24 / 54
第八章 犯人の行方 一、俺が親父で悪いか
しおりを挟む「陸、お前ら付き合ってどれくらい経つんだ?」
「は?」
いきなりのことで思考が止まった。
「だから、麗娜とだよ」
西嶋が、少し怒りながら言った。
「ああ・・・。一年になります。あの時も暑かったのをよく覚えています。あの書店でのやり取りの後、何処かのカフェで待っていればよかったのに、僕は麗娜さんのバイトが終わるのを、ずっと外で待っていたんです。暑かったな。まだ陽射しも強くてね」
「ふん。あいかわらず物事を考えてから動くタイプではなく、猪のように猪突猛進の男だな」
西嶋は思った。こいつらしい。ほんと、刑事としては足りないが、男としては誠実で、悪くはない。
「よく言われます。でも待った甲斐がありました。だって麗娜さん物凄く綺麗でしたから。働いている時と服装は同じだったんですが、プライベートになった途端、何か綺麗になったなっていう印象で、僕はドキドキしました。
それで、ぼくらは近くのカフェに行き、そこでコーヒーを飲みながら、話しをしました。そして、話しが進むうちに、麗娜さんがとてもしっかりしている人だということを知りました。さすが西嶋さんの娘さんだな、と思いましたよ。
こんな人が、彼女になってくれたら、って本気で思いましたよ。でも、な、何せ父親が西嶋さんなわけで・・・・・・」
「俺が父親で、悪いか?」
「いや、あの、怖かったし、何より、絶対、認めてくれない、どうしょう、って思いました」
「当たり前だろ。俺の大事な娘を、お前みたいな男と付き合わせるわけがないだろ」
西嶋は、眉間に皺を刻み、言った。
「ですよね・・・・・・。いや~暑いですね」
一通り喋った後、森川が言った。
「夏だからしょうがないだろ。何を今更、暑がってるんだ」
「そうは言いますが。これが言わずにおれますか、ってなもんですよ」
「ところで、お前、娘の何処が気に入ったんだ?」
「全てですよ。優しいところから、しっかりしてるところ。それから、笑ったところが最高なんです。ほんとうに楽しそうに笑うんですから、こっちまで楽しくなってきます。
あと、外見は多分、母親似、なんでしょうが、目が西嶋さんに似ているんでしょうね。女性は、男親の方に似る、って言いますもんね」
その名残なのか・・・・・・・。目はインパクトがあるからな・・・・・・。
とにかく、睨まれた時は、怖い。
「俺に似て、美人だろ?」
森川は、変な顔を見せた。
「なんだ、その顔は?」
「なんでもないっすよ」
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる