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1巻
1-2
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「ごはっ!?」
だいぶ手を抜いたつもりだったが、それでも男はギルドの壁に強く叩きつけられ、気を失ってしまう。
「やれやれ、この程度の攻撃で気を失ってしまうとは……そんなことでよくこれまで冒険者が務まったものだな」
呆れてそう言いつつ、俺は男へ歩み寄る。
受付の女性や周囲の冒険者たちは、目の前に光景に対して開いた口がふさがらない様子だった。
先ほどは思わず貶すようなことを言ってしまったが、この男は一般的な視点から見ると決して弱くはない。
その実力は周りの誰もが知っているのだろう。
そんな実力者が、冒険者登録すら済ませていない、新米以下の冒険者にあっさりと倒されてしまって衝撃を受けている――まあ、彼らのリアクションから想定されるのはこんなところか。
「マ、マジかよ……あのドリトンを一撃で……」
「一体何がどうなっているんだ……?」
困惑する冒険者たち。すると、そこへ――
「なんの騒ぎだ!」
揃いの制服を身にまとった騎士たちが、騒ぎを聞きつけて入ってくる。
面倒なことになったな、と俺は頭を掻きながら、騎士たちへ顔を向けた。
「うん?」
すると先頭に立つ、隊長らしき人物に見覚えがあった。
「君は……グローバーか?」
「えっ!? オーリン先生!?」
その人物とは元教え子であった、グローバー・ヒューストン。
学園を卒業してまだ数年だが、見違えるほどたくましくなったな。
「まさか、こんなところでお会いできるとは……」
「俺も思わなかったよ。しかし、病に倒れた母親の看病をしながら働くため、学園卒業と同時にギアディスを出た君が、まさかエストラーダの騎士団で働いているとは。しかも、その若さで立派に隊を率いているなんて驚きだ」
「そんな……まだまだ精進の身ですよ。それより、先生もお元気そうで何よりです」
「あぁ……割とそうでもないのだがな」
「? と、いうと?」
俺はギアディスで賢者を引退し、この国――エストラーダへの移住を考えているとグローバーに伝える。
「そ、それは本当ですか!?」
途端に慌てるグローバー。
「エストラーダの民である我々としては大変喜ばし――はっ! し、失礼しました!」
「気にしなくていい」
思わず本音が出たか。
まあ、俺としては喜んでもらえたということで悪い気はしない。
ちょうどいい機会だし、グローバーからいろいろと情報を聞きだすとするか。……その前に、この騒動の後始末をしなくてはいけないが。
†
結局、ギルドでの騒動は周囲の証言もあり、一方的に絡んできた相手に非があるとして俺はお咎めなしとなった。
それどころか、あの暴れん坊には他の冒険者も迷惑していたようだ。対処しようにも、何をしてくるか分からない不気味さがあって誰も近づこうとしなかったらしい。
そんな男を一発で黙らせた俺に、冒険者たちは感謝していた。
事後処理を終えると、グローバーから「馬車で王都までお送りします」と提案される。
「いいのか?」
「今回の事件解決の立役者ですからね。そのお礼も兼ねてですよ」
「そういうことなら、お言葉に甘えようかな」
馬車の準備をしている間、俺たちは思い出話に花を咲かせる。
が、次第に話題は俺の引退の方へと流れていった。
「それにしても、なぜギアディスがあなたのような優れた人材を手放したのか……理解に苦しみますよ」
「優れているかはともかく、あの国が理解できなくなっているというのは事実だな」
「……やはり、新しい学園長が問題なのでしょうか?」
どうやら、グローバーも在学中にあの学園長の怪しさに気づいていたようだな。昔から勘の鋭い子だったし、特別驚きはしない。
「まあ、望ましい教育者って感じじゃないかな」
「やはりそうでしたか……全校生徒の前で行ったスピーチの内容などから、そうじゃないかと疑ってはいましたが……」
そこまで読んでいたとは。さすがはグローバーだな。
「まともな判断ができる者なら、オーリン先生ほどの人物を学園から追いだすようなマネはしませんからね」
「逆らう者は容赦しないってスタンスだったからな、あの学園長は」
もしかしたら俺が学園を去るのは、彼女が就任した時、すでに決定事項だったのかもしれない。
「先生がいらっしゃったことを、この国の国王陛下が知れば大喜びですよ。きっと、すべての予定をキャンセルしてでも会談の場を設けるでしょう」
「大袈裟だよ」
「いえいえ、決して大袈裟などではありません。ささ、こちらへ」
元教え子のグローバーに案内され、俺は馬車に乗り込む。
冒険者デビューはお預けとなったが、再就職先の有力候補であるエストラーダの王都へは、思っていたよりも早く着けそうだ。
と、安堵した――その時。
「オーリン先生!」
突然名前を呼ばれて振り返る。
そこには、十代半ば頃の女の子が立っていた。
「む?」
俺はその子の顔に見覚えがあった……というか、ついこの前まで教え子だった女の子だ。
「パトリシア……?」
彼女は俺が受け持っていた生徒のひとり――パトリシアであった。
「やっと……やっと見つけました!」
涙ぐむパトリシアだが、どうして彼女がこんなところにいるんだ?
