒動の詳細を聞く。内容自体は大したことはなく、またも喧嘩騒ぎが起きているということだ。
しかし、その人数が5、6人といつもよりも多いことから人手が足りていないらしい。
急いで向かうと、公園で人だかりを見つけた。
そして、その中心には見覚えのある姿も見える。
「ダルトくん?」
「あ、カイルア殿。お疲れ様です。」
どうやらカイが着くまでの間、代わりにダルトが仲裁をしてくれていたようで騒ぎの根幹となる人物達はすでに取り押さえられた後だった。
これにはさすがとしか言いようがない。
前回助けてもらった時もそうだが、ダルトはかなり武術に優れているのだろう。
地面へと押さえつけられている人や、連行されている人、それぞれ殴り合いをしたような痕跡はあるもののその他被害は無さそうだ。
「ダルトくん、ありがとう。また助けてもらったね」
「いえいえ、たまたま通りかかっただけですので。それより、この後事情聴取があるみたいですよ。これだけ人数がいると大変ですね」
ダルトは少し乱れた服を整えながら、辺りを見渡した。
体術はからっきしのカイに応援要請があったのは、もとより聴取のためだったのかもしれない。
面倒事だけを任されているような気がしたが、それは考えないことにした。
「それにしても、最近多いですね」
「そうだな。今日も休みだったのに」
「そうなのですか?にしては綺麗な装いですね」
「人と会ってたからな」
「おや、もしかして恋人とか……」
ダルトはこちらの顔を覗き込むように見ると、にやりと笑った。
カイは慌てて否定した。
「違う違う!」
「そうですか。カイルア殿はとても素敵な方なので恋人かと思いました」
「そんな人いないよ」
そう否定はしつつも「大切な人ではあるけど」と心の中で呟く。
「……いないんですね」
「ん?なに?」
「い、いえ、なんでもありません」
「そう。アビルくんはいないの?」
「いませんよ。でも好きな人はいます」
アビルは視線を逸らすとほんの少し肩を揺らした。
カイはそのいじらしい様子にもう少し問い詰めたくなったが、正直今は仕事が優先だ。
「ところで、この現場の指揮をとっているのは誰だ?」
「あそこの馬車の前にいる人です」
「わかった、アビルくんは気をつけて帰りなよ」
「ありがとうございます」
アビルに別れを告げ、その場を後にしようとしたその時、連行される男とすれ違った。
「お前か、カイルアってやつは」
「なんでしょうか」
男を拘束している警備隊が「黙れ」と注意をするが、それを無視して話を続ける。
「さすが、ウォルン家さまさま。お陰でこの有様だ」
手枷をカイの目の前まで持ってくると、ジャラジャラと音を鳴らしてみせる。
この男には反省の色がない。自分がなぜ捕まったのかも意味がわからないといった様子だ。
「そりゃどーも。ハナマー家との合同捜査のお陰でもありますよ」
「けど、ハナマー家よりお前らの方が優秀なんだろ?」
「さぁ?どうですかね」
幸い、挑発めいた発言には軽く受け流す能力は持ち合わせている。
そもそも、そんな安い挑発に乗るはずもないのだが。
「まぁ、俺たちにはどーでもいいが。こんな噂聞いたことあるか?」
「なんですか?」
「ウォルン家が王家に気に入られようと必死だって話。終いには、王子はカイルア様にぞっこんだともな」
思ってもいない言葉に、息が詰まった。
何故それを知っている?
知っているのは王家とウォルン家のものだけ。確かに街でもたまに王子と出かけることがあったが、お披露目会がされていなければ、顔も分からないはず。
家に来る際は、紋章の入っていない馬車にし、手紙のやり取りですらウォルン家の専任を雇ったり、印を押さないなど細心の注意を払っている。
分からない。この男のデタラメかもしれない。けれども、そうであればこれほどピンポイントに当てられるものだろうか。
心臓が嫌な音を立てた。神経を逆撫でされるような不快な音。
でも、ここで動揺してしまっては相手の思うつぼだ。
カイは冷や汗の止まらない手を後ろで固く組むと、男に反論した。
「お前たちがどう言おうが構いません。街で迷惑行為を働く奴らに誰が耳を傾けるとでも?」
しかし、見透かされるように男は笑みを向けてきた。
「そう言っていられるのは今のうちだな」
そう言うと、男は楽しそうに高笑いしながら護送車へと歩いていった。
男の吐いた言葉が何度も頭の中で繰り返される。
まだそばにいたアビルは男に向かって暴言を吐いていたが、カイの耳には雑音にしか聞こえなかった。
カイはアルと共に部屋の隅にある椅子に腰を掛ける。
半日近く立ったままだったので足の筋肉の緊張が一気にほどけた。
「ダリアさん、すごく体力あるんだね」
「俺はいつもあの体力に振り回されていますが」
「それはカイが体力ないだけじゃない?」
その件に関しては痛いところを突かれ、何も言い返せない。
代わりにむっとしてみせると、おかしそうに笑いながらカイの頭にぽんぽんと手を置いた。
最近は頭を触るのがブームらしい。自分よりも年下の相手に頭を触られるというのは普通なら屈辱的だが、アルにそんなものは感じない。むしろ、気に入っていた。
しかし、そんな穏やかな時間をかき消すように突如扉を鳴らす音が響いた。
「どうした」
カイはいかにも不機嫌そうに冷気の籠もった声色で答えると、扉の向こうで男が話し始めた。
「休息日に申し訳ございません。ミギア指揮官より伝達です。広場で騒ぎが起きており、応援を求めるとのことです。至急、対応をお願いいたします。」
最悪の内容に頭を抱える。
なぜこんな日に限って、事件が起こるのか。ようやくアルとの時間が確保できたというのに。
