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第14話 会議
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湖の真ん中に突如として現れた巨大樹木。
それだけでも十分な驚きなのだが……まさかその中に小さな子どもがいたなんて。おまけに、この子にはとんでもない魔力が宿っている。
彼女の力によって、俺は外に出られたわけだけど――同時に、ある可能性が出てきた。
この女の子と巨大樹木はなんらかの関係性があるかもしれない。
「そ、それは本当か!?」
巨大樹木から村へ戻った俺は村長の家へと案内され、そこで女の子と出会った時の状況を村のみんなへ報告した。
最初はとても信じられないといった反応だったが、女の子が魔力で木の根を自在に動かす光景を目の当たりにし、俺の話を信用してくれた。
それから、さすがにいつまでも「女の子」と呼ぶのは何なので名前を尋ねたのだが、どうやら覚えていない――というより、最初から名前がないというリアクションだった。
そこで、ウィラという名をつけた。
あくまでも仮の名前のつもりだったが、思いのほかウィラ自身がこの前を気に入ったので、いつしか本決まりみたいな空気になっていた。
そのウィラだが、村へ戻ってからはローナが付きっきりで遊んでいた。
「可愛い妹ができたみたい!」と興奮気味に語っていたローナ。どうやらこの村には自分と年齢の近い若い子が他にいないらしく、小さな子と遊ぶのはこれが初めてだという。
と、言う割には、あっという間に打ち解けて仲良く遊んでいたな。
ウィラのことはローナに任せるとして、俺たちは村の大人たちと一緒にこれからのことについて話し合った。
「しかし……あの樹木は一体何なんだろうな」
「内部に入った時、魔力を感じました。それはウィラの持つ魔力とは異質のもので……恐らくは、あの樹木自体が帯びているものだと考えられます」
「ほぉ……魔力か」
「ワシらは何も感じなかったが……」
「えっ? あ、あぁ……知り合いが王国騎士団の関係者で、この手の知識に詳しいんですよ。俺も関心があって、いろいろと聞いたり、鍛錬を積んでいましたので、ちょっとだけですが分かるんですよ」
もちろん、その知り合いというのはグリニスさんだ。
俺は騎士団に入るつもりはなかったけど、幼い頃からグリニスさんと一緒に鍛錬を積んできた。その知識が、意外なところで役に立ったな。
さて……問題はここからだ。
だいぶ時間が経ってしまったけど、俺は当初の目的であるリガンという町へ移動するべく、そろそろ村を出ようと考えていた。
――が、その時、
「ル、ルディ!」
村長宅に、ローナが飛び込んできた。
声の調子から察するに、何か非常事態が起きたのは明白だ。
「ど、どうしたんだ!?」
俺をはじめ、村の大人たちは一斉に外へ出た。
すると、そこにはウィラを抱きかかえるローナの姿が――それを見た時、俺たちは息を呑んだ。
ウィラの顔色が悪い。
真っ青で、小さな肩はわずかに揺れていた。
先ほどまであんなに元気だったのに……一体何があったっていうんだ?
「と、とにかく医者に見せるしかねぇ!」
「すぐに呼んでくる!」
「そのままじゃ辛いだろうから、こっちへ! すぐにベッドを用意する!」
大人たちは大慌てであっちやこっちへ忙しなく動きだす。
俺も何かしなければと思った――その時だった。
「ちょっと来るのが遅れちゃいましたねぇ」
知らない声がすぐ近くから聞こえた。
それだけでも十分な驚きなのだが……まさかその中に小さな子どもがいたなんて。おまけに、この子にはとんでもない魔力が宿っている。
彼女の力によって、俺は外に出られたわけだけど――同時に、ある可能性が出てきた。
この女の子と巨大樹木はなんらかの関係性があるかもしれない。
「そ、それは本当か!?」
巨大樹木から村へ戻った俺は村長の家へと案内され、そこで女の子と出会った時の状況を村のみんなへ報告した。
最初はとても信じられないといった反応だったが、女の子が魔力で木の根を自在に動かす光景を目の当たりにし、俺の話を信用してくれた。
それから、さすがにいつまでも「女の子」と呼ぶのは何なので名前を尋ねたのだが、どうやら覚えていない――というより、最初から名前がないというリアクションだった。
そこで、ウィラという名をつけた。
あくまでも仮の名前のつもりだったが、思いのほかウィラ自身がこの前を気に入ったので、いつしか本決まりみたいな空気になっていた。
そのウィラだが、村へ戻ってからはローナが付きっきりで遊んでいた。
「可愛い妹ができたみたい!」と興奮気味に語っていたローナ。どうやらこの村には自分と年齢の近い若い子が他にいないらしく、小さな子と遊ぶのはこれが初めてだという。
と、言う割には、あっという間に打ち解けて仲良く遊んでいたな。
ウィラのことはローナに任せるとして、俺たちは村の大人たちと一緒にこれからのことについて話し合った。
「しかし……あの樹木は一体何なんだろうな」
「内部に入った時、魔力を感じました。それはウィラの持つ魔力とは異質のもので……恐らくは、あの樹木自体が帯びているものだと考えられます」
「ほぉ……魔力か」
「ワシらは何も感じなかったが……」
「えっ? あ、あぁ……知り合いが王国騎士団の関係者で、この手の知識に詳しいんですよ。俺も関心があって、いろいろと聞いたり、鍛錬を積んでいましたので、ちょっとだけですが分かるんですよ」
もちろん、その知り合いというのはグリニスさんだ。
俺は騎士団に入るつもりはなかったけど、幼い頃からグリニスさんと一緒に鍛錬を積んできた。その知識が、意外なところで役に立ったな。
さて……問題はここからだ。
だいぶ時間が経ってしまったけど、俺は当初の目的であるリガンという町へ移動するべく、そろそろ村を出ようと考えていた。
――が、その時、
「ル、ルディ!」
村長宅に、ローナが飛び込んできた。
声の調子から察するに、何か非常事態が起きたのは明白だ。
「ど、どうしたんだ!?」
俺をはじめ、村の大人たちは一斉に外へ出た。
すると、そこにはウィラを抱きかかえるローナの姿が――それを見た時、俺たちは息を呑んだ。
ウィラの顔色が悪い。
真っ青で、小さな肩はわずかに揺れていた。
先ほどまであんなに元気だったのに……一体何があったっていうんだ?
「と、とにかく医者に見せるしかねぇ!」
「すぐに呼んでくる!」
「そのままじゃ辛いだろうから、こっちへ! すぐにベッドを用意する!」
大人たちは大慌てであっちやこっちへ忙しなく動きだす。
俺も何かしなければと思った――その時だった。
「ちょっと来るのが遅れちゃいましたねぇ」
知らない声がすぐ近くから聞こえた。
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