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第十六話 素直な気持ち

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 独特な雰囲気を放つ妖精の森へと着いた海斗は大妖精の治療を受けるために泉の前で大妖精を待っていると海斗の何倍もの大きさの妖精が泉の中から飛び出してくる

 大妖精「アスフェアー久しぶりじゃな!! 無事なのは知ってたけど悪い人間に捕まってないか心配だったぞ」

 アスフェア「はい いい人達に恵まれました」

 泉から派手に登場した大妖精は馴れ馴れしくアスフェアに話しかける、服の露出が凄く現実に居ると目のやり場に困る程の格好で馴れ馴れしい話し方も相まってか(うちのクラスギャルみたいだ……)と海斗は多少の親近感を感じている

 大妖精「それでそのボロボロな男は誰じゃ?さっきからうちをジロジロ見ているようじゃが」

 アスフェア「なにしてるの!!失礼でしょ!!」

 クラスメイトを思い出していた海斗は大妖精を見つめておりそれが癪に触ったのか大妖精は少し不機嫌そうだ
 

 カイト「すみません!!私はカイトと申しますどんな傷も治せるというあなたの治療を受けにここまで来ましたどうにかお願いできないでしょうか?」

 アスフェアに叱られた海斗は慌てて謝罪をしてここに来た目的を告げ不自然な敬語で大妖精に頭を下げてお願いする

 大妖精「まー見た感じそんなことだろうとはおもっていたがのう」

 海斗の状態を見てある程度は察していたのか大妖精は腕と足を組んで海斗をじっくりと見つめている
 
 大妖精「まあ別に構わんぞ」

 アスフェア「えっ?」

 カイト「そんなにアッサリと」

 事前にアスフェアから積極的では無い事を聞いており断られると思っていた二人は変な声がでてしまう
 

 大妖精「うちならその無くなった手足を元に戻す事が可能じゃ しかし覚悟はあるかのう?」

 カイト「覚悟?」

 大妖精は続けて話し海斗の額に指を当てて警告するように問いかける
 
 大妖精「そーじゃ あなたの無くなった手足 それは無から全てを再生させることとなる つまりとてつもない激痛が伴い最悪は死んだほうがマシと思うかもしれんのう」
 
 カイト「……それでも俺は仲間を助けるためにまた戦える体になりたいんです」

 大妖精の警告に一瞬だけ怯むがハッキリと自分の目的を伝える

 大妖精「過去に片腕を再生させた人間がいたがそいつは痛みで神経が狂ってしまったがな それも片腕だけでじゃ それに比べて貴様は両足と片腕 いったいどうなるのか想像もつかんのう」

 アスフェア「大妖精様... カイトやっぱり辞めたほうが」

 カイト「いいや やるね 仲間のためにもやらなければいけないんだ...」

 大妖精はさらに脅すような警告をしそれを聞いたアスフェアが普段よりも塩らしくなり珍しく海斗の心配をしているが覚悟を決めた海斗は真っ直ぐに大妖精を見つめる


 大妖精「いい覚悟じゃゾクゾクするのう」

 真っ直ぐな瞳を気に入ったのか大妖精はもう止める気はなさそうだ


 大妖精「もう止めたりはせん 奥の方に洞窟があるからそこへ来なさい もちろん1人でじゃ」

 何故大妖精がゾクゾクしていておまけに上機嫌な理由が気になる海斗とアスフェアだったが深く考えても分からないので気にしないほうがよさそうだ

 カイト「おし 行くか」

 アスフェア「本当に大丈夫なの?」

 カイト「なんで心配そうなんだよ 俺が苦しんでるからむしろいいんじゃないのか」

 アスフェアはなんだかんだで海斗の事を心配しており不安げな表情になっている、しかしそれを面白いと思った海斗は普段やられていたように皮肉めいた事を言い返す

 アスフェア「何よ!せっかく心配してるってのに この馬鹿!!」

 カイト「冗談だってーの でもありがとうな 行ってくるよ」

 ふざけた会話をしつつも真剣な表情でカイトは大妖精が待つ洞窟の中へと入っていく

 アスフェア「本当にあいつ嫌いになりそうだわ  痛くて泣きついてきたら馬鹿にしてやる」

 大妖精の洞窟の中へと入ると辺りは真っ白で覆われており中央に一人分の大きさの台がポツンとある

 カイト「ここが治療をうける場所か?白くて眩しいな」

 慣れない眩しさに目を半開きにして立ち止まっていると大妖精が真ん中にある台に横になるように指示を出す

 海斗は指示通り台に昇ってうつ伏せになる、元の世界でいう手術を受ける患者のような感じが近い

 大妖精「それじゃいくぞ 覚悟はよいか?」

 カイト「できてます……(どんな激痛でも始まってしまえばいつかは終わるんだ)」

 アスフェア「無事に終わるといいけど... 気にしても仕方ないわね エナ達の様子でも見てこようかな」
 大妖精は両手を海斗に向けて呪文を唱える、海斗は何を言っているのか聞き取れなかったが痛みを堪えるために歯を食いしばる
―――――――