第3話 賢者のいなくなった学園
オーリンが引退を表明し、学園を去った次の日――学園長室にひとりの女子学生が呼びだされていた。
彼女の名前は、パトリシア・グレイソン。
蜂蜜色をしたセミロングの髪に宝石のごとく輝く青い瞳が特徴的な少女で、廊下を歩けば男女関係なく振り返るほどの美しい容姿をしている。
そのため男子から声をかけられることも多いのだが、その誘いをパトリシアはすべて断っていた。
そんなパトリシアが呼びだされた学園長室へ入ると、
「よぉ、来たな」
待っていたのはローズ学園長ではなく、息子のカイルだった。
「? なぜあなたがここにいるのですか?」
「なぜって、呼びだしたのは俺だからだ」
「えっ?」
ニヤニヤと笑みを浮かべるカイル。
このように、カイルは何かにつけてパトリシアをつけ回していた。
パトリシアは、母親の名前を使ってまで自分を呼びだしたカイルに対し、呆れた様子でため息をつく。
「……特に用事がないのなら帰らせてもらいます」
「おっと、そうつれないことを言うなよ」
「午後からはオーリン先生と剣術の鍛錬をする予定なので」
「オーリン……か」
踵を返して歩き始めたパトリシアだったが、カイルの含みを持たせた言い方が気になって足を止める。
「……何か言いたげですね」
「いや、別に。――ただ、いつまで経ってもオーリンは来ないと思うぜ?」
「どういう意味ですか……?」
オーリンの名前を出すと途端にパトリシアの様子が変わり、カイルに詰め寄る。
「先生が来ないというのはどういうことなんですか?」
「そうムキになるなよ。たかが教師じゃねぇか」
「いいえ。オーリン先生は私にとって大事な人なんです。その先生が来ないと言われたら、気になるのは当然でしょう」
「大事な人」とハッキリ言いきるパトリシアに、カイルの機嫌が一気に悪くなる。
パトリシアがここまでオーリンにこだわるのには、次のような理由があった。
彼女は孤児であり、違法とされている人身売買組織に高値で売り払われそうになっていた。しかしその直前に、騎士団時代のオーリンに助けられたのだ。
それからギアディス国内にある施設に預けられたパトリシアに、オーリンは時間を見つけては会いに行った。
オーリンが家族を失った彼女に「自分を実の兄のように思ってくれ」と伝えていたこともあり、パトリシアは彼のことを「兄さん」と呼ぶようになる。
その後、オーリンが騎士団を辞めて王立魔剣学園の教師になると、パトリシアもそこで学びたいと思うようになり、勉強と鍛錬を始め――そして晴れて入学し、今に至るというわけである。
つまり、パトリシアにとってオーリンは命の恩人であり、家族のいない彼女にとって唯一頼れる存在でもあるのだ。
だからこそ、そのオーリンが来ないと聞かされては、追及しないわけにいかない。
しかし、そんなパトリシアの想いなど、カイルは気にもとめない。
「オーリン・エドワースは昨日付けで学園を辞めたんだ。賢者を引退し、無職のろくでなしってわけだ」
「!? せ、先生が引退!?」
カイルから告げられた言葉は、パトリシアにこれ以上ないほどのショックを与えた。
「そんな……どうして……」
「薄情な男だよなぁ。こんなにも想ってくれているパトリシアを置いてさっさと辞めちまうなんて」
動揺するパトリシアに、ここぞとばかりにオーリンの悪口を言うカイル。
パトリシアの中にあるオーリンの評価を下げようという魂胆なのだろうが、そもそもパトリシアの耳に彼の言葉はまったく届いていない。
尊敬し、憧れていたオーリンが突然いなくなったというショックが大きすぎて、未だに事実を受け入れることができないのだ。
「オーリン先生がいない学園なんて……」
「もうあきらめろよ。あんな無職の中年なんかより、おまえにはもっと相応しい相手がいるじゃねぇか」
カイルはパトリシアを、そっと後ろから抱き寄せてそう囁く。
「悪いことは言わねぇ。俺のものになれ。後悔はさせねぇぞ?」
