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第267話 体験入学
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「「た、体験入学!?」」
俺とシルヴィアは声を合わせて驚く。
入学って……俺たちがこの王立学園の学生になるってことだよな。
でも、それっていろいろとまずいんじゃないか?
編入するにしたって試験があるだろうし。
それに、今も領主として忙しい毎日を送っている俺とシルヴィアが、学園に通って勉強をしている時間はないと言っていい。
「あ、あの、体験入学って……そんなことが可能なんですか?」
「正規の学生となるには編入試験が必要だけど、一週間程度の短期間入学であれば問題はないわ」
あっ、なるほど。
期限付きの入学ってことか。
しかも一週間くらいならなんとかなりそうだ。
……まあ、フィーネの件で二日ほど留守にしていただけでもかなり報告書がたまっていたが……その辺はなんとかしよう。後々の仕事の忙しさよりも、王立学園に入学して学校とはどんな場所なのかを肌で感じるのは貴重な経験だ。
前向きに考えようとしていた時、
「ロイス……やはり入学は難しいだろうか?」
シルヴィアがそんなことを口にする。
この反応……どうやら、彼女は学園という場所に興味を持ち、通ってみたいと思っているらしい。
――これが決定打となった。
「……領地運営に関していろいろと調整をしなければならない点はあるけど、学園で学んでみたいという気持ちは強くあるよ」
「っ! じゃ、じゃあ!」
「あぁ……体験入学の話を受けようと思っている」
言い終えた途端、シルヴィアは満面の笑みを浮かべる。その後ろではテスラさんもパチパチと手を叩き、喜んでいるようだ。
「なら、こちら側で必要な手続きは取っておきましょう。あなた方の準備はどれほどで整いそう?」
なんだかスラスラと話が進んでいくような……ひょっとして――
「順調に事が進んでいると、疑問に感じている?」
「へっ!?」
こちらの思考を完璧に読まれて、思わず変な声が出た。俺の反応を見たアンジェラ先生はクスクスと笑いながら続ける。
「実を言うと、あなたたちの話はテレイザから聞いているの」
「テレイザさんから?」
「私と彼女はこの学園の同期生なのよ」
「そうだったんですね!」
俺の叔母にあたるテレイザさんとアンジェラ先生――まさか、ここがつながっていたとは。シルヴィアはおろか、テスラさんさえ知らなかった新事実だった。
「以前、彼女とお茶会をした時、あなたたちのことが話題にあがったの。その時、もしかしたらジェロム地方に学校をつくろうとするかもって言っていてね。シルヴィアから連絡をもらった時、もしやと思ったの」
そこまで先読みされていたのか……恐るべし、テレイザさん。
ともかく、俺たちは後学のために王立学園に一週間の体験入学をすることにした。
その間は領主としての仕事をお休みするため、またフルズさんたちにも連絡をしておかないと。
さて、これからまた忙しくなるぞ!
…………………………………………………………………………………………………
新作をはじめました!
おっさん主人公の師弟もの!
スローライフもやるよ!
【無名のおっさんテイマーは王都のはずれでのんびり暮らす ~でも、なぜか国家の要職に就く弟子たちが頼ってきます~】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/559352328/833724621
是非、読んでみてください!
俺とシルヴィアは声を合わせて驚く。
入学って……俺たちがこの王立学園の学生になるってことだよな。
でも、それっていろいろとまずいんじゃないか?
編入するにしたって試験があるだろうし。
それに、今も領主として忙しい毎日を送っている俺とシルヴィアが、学園に通って勉強をしている時間はないと言っていい。
「あ、あの、体験入学って……そんなことが可能なんですか?」
「正規の学生となるには編入試験が必要だけど、一週間程度の短期間入学であれば問題はないわ」
あっ、なるほど。
期限付きの入学ってことか。
しかも一週間くらいならなんとかなりそうだ。
……まあ、フィーネの件で二日ほど留守にしていただけでもかなり報告書がたまっていたが……その辺はなんとかしよう。後々の仕事の忙しさよりも、王立学園に入学して学校とはどんな場所なのかを肌で感じるのは貴重な経験だ。
前向きに考えようとしていた時、
「ロイス……やはり入学は難しいだろうか?」
シルヴィアがそんなことを口にする。
この反応……どうやら、彼女は学園という場所に興味を持ち、通ってみたいと思っているらしい。
――これが決定打となった。
「……領地運営に関していろいろと調整をしなければならない点はあるけど、学園で学んでみたいという気持ちは強くあるよ」
「っ! じゃ、じゃあ!」
「あぁ……体験入学の話を受けようと思っている」
言い終えた途端、シルヴィアは満面の笑みを浮かべる。その後ろではテスラさんもパチパチと手を叩き、喜んでいるようだ。
「なら、こちら側で必要な手続きは取っておきましょう。あなた方の準備はどれほどで整いそう?」
なんだかスラスラと話が進んでいくような……ひょっとして――
「順調に事が進んでいると、疑問に感じている?」
「へっ!?」
こちらの思考を完璧に読まれて、思わず変な声が出た。俺の反応を見たアンジェラ先生はクスクスと笑いながら続ける。
「実を言うと、あなたたちの話はテレイザから聞いているの」
「テレイザさんから?」
「私と彼女はこの学園の同期生なのよ」
「そうだったんですね!」
俺の叔母にあたるテレイザさんとアンジェラ先生――まさか、ここがつながっていたとは。シルヴィアはおろか、テスラさんさえ知らなかった新事実だった。
「以前、彼女とお茶会をした時、あなたたちのことが話題にあがったの。その時、もしかしたらジェロム地方に学校をつくろうとするかもって言っていてね。シルヴィアから連絡をもらった時、もしやと思ったの」
そこまで先読みされていたのか……恐るべし、テレイザさん。
ともかく、俺たちは後学のために王立学園に一週間の体験入学をすることにした。
その間は領主としての仕事をお休みするため、またフルズさんたちにも連絡をしておかないと。
さて、これからまた忙しくなるぞ!
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