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第268話 初めての学園生活
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王立学園への短期体験入学をすることになった俺とシルヴィア。
そのための準備をするため、今日は一度ジェロム地方へ戻ることになった。一週間という短い間とはいえ、領地を離れるとなると、領民にいろいろ伝えておかなくちゃいけないこともあるしね。
ジェロム地方へと戻った俺たちは、早速ここの最古参であるフルズさんのもとへと向かい、体験入学の件を話す。
「それは素晴らしい! いい機会になると思いますよ!」
フルズさんは俺たちの体験入学に賛同してくれた。
このジェロムの地に学校をつくるためにも、実際に王立学園がどのように運営されているのかを知るのは確かに最高の機会だと俺も思う。だから、こうして賛成をしてもらえて本当に助かった。
留守の間は、領民のみんなに苦労をかけてしまうことになるが……その分、たくさん学んでこのジェロムがさらによくなるよう力を注ぐことで恩返しをしよう。
俺とシルヴィアはこの後、ムデル族の集落や獣人族の暮らすルトア村を転移魔法陣の力を使って訪れ、一週間の体験入学へ向かうことを伝えた。
両方とも「学校」という教育機関を知らなかったため、一から説明をしていく――と、どちらも喜んで力を貸してくれると言ってくれた。
さて、これで心配事はすべて解消した。
明日が今から楽しみだよ。
◇◇◇
翌朝。
「では、行ってきます」
フルズさんたち冒険者や、ムデル族のオティエノさん、そしてルトア村のディランさんに見送られて、俺とシルヴィア、そしてテスラさんに相棒マックのメンツで王立学園へ向けて出発する。
一週間という短い時間だが、その間は毎日これまでに味わったことのない新鮮な日々となるはず。
「学園か……一体どんなところなんだろうな」
「兄さんたちから話は聞いていたし、アンジェラ先生に会うため何度か訪れたことはあるが……そこの学生になるのは私も初めてだから、何が起こるかまったく予想できないよ」
俺もシルヴィアも、似たような家庭環境で育ってきた。
貴族でありながら優秀な兄や姉の陰に隠れ、日の目を浴びる機会はなく、いつも静かにしていたんだよな。
今では領主としてなんとかやっていけているけど……あのままだったらどうなっていたことやら。あんまり考えたくはないな。
ちなみに、テスラさんも学園は通ったことがないらしい。
成人とされる年齢(十六歳)になってからすぐにアインレット家へ見習いとして入ったらしいが……言われてみれば、テスラさんって謎の多い女性だよなぁ。俺は幼い頃から一緒にいるけど、彼女の過去についてはほとんど知らない。今度、機会があったら聞いてみようかな。
――などと考えているうちに、目的地の王立学園へと到着。
今回は守衛さんもすんなり通してくれた。
俺たちの顔を覚えていたっていうのもあるだろうが、実は正門のところまでアンジェラ先生が出迎えに来てくれていたのだ。
「いらっしゃい。待っていたわ」
「これから一週間、よろしくお願いします」
「こちらこそ。――あっ! そうだ! こっちへ来て! 体験入学を記念して、ふたりにプレゼントがあるのよ!」
「「プレゼント?」」
俺とシルヴィアは顔を見合わせる。
プレゼントって……一体なんだ?
そのための準備をするため、今日は一度ジェロム地方へ戻ることになった。一週間という短い間とはいえ、領地を離れるとなると、領民にいろいろ伝えておかなくちゃいけないこともあるしね。
ジェロム地方へと戻った俺たちは、早速ここの最古参であるフルズさんのもとへと向かい、体験入学の件を話す。
「それは素晴らしい! いい機会になると思いますよ!」
フルズさんは俺たちの体験入学に賛同してくれた。
このジェロムの地に学校をつくるためにも、実際に王立学園がどのように運営されているのかを知るのは確かに最高の機会だと俺も思う。だから、こうして賛成をしてもらえて本当に助かった。
留守の間は、領民のみんなに苦労をかけてしまうことになるが……その分、たくさん学んでこのジェロムがさらによくなるよう力を注ぐことで恩返しをしよう。
俺とシルヴィアはこの後、ムデル族の集落や獣人族の暮らすルトア村を転移魔法陣の力を使って訪れ、一週間の体験入学へ向かうことを伝えた。
両方とも「学校」という教育機関を知らなかったため、一から説明をしていく――と、どちらも喜んで力を貸してくれると言ってくれた。
さて、これで心配事はすべて解消した。
明日が今から楽しみだよ。
◇◇◇
翌朝。
「では、行ってきます」
フルズさんたち冒険者や、ムデル族のオティエノさん、そしてルトア村のディランさんに見送られて、俺とシルヴィア、そしてテスラさんに相棒マックのメンツで王立学園へ向けて出発する。
一週間という短い時間だが、その間は毎日これまでに味わったことのない新鮮な日々となるはず。
「学園か……一体どんなところなんだろうな」
「兄さんたちから話は聞いていたし、アンジェラ先生に会うため何度か訪れたことはあるが……そこの学生になるのは私も初めてだから、何が起こるかまったく予想できないよ」
俺もシルヴィアも、似たような家庭環境で育ってきた。
貴族でありながら優秀な兄や姉の陰に隠れ、日の目を浴びる機会はなく、いつも静かにしていたんだよな。
今では領主としてなんとかやっていけているけど……あのままだったらどうなっていたことやら。あんまり考えたくはないな。
ちなみに、テスラさんも学園は通ったことがないらしい。
成人とされる年齢(十六歳)になってからすぐにアインレット家へ見習いとして入ったらしいが……言われてみれば、テスラさんって謎の多い女性だよなぁ。俺は幼い頃から一緒にいるけど、彼女の過去についてはほとんど知らない。今度、機会があったら聞いてみようかな。
――などと考えているうちに、目的地の王立学園へと到着。
今回は守衛さんもすんなり通してくれた。
俺たちの顔を覚えていたっていうのもあるだろうが、実は正門のところまでアンジェラ先生が出迎えに来てくれていたのだ。
「いらっしゃい。待っていたわ」
「これから一週間、よろしくお願いします」
「こちらこそ。――あっ! そうだ! こっちへ来て! 体験入学を記念して、ふたりにプレゼントがあるのよ!」
「「プレゼント?」」
俺とシルヴィアは顔を見合わせる。
プレゼントって……一体なんだ?
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