「……確か、あなたにはすでに四人の恋人がいると聞いたのですが?」
「あいつらは家柄がいいからな。もちろん見た目も成績もいいが――それだけだ。おまえには劣るよ、パトリシア」
そう言って顔を近づけてくるカイル。
誠実さの欠片もない彼の態度に、パトリシアは「最低のクズですね」と言い放ち、顔面に裏拳を叩き込むことで答えの代わりにした。
「ぐほっ!?」
鼻血が出るほどのクリーンヒット。カイルは思わず後退し、顔に手を添えて取り乱す。
「い、いてぇ!? 何しやがる!」
「殴ったんですよ。分かりませんでしたか?」
「よ、よくも俺の顔を……くそっ! 鼻が曲がったらどうする気だ!」
「反対側からもう一発打ち込めば治るんじゃないですか?」
「そういう問題じゃねぇ!?」
怒りをあらわにするカイル。さらに自身の鼻に触れた際、手のひらについた血に気づいて大騒ぎする。
「血っ!? 血だぁ!」
「血くらい、実戦形式の訓練を受けていれば出ることもあるでしょうに。その程度のことでうろたえていては本番で大変ですよ?」
「う、うるさい! 俺はそんな野蛮な訓練は受けねぇんだよ!」
「そういえばずっと欠席でしたね。それでよく進級が――」
会話の途中であることに気づき、パトリシアは動きを止めた。
実戦形式の訓練を評価する担当教師は、今年からオーリンだ。
そのオーリンがいなくなったと告げたのは、訓練をサボり続けていたカイル。だが、カイルは落第するどころか普通に進級を果たしている。
そしてカイルの母親は、この学園の学園長――
「まさか……」
オーリンがいなくなったことに、カイルが――いや、アリアロード親子が関わっている可能性が高いとパトリシアは分析した。
「あなたが――いえ、あなたたちが先生を……」
「い、言っておくが、引退宣言を切りだしたのはあいつの方だからな! ママは正当な評価を要求しただけだ!」
「……そうですか。何もかも理解しました。では、失礼します」
オーリンが学園を去ってしまった事件。
その元凶を把握したパトリシアは力強い眼差しでカイルを睨んだが、すぐに目を背け、さっさと学園長室を出ようとする。
「お、おい! どこへ行くんだ!」
「信じられないくらい学習能力がないのですね。私がいるべき場所へ向かうだけです」
パトリシアは具体的にどこへ行くのかを明言していないが、間違いなくオーリンのもとであるというのはさすがのカイルでも理解できた。
「! そ、そうかよ! せっかく俺が目をかけてやったっていうのに! そんなにあんな何も持たない男の方がいいのかよ!」
オーリンを侮辱する言葉に反応し、パトリシアが振り返る。
握られた拳を見たカイルはまた殴られると思ったのか、「ひっ!?」と短い悲鳴をあげてその場にうずくまった。
「……情けない男ですね」
パトリシアは吐き捨てるように言って、今度こそ学園長室から出ていった。
そして、授業には出席せず、そのままオーリンを追いかけるため学園を飛びだしたのだ。
「待っていてください、先生」
こうしてパトリシアは、エストラーダでオーリンと再会するまで旅を続けたのだった。
†
《賢者オーリンの引退》
その衝撃的な宣言は、ローズ学園長が急遽開いた集会により学生たちへも伝えられた。
同時に、学園内は騒然となる。
「オーリン先生が引退!?」
「マジかよ……」
「いくらなんでも急すぎないか?」
「何か特別な理由でもあるんじゃない?」
学生たちの間では、さまざまな憶測が飛び交っていたが、その原因がローズ学園長と息子のカイルにあるという事実を知る者はいなかった。
――が、このオーリンの引退騒動が、のちに学園を飛び越えて各地に広まり、国家を揺るがす事態に発展することになるとは、学園長はおろか誰ひとりとして予想すらしていなかったのであった。
第4話 新たな職場
俺――オーリンにとって、学園最後の教え子であったパトリシア・グレイソン。
彼女のことは、小さな頃からよく知っている。