 海斗が大妖精の治療を受けている一方でその他の冒険者達は仲良く話しながら馬車の積荷を降ろしていた

 マッシュ「そういうことだったのか カイトに治療を受けさせるためにわざわざ乗せたってことか」

 エナ「そういうことなの なんだか騙したみたいで申し訳ないわね」

 ミラ「騙されたなんて思ってませんよ ただ 心配していたんですよ」

 マッシュ「そうだな 俺も不安だったんだけど 全然大丈夫だったな といよりあいつに助けられたし」

 怪我人の海斗は足手まといになると思っていてマッシュとミラだったが助けられた事によって海斗の事を見直している

 ミラ「あの状態でこのハート型の石?をあの速さで投げれるなんて本当は凄いやつなんだね……私達よりも強いんじゃないの?」

 ミラは亀裂の入った石を持つと結構な重さに驚いており海斗が何者なのか気になっているようだ

 マッシュ「いやまだ俺の方が強いぞ」

 ミラ「もーー分かったから早く荷物を、おろしてよね」

 マッシュも男としての意地があるのか海斗に張り合おうとするがミラに流されてしまいこの様子を見ていたエナとクシアは笑っている

 ジルク「ほほほっ 若い皆さんに手伝ってもらって何とも頼もしいことか」

 ジルクは若い冒険者達を見つめ嬉しそうにしながら歩いてくる
 
 ミラ「これくらい普通ですよ」

 マッシュ「余裕だぜもっといけるぞ」

 始めはジルクも荷下ろしをしようとしていたが冒険者達の気遣いによって休憩しその様子を見ている

 クシア「よっこいせっと マッシュさん力もちですね 凄いです!」

 マッシュ「へへへ! ありがとう 」

 

 ミラ「調子に乗らないの クシアさんも男をもてあそぶようなことはやらない方がいいわよ すーぐに勘違いするんだから」

 張り切っているマッシュは次々と荷物を運びそれを見たクシアはマッシュを褒めているとミラが突然出て来て注意をし何故かムキになっている

 クシア「そっ そうなんですか? 男の人を褒めるのはあまり宜しくないと?」

 ミラ「いや そういうわけじゃないのよ あの……何て言ったらいいのかな」

 マッシュ「何焦ってるんだよ 変なの」

 ミラは美人で巨乳なクシアにマッシュがデレデレしているのが嫌なのかさっきから落ち着きが無い、しかしマッシュはミラの気持ちに気付いていなようで
 
 ミラ「うるさいわね 大体あんたのせいよ」

 クシア「これは何という状況なのでしょうか? 全く分かりません エナさん教えて下さい」

 鈍感なマッシュに痺れを切らして逆ギレしてしまい何故こうなっているのか分からないクシアはエナに助けを求める

 エナ「私にきたか...何だろうねこれは理屈じゃ説明できないってこととしか言えないかな」

 クシア「???? まだ学ぶことはたくさんありそうです」

 エナもハッキリとは説明できなかったのでクシアの疑問は膨らむばかりだ
 
 エナ「好きな人でもできたら分かるかも...しれないわね」

 クシア「本で見た事があります!!それは恋ってものでしょうか?」

 エナ「うーん そうかも」

 エナ自身も正解なんて分からなかったがそれっぽい答えが出たので相槌を打って納得する
 

 ミラ「ちょっと2人とも何勝手に納得してるのよ 大体こんな奴のどこが」

 マッシュ「さっきから黙って聞いてれば 俺だってお前みたいなの願い下げだぜ」

 エナ「仲良しにしか見えないわね」

 言い争っているように見えるがその様子は不思議なことに微笑ましく仲良しに見えてしまう

 ジルク「良いことですじゃ ただ年長の私から言わせてもらうなら素直になるのは早い方がよいですぞ」

 エナ「ジルクさんの言う通りね」

 ジルクの一言を聞いたミラとマッシュは顔を赤らめてそっぽを向いておりお互い素直になるのは時間がかかりそうだ

 ジルク「私は一応全員に言ったつもりですがね」
 
 ジルクはエナの方も見つめて意味深な事を言うとエナも少しだけ顔が赤くなっている

 ジルク「なーに年寄りの戯言なので気になさらずに」

 これ以上は余計なお世話だと感じたジルクは話しを切り上げるがクシアだけ話に着いていけずに一人だけ取り残されており理解が追いついていないのか手を口に当てて考え事をしている

 周りの妖精や住人たちもこの様子を見て笑っており冒険者を中心にして妖精の森が暖かく楽しい雰囲気で笑顔が溢れているのだが…………
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