禁欲の履歴書 伯母と甥、叶わぬままの情欲
はじめまして。富貴(ふき)と申します。
私がこの世に生を受けたのは、昭和二十三年、七月。 戦後の喧騒がまだそこかしこに残る、暑い夏のことでした。 それから幾度となく季節が巡り、私の中には膨大な時間の記憶が積み重なっています。
けれど、私の人生という物語において、どうしても色褪せることのない、鮮烈な光を放つひとつの糸筋があります。
それが、甥である「正樹」との歩みです。
正樹が生まれたのは、昭和四十九年、三月のこと。 夫の弟の子である彼と私とは、二十六歳の開きがあります。初めて彼を抱き上げたあの時、その腕のあまりの軽さと、対照的な生命の重みに、私はただ戸惑っていたのを覚えています。
これから綴るのは、伯母と甥という、世間から見ればあまりに明白な境界線を持った二人の、けれど誰にも踏み込ませなかった「秘めやかな領域」の記録です。
これは、私の記憶だけでも、彼の記憶だけでもありません。 二人で重ねた時間。 二人で見つめ合った視線。 そして、肌をかすめたあの時の体温。
そのすべてをたぐり寄せ、私の視点から、ひとつの物語として編み直しました。
若さゆえの輝きと、年を重ねたゆえの円熟。 その二つが交錯する瞬間に、何が生まれたのか。
かつて若者だった方々へ、そして、これから大人の階段を登る若き方々へ。 私たちの心の奥底に眠る、熱を帯びた記憶の蓋を、今から少しずつ開けていこうと思います。
それでは始まります。
私がこの世に生を受けたのは、昭和二十三年、七月。 戦後の喧騒がまだそこかしこに残る、暑い夏のことでした。 それから幾度となく季節が巡り、私の中には膨大な時間の記憶が積み重なっています。
けれど、私の人生という物語において、どうしても色褪せることのない、鮮烈な光を放つひとつの糸筋があります。
それが、甥である「正樹」との歩みです。
正樹が生まれたのは、昭和四十九年、三月のこと。 夫の弟の子である彼と私とは、二十六歳の開きがあります。初めて彼を抱き上げたあの時、その腕のあまりの軽さと、対照的な生命の重みに、私はただ戸惑っていたのを覚えています。
これから綴るのは、伯母と甥という、世間から見ればあまりに明白な境界線を持った二人の、けれど誰にも踏み込ませなかった「秘めやかな領域」の記録です。
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それでは始まります。
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