まだ俺が騎士団にいた頃――とある人身売買組織を摘発した際、売られる寸前に保護したのがパトリシアだ。
その後、パトリシアはギアディス王都にある施設へ預けられた。
名前はその時にシスターが名づけたもので、本名ではない。いろいろと手を尽くして彼女の身辺に関する情報を集めようとしたのだが……結局、本当の名前をはじめとして、身元を証明する有力な情報を得ることはできなかった。
保護した当初、パトリシアはほとんど言葉を発することがなかったとシスターから聞いかされていた。
だから心配になって何度か施設を訪れたが……実際彼女は他の子どもと遊ぼうとはせず、常に孤立状態だった。
決していじめられていたわけじゃない。他の子どもたちは一緒に遊ぼうと何度も誘ったのだが、パトシリア自身がそれを受け入れなかったのだ。
しかし不幸中の幸い――という表現が適切なのか分からないが、この施設に来る子どもたちは、自身がそうであったように、彼女も複雑な事情が絡み合ってここへたどり着いたことを知っていた。
だからパトリシアが常にひとりでいたいという気持ちにも、理解を示してくれていたようだ。
とはいえ、さすがにひとりで寂しそうにしているパトリシアが可哀想に思えてきて、俺の方からも何度か話しかけた。
最初はなかなか心を開いてくれなかったが、徐々にこちらの質問に対して頷いたり、首を横に振ったりと、気持ちを表現してくれるようになった。
そしてそれからも根気強くコミュニケーションを続けていき、とうとう会話できるようになったのだ。
ともに家族がいないという生い立ちだったこともあり、俺はパトリシアを実の妹のように可愛がった。パトリシアも、学園に入学する前は「兄さん」と呼んでいたな。
俺が学園を出ると決めた時も、やはり一番気がかりだったのはパトリシアのことだった。
だから、パトリシアが俺を追いかけてきてくれたというのは正直嬉しい。だが、彼女には成功が約束されていたから、それを捨ててここまで来てしまって大丈夫かなという新たな心配も生まれる。
――パトリシアを見ていると、昔のことが鮮明に蘇ってくるな。
俺、パトリシア、そしてグローバーの三人は今、馬車で王都へと向かっている最中だ。
「先生、窓を開けていいですか?」
「構わないが、身を乗りだしすぎて落ちないようにな」
「む? さては子ども扱いしていますね?」
「ははは。俺からしてみれば、パトリシアくらいの年齢の子はまだまだ子どもだよ」
「……それは非常に困るのですが……」
「うん? 困るってどういう意味だ?」
「い、いえ、なんでもありません!」
気まずそうに目を逸らし窓の方に顔を向けたパトリシアは、話題を外の景色へ移した。
「ここがエストラーダ王国……どのような国か学んではいましたが、実際にこうして見ると、書物にあった通りにのどかで平和な国のようですね」
だいぶ手を抜いたつもりだったが、それでも男はギルドの壁に強く叩きつけられ、気を失ってしまう。
「やれやれ、この程度の攻撃で気を失ってしまうとは……そんなことでよくこれまで冒険者が務まったものだな」
呆れてそう言いつつ、俺は男へ歩み寄る。
受付の女性や周囲の冒険者たちは、目の前に光景に対して開いた口がふさがらない様子だった。
先ほどは思わず貶すようなことを言ってしまったが、この男は一般的な視点から見ると決して弱くはない。
その実力は周りの誰もが知っているのだろう。
そんな実力者が、冒険者登録すら済ませていない、新米以下の冒険者にあっさりと倒されてしまって衝撃を受けている――まあ、彼らのリアクションから想定されるのはこんなところか。
「マ、マジかよ……あのドリトンを一撃で……」
「一体何がどうなっているんだ……?」
困惑する冒険者たち。すると、そこへ――
「なんの騒ぎだ!」
揃いの制服を身にまとった騎士たちが、騒ぎを聞きつけて入ってくる。
面倒なことになったな、と俺は頭を掻きながら、騎士たちへ顔を向けた。
「うん?」