ミギアが悪いのではない。この男が悪い訳でもない。
誰にも向けることのできない不満の感情が今にも爆発しそうだ。
するとアルが背中をバシッと叩いた。
「行ってきて!カイなら、すぐにお仕事終わらせて帰ってくるでしょ?大丈夫、待ってるから」
その言葉だけで元気が出る。
アルがくれる言葉は薬のようだ。
「わかりました、行ってきます」
「うん!レッスンは大丈夫。アビルさんに教えてもらったこともあるし、練習なら1人でもできるから」
アビルの名前を出された途端に少し複雑な気持ちになる。
カイはミギアの言葉を思い出した。
帰ってきたらちゃんと話をしよう。自分の素直な気持ちを伝えて、どうしたらいいのか一緒に考えよう。
「帰ってくるまで待っててくださいね」
いつもの数倍やる気を奮い立たせて部屋を急いで飛び出した。
門前まで来ると既に馬車が用意されており、警備隊員が二人待っていた。
移動しがてら、騒動の詳細を聞く。内容自体は大したことはなく、またも喧嘩騒ぎが起きているということだ。
しかし、その人数が5、6人といつもよりも多いことから人手が足りていないらしい。
急いで向かうと、公園で人だかりを見つけた。
そして、その中心には見覚えのある姿も見える。
「ダルトくん?」
「あ、カイルア殿。お疲れ様です。」
どうやらカイが着くまでの間、代わりにダルトが仲裁をしてくれていたようで騒ぎの根幹となる人物達はすでに取り押さえられた後だった。
これにはさすがとしか言いようがない。
前回助けてもらった時もそうだが、ダルトはかなり武術に優れているのだろう。
地面へと押さえつけられている人や、連行されている人、それぞれ殴り合いをしたような痕跡はあるもののその他被害は無さそうだ。
「ダルトくん、ありがとう。また助けてもらったね」
「いえいえ、たまたま通りかかっただけですので。それより、この後事情聴取があるみたいですよ。これだけ人数がいると大変ですね」
ダルトは少し乱れた服を整えながら、辺りを見渡した。
体術はからっきしのカイに応援要請があったのは、もとより聴取のためだったのかもしれない。
面倒事だけを任されているような気がしたが、それは考えないことにした。
「それにしても、最近多いですね」
「そうだな。今日も休みだったのに」
「そうなのですか?にしては綺麗な装いですね」
「人と会ってたからな」
「おや、もしかして恋人とか……」
ダルトはこちらの顔を覗き込むように見ると、にやりと笑った。
カイは慌てて否定した。
「違う違う!」
「そうですか。カイルア殿はとても素敵な方なので恋人かと思いました」
「そんな人いないよ」
そう否定はしつつも「大切な人ではあるけど」と心の中で呟く。
「……いないんですね」
「ん?なに?」
「い、いえ、なんでもありません」
「そう。アビルくんはいないの?」
「いませんよ。でも好きな人はいます」
アビルは視線を逸らすとほんの少し肩を揺らした。
カイはそのいじらしい様子にもう少し問い詰めたくなったが、正直今は仕事が優先だ。
「ところで、この現場の指揮をとっているのは誰だ?」
「あそこの馬車の前にいる人です」
「わかった、アビルくんは気をつけて帰りなよ」
「ありがとうございます」
アビルに別れを告げ、その場を後にしようとしたその時、連行される男とすれ違った。
「お前か、カイルアってやつは」
「なんでしょうか」
男を拘束している警備隊が「黙れ」と注意をするが、それを無視して話を続ける。
「さすが、ウォルン家さまさま。お陰でこの有様だ」
手枷をカイの目の前まで持ってくると、ジャラジャラと音を鳴らしてみせる。
この男には反省の色がない。自分がなぜ捕まったのかも意味がわからないといった様子だ。
「そりゃどーも。ハナマー家との合同捜査のお陰でもありますよ」
「けど、ハナマー家よりお前らの方が優秀なんだろ?」
「さぁ?どうですかね」
幸い、挑発めいた発言には軽く受け流す能力は持ち合わせている。
そもそも、そんな安い挑発に乗るはずもないのだが。
「まぁ、俺たちにはどーでもいいが。こんな噂聞いたことあるか?」
「なんですか?」
「ウォルン家が王家に気に入られようと必死だって話。終いには、王子はカイルア様にぞっこんだともな」
思ってもいない言葉に、息が詰まった。
何故それを知っている?
知っているのは王家とウォルン家のものだけ。確かに街でもたまに王子と出かけることがあったが、お披露目会がされていなければ、顔も分からないはず。
家に来る際は、紋章の入っていない馬車にし、手紙のやり取りですらウォルン家の専任を雇ったり、印を押さないなど細心の注意を払っている。
分からない。この男のデタラメかもしれない。けれども、そうであればこれほどピンポイントに当てられるものだろうか。
心臓が嫌な音を立てた。神経を逆撫でされるような不快な音。
でも、ここで動揺してしまっては相手の思うつぼだ。
カイは冷や汗の止まらない手を後ろで固く組むと、男に反論した。
「お前たちがどう言おうが構いません。街で迷惑行為を働く奴らに誰が耳を傾けるとでも?」
しかし、見透かされるように男は笑みを向けてきた。
「そう言っていられるのは今のうちだな」
そう言うと、男は楽しそうに高笑いしながら護送車へと歩いていった。
男の吐いた言葉が何度も頭の中で繰り返される。
まだそばにいたアビルは男に向かって暴言を吐いていたが、カイの耳には雑音にしか聞こえなかった。
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