すると先頭に立つ、隊長らしき人物に見覚えがあった。
「君は……グローバーか?」
「えっ!? オーリン先生!?」
その人物とは元教え子であった、グローバー・ヒューストン。
学園を卒業してまだ数年だが、見違えるほどたくましくなったな。
「まさか、こんなところでお会いできるとは……」
「俺も思わなかったよ。しかし、病に倒れた母親の看病をしながら働くため、学園卒業と同時にギアディスを出た君が、まさかエストラーダの騎士団で働いているとは。しかも、その若さで立派に隊を率いているなんて驚きだ」
「そんな……まだまだ精進の身ですよ。それより、先生もお元気そうで何よりです」
「あぁ……割とそうでもないのだがな」
「? と、いうと?」
俺はギアディスで賢者を引退し、この国――エストラーダへの移住を考えているとグローバーに伝える。
「そ、それは本当ですか!?」
途端に慌てるグローバー。
「エストラーダの民である我々としては大変喜ばし――はっ! し、失礼しました!」
「気にしなくていい」
思わず本音が出たか。
まあ、俺としては喜んでもらえたということで悪い気はしない。
ちょうどいい機会だし、グローバーからいろいろと情報を聞きだすとするか。……その前に、この騒動の後始末をしなくてはいけないが。
†
結局、ギルドでの騒動は周囲の証言もあり、一方的に絡んできた相手に非があるとして俺はお咎めなしとなった。
それどころか、あの暴れん坊には他の冒険者も迷惑していたようだ。対処しようにも、何をしてくるか分からない不気味さがあって誰も近づこうとしなかったらしい。
そんな男を一発で黙らせた俺に、冒険者たちは感謝していた。
事後処理を終えると、グローバーから「馬車で王都までお送りします」と提案される。
「いいのか?」
「今回の事件解決の立役者ですからね。そのお礼も兼ねてですよ」
「そういうことなら、お言葉に甘えようかな」
馬車の準備をしている間、俺たちは思い出話に花を咲かせる。
が、次第に話題は俺の引退の方へと流れていった。
「それにしても、なぜギアディスがあなたのような優れた人材を手放したのか……理解に苦しみますよ」
「優れているかはともかく、あの国が理解できなくなっているというのは事実だな」
「……やはり、新しい学園長が問題なのでしょうか?」
どうやら、グローバーも在学中にあの学園長の怪しさに気づいていたようだな。昔から勘の鋭い子だったし、特別驚きはしない。
「まあ、望ましい教育者って感じじゃないかな」
「やはりそうでしたか……全校生徒の前で行ったスピーチの内容などから、そうじゃないかと疑ってはいましたが……」
そこまで読んでいたとは。さすがはグローバーだな。
「まともな判断ができる者なら、オーリン先生ほどの人物を学園から追いだすようなマネはしませんからね」
「逆らう者は容赦しないってスタンスだったからな、あの学園長は」
もしかしたら俺が学園を去るのは、彼女が就任した時、すでに決定事項だったのかもしれない。
「先生がいらっしゃったことを、この国の国王陛下が知れば大喜びですよ。きっと、すべての予定をキャンセルしてでも会談の場を設けるでしょう」
「大袈裟だよ」
「いえいえ、決して大袈裟などではありません。ささ、こちらへ」
元教え子のグローバーに案内され、俺は馬車に乗り込む。
冒険者デビューはお預けとなったが、再就職先の有力候補であるエストラーダの王都へは、思っていたよりも早く着けそうだ。
と、安堵した――その時。
「オーリン先生!」
突然名前を呼ばれて振り返る。
そこには、十代半ば頃の女の子が立っていた。
「む?」
俺はその子の顔に見覚えがあった……というか、ついこの前まで教え子だった女の子だ。
「パトリシア……?」
彼女は俺が受け持っていた生徒のひとり――パトリシアであった。
「やっと……やっと見つけました!」
涙ぐむパトリシアだが、どうして彼女がこんなところにいるんだ?
第3話 賢者のいなくなった学園
オーリンが引退を表明し、学園を去った次の日――学園長室にひとりの女子学生が呼びだされていた。
彼女の名前は、パトリシア・グレイソン。
蜂蜜色をしたセミロングの髪に宝石のごとく輝く青い瞳が特徴的な少女で、廊下を歩けば男女関係なく振り返るほどの美しい容姿をしている。
そのため男子から声をかけられることも多いのだが、その誘いをパトリシアはすべて断っていた。
そんなパトリシアが呼びだされた学園長室へ入ると、
「よぉ、来たな」
待っていたのはローズ学園長ではなく、息子のカイルだった。
「? なぜあなたがここにいるのですか?」
「なぜって、呼びだしたのは俺だからだ」
「えっ?」
ニヤニヤと笑みを浮かべるカイル。
このように、カイルは何かにつけてパトリシアをつけ回していた。
パトリシアは、母親の名前を使ってまで自分を呼びだしたカイルに対し、呆れた様子でため息をつく。
「……特に用事がないのなら帰らせてもらいます」
「おっと、そうつれないことを言うなよ」
「午後からはオーリン先生と剣術の鍛錬をする予定なので」
「オーリン……か」
踵を返して歩き始めたパトリシアだったが、カイルの含みを持たせた言い方が気になって足を止める。
「……何か言いたげですね」
「いや、別に。――ただ、いつまで経ってもオーリンは来ないと思うぜ?」
「どういう意味ですか……?」
オーリンの名前を出すと途端にパトリシアの様子が変わり、カイルに詰め寄る。
「先生が来ないというのはどういうことなんですか?」
「そうムキになるなよ。たかが教師じゃねぇか」
「いいえ。オーリン先生は私にとって大事な人なんです。その先生が来ないと言われたら、気になるのは当然でしょう」
「大事な人」とハッキリ言いきるパトリシアに、カイルの機嫌が一気に悪くなる。
パトリシアがここまでオーリンにこだわるのには、次のような理由があった。
彼女は孤児であり、違法とされている人身売買組織に高値で売り払われそうになっていた。しかしその直前に、騎士団時代のオーリンに助けられたのだ。
それからギアディス国内にある施設に預けられたパトリシアに、オーリンは時間を見つけては会いに行った。
オーリンが家族を失った彼女に「自分を実の兄のように思ってくれ」と伝えていたこともあり、パトリシアは彼のことを「兄さん」と呼ぶようになる。
その後、オーリンが騎士団を辞めて王立魔剣学園の教師になると、パトリシアもそこで学びたいと思うようになり、勉強と鍛錬を始め――そして晴れて入学し、今に至るというわけである。
つまり、パトリシアにとってオーリンは命の恩人であり、家族のいない彼女にとって唯一頼れる存在でもあるのだ。
だからこそ、そのオーリンが来ないと聞かされては、追及しないわけにいかない。
しかし、そんなパトリシアの想いなど、カイルは気にもとめない。
「オーリン・エドワースは昨日付けで学園を辞めたんだ。賢者を引退し、無職のろくでなしってわけだ」
「!? せ、先生が引退!?」
カイルから告げられた言葉は、パトリシアにこれ以上ないほどのショックを与えた。
「そんな……どうして……」
「薄情な男だよなぁ。こんなにも想ってくれているパトリシアを置いてさっさと辞めちまうなんて」
動揺するパトリシアに、ここぞとばかりにオーリンの悪口を言うカイル。
パトリシアの中にあるオーリンの評価を下げようという魂胆なのだろうが、そもそもパトリシアの耳に彼の言葉はまったく届いていない。
尊敬し、憧れていたオーリンが突然いなくなったというショックが大きすぎて、未だに事実を受け入れることができないのだ。
「オーリン先生がいない学園なんて……」
「もうあきらめろよ。あんな無職の中年なんかより、おまえにはもっと相応しい相手がいるじゃねぇか」
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「悪いことは言わねぇ。俺のものになれ。後悔はさせねぇぞ?」
「……確か、あなたにはすでに四人の恋人がいると聞いたのですが?」
「あいつらは家柄がいいからな。もちろん見た目も成績もいいが――それだけだ。おまえには劣るよ、パトリシア」
そう言って顔を近づけてくるカイル。
誠実さの欠片もない彼の態度に、パトリシアは「最低のクズですね」と言い放ち、顔面に裏拳を叩き込むことで答えの代わりにした。
「ぐほっ!?」
鼻血が出るほどのクリーンヒット。カイルは思わず後退し、顔に手を添えて取り乱す。
「い、いてぇ!? 何しやがる!」
「殴ったんですよ。分かりませんでしたか?」
「よ、よくも俺の顔を……くそっ! 鼻が曲がったらどうする気だ!」
「反対側からもう一発打ち込めば治るんじゃないですか?」
「そういう問題じゃねぇ!?」
怒りをあらわにするカイル。さらに自身の鼻に触れた際、手のひらについた血に気づいて大騒ぎする。
「血っ!? 血だぁ!」
「血くらい、実戦形式の訓練を受けていれば出ることもあるでしょうに。その程度のことでうろたえていては本番で大変ですよ?」
「う、うるさい! 俺はそんな野蛮な訓練は受けねぇんだよ!」
「そういえばずっと欠席でしたね。それでよく進級が――」
会話の途中であることに気づき、パトリシアは動きを止めた。
実戦形式の訓練を評価する担当教師は、今年からオーリンだ。
そのオーリンがいなくなったと告げたのは、訓練をサボり続けていたカイル。だが、カイルは落第するどころか普通に進級を果たしている。
そしてカイルの母親は、この学園の学園長――
「まさか……」
オーリンがいなくなったことに、カイルが――いや、アリアロード親子が関わっている可能性が高いとパトリシアは分析した。
「あなたが――いえ、あなたたちが先生を……」
「い、言っておくが、引退宣言を切りだしたのはあいつの方だからな! ママは正当な評価を要求しただけだ!」
「……そうですか。何もかも理解しました。では、失礼します」
オーリンが学園を去ってしまった事件。
その元凶を把握したパトリシアは力強い眼差しでカイルを睨んだが、すぐに目を背け、さっさと学園長室を出ようとする。
「お、おい! どこへ行くんだ!」
「信じられないくらい学習能力がないのですね。私がいるべき場所へ向かうだけです」
パトリシアは具体的にどこへ行くのかを明言していないが、間違いなくオーリンのもとであるというのはさすがのカイルでも理解できた。
「! そ、そうかよ! せっかく俺が目をかけてやったっていうのに! そんなにあんな何も持たない男の方がいいのかよ!」
オーリンを侮辱する言葉に反応し、パトリシアが振り返る。
握られた拳を見たカイルはまた殴られると思ったのか、「ひっ!?」と短い悲鳴をあげてその場にうずくまった。
「……情けない男ですね」
パトリシアは吐き捨てるように言って、今度こそ学園長室から出ていった。
そして、授業には出席せず、そのままオーリンを追いかけるため学園を飛びだしたのだ。
「待っていてください、先生」
こうしてパトリシアは、エストラーダでオーリンと再会するまで旅を続けたのだった。
†
《賢者オーリンの引退》
その衝撃的な宣言は、ローズ学園長が急遽開いた集会により学生たちへも伝えられた。
同時に、学園内は騒然となる。
「オーリン先生が引退!?」
「マジかよ……」
「いくらなんでも急すぎないか?」
「何か特別な理由でもあるんじゃない?」
学生たちの間では、さまざまな憶測が飛び交っていたが、その原因がローズ学園長と息子のカイルにあるという事実を知る者はいなかった。
――が、このオーリンの引退騒動が、のちに学園を飛び越えて各地に広まり、国家を揺るがす事態に発展することになるとは、学園長はおろか誰ひとりとして予想すらしていなかったのであった。
第4話 新たな職場
俺――オーリンにとって、学園最後の教え子であったパトリシア・グレイソン。
彼女のことは、小さな頃からよく知っている。
まだ俺が騎士団にいた頃――とある人身売買組織を摘発した際、売られる寸前に保護したのがパトリシアだ。
その後、パトリシアはギアディス王都にある施設へ預けられた。
名前はその時にシスターが名づけたもので、本名ではない。いろいろと手を尽くして彼女の身辺に関する情報を集めようとしたのだが……結局、本当の名前をはじめとして、身元を証明する有力な情報を得ることはできなかった。
保護した当初、パトリシアはほとんど言葉を発することがなかったとシスターから聞いかされていた。
だから心配になって何度か施設を訪れたが……実際彼女は他の子どもと遊ぼうとはせず、常に孤立状態だった。
決していじめられていたわけじゃない。他の子どもたちは一緒に遊ぼうと何度も誘ったのだが、パトシリア自身がそれを受け入れなかったのだ。
しかし不幸中の幸い――という表現が適切なのか分からないが、この施設に来る子どもたちは、自身がそうであったように、彼女も複雑な事情が絡み合ってここへたどり着いたことを知っていた。
だからパトリシアが常にひとりでいたいという気持ちにも、理解を示してくれていたようだ。
とはいえ、さすがにひとりで寂しそうにしているパトリシアが可哀想に思えてきて、俺の方からも何度か話しかけた。
最初はなかなか心を開いてくれなかったが、徐々にこちらの質問に対して頷いたり、首を横に振ったりと、気持ちを表現してくれるようになった。
そしてそれからも根気強くコミュニケーションを続けていき、とうとう会話できるようになったのだ。
ともに家族がいないという生い立ちだったこともあり、俺はパトリシアを実の妹のように可愛がった。パトリシアも、学園に入学する前は「兄さん」と呼んでいたな。
俺が学園を出ると決めた時も、やはり一番気がかりだったのはパトリシアのことだった。
だから、パトリシアが俺を追いかけてきてくれたというのは正直嬉しい。だが、彼女には成功が約束されていたから、それを捨ててここまで来てしまって大丈夫かなという新たな心配も生まれる。
――パトリシアを見ていると、昔のことが鮮明に蘇ってくるな。
俺、パトリシア、そしてグローバーの三人は今、馬車で王都へと向かっている最中だ。
「先生、窓を開けていいですか?」
「構わないが、身を乗りだしすぎて落ちないようにな」
「む? さては子ども扱いしていますね?」
「ははは。俺からしてみれば、パトリシアくらいの年齢の子はまだまだ子どもだよ」
「……それは非常に困るのですが……」
「うん? 困るってどういう意味だ?」
「い、いえ、なんでもありません!」
気まずそうに目を逸らし窓の方に顔を向けたパトリシアは、話題を外の景色へ移した。
「ここがエストラーダ王国……どのような国か学んではいましたが、実際にこうして見ると、書物にあった通りにのどかで平和な国のようですね」
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