113 / 158
連載
第266話 アンジェラ先生の思惑
しおりを挟む
王立学園へとやってきた俺たちは、早速シルヴィアと仲が良いというアンジェラ先生を訪ねた。
「お久しぶりです!」
「本当ね。いつ以来かしら……立派に成長したわね」
優しげな声色でシルヴィアの頭を撫でるアンジェラ先生。長い紫色の髪に丸眼鏡が特徴的な彼女は、お手本のような先生スタイルといえた。年齢はジャーミウさんと同じくらいかな?
「そちらがあなたの旦那様ね」
「は、はい!」
アンジェラ先生の視線がこちらへと向けられる。
ここはその旦那様として、立派に振る舞わなければ。
「初めまして、ロイス・アインレットと申します」
「お噂は聞いていますよ。ビシェルやキャロラインとは少し雰囲気が違うようですね」
「俺はふたりほど優秀ではありませんから」
ビシェル兄さんもキャロライン姉さんも、学園では凄く目立っていたと聞いている。
仮に俺が学園に入っていたしても、無属性魔法使いということでふたりに比べると下に見られていただろうな。
それに、シルヴィアとも出会えていなかったかもしれないし……そう思うと、学園への進学が俺の未来を大きく左右したと言って過言ではない。
メイドのテスラさんやマックとも挨拶を終えたアンジェラ先生はニコッと微笑んで校舎の方を指さす。
「詳しい話はあちらの部屋で聞くわ」
「「よろしくお願いします」」
こうして、俺たちは初めて学園の校舎へと足を踏み入れるのだった。
マックを預けてから、俺たちは東校舎一階にある応接室へと通される。
「それで、今日はなんのご用件で?」
「実は――」
俺は早速本題へと入る。
ジェロム地方にいる子どもたちのために、学校を建設したいというこちらの計画に対して、アンジェラ先生の反応は、
「とても良い考えだと思います!」
上々だった。
しかし、明るかった表情はすぐに萎れていってしまう。俺たちは軽々しく「学校をつくりたい」と口にしたが、それがどれだけ大変なことか、長らくここで教師をしているアンジェラ先生にはその苦労が分かるのだろう。
当然、俺もそう簡単にことが運ぶとは思っていない。
これまででもっとも困難な道になるのは間違ないと断言できる――が、将来的にあのジェロム地方を盛りあげてくれる若い世代を育てるという意味でも、学校の存在は欠かせないと感じていた。
だからこそ、アンジェラ先生に何か助言をもらえないかと思っていたのだが……
「うーん……」
当のアンジェラ先生は何やら悩んでいる様子。
厄介な案件であることは重々承知しているけど、やはりここは現場で働いている人の率直な意見が聞きたかった。
しばらくすると、アンジェラ先生は答えを見出したのか、「パン」と手を叩いて晴れやかな表情を俺たちに向ける。
そして――
「あなたたち――この学園に体験入学してみない?」
なんか、とんでもない提案をされた。
「お久しぶりです!」
「本当ね。いつ以来かしら……立派に成長したわね」
優しげな声色でシルヴィアの頭を撫でるアンジェラ先生。長い紫色の髪に丸眼鏡が特徴的な彼女は、お手本のような先生スタイルといえた。年齢はジャーミウさんと同じくらいかな?
「そちらがあなたの旦那様ね」
「は、はい!」
アンジェラ先生の視線がこちらへと向けられる。
ここはその旦那様として、立派に振る舞わなければ。
「初めまして、ロイス・アインレットと申します」
「お噂は聞いていますよ。ビシェルやキャロラインとは少し雰囲気が違うようですね」
「俺はふたりほど優秀ではありませんから」
ビシェル兄さんもキャロライン姉さんも、学園では凄く目立っていたと聞いている。
仮に俺が学園に入っていたしても、無属性魔法使いということでふたりに比べると下に見られていただろうな。
それに、シルヴィアとも出会えていなかったかもしれないし……そう思うと、学園への進学が俺の未来を大きく左右したと言って過言ではない。
メイドのテスラさんやマックとも挨拶を終えたアンジェラ先生はニコッと微笑んで校舎の方を指さす。
「詳しい話はあちらの部屋で聞くわ」
「「よろしくお願いします」」
こうして、俺たちは初めて学園の校舎へと足を踏み入れるのだった。
マックを預けてから、俺たちは東校舎一階にある応接室へと通される。
「それで、今日はなんのご用件で?」
「実は――」
俺は早速本題へと入る。
ジェロム地方にいる子どもたちのために、学校を建設したいというこちらの計画に対して、アンジェラ先生の反応は、
「とても良い考えだと思います!」
上々だった。
しかし、明るかった表情はすぐに萎れていってしまう。俺たちは軽々しく「学校をつくりたい」と口にしたが、それがどれだけ大変なことか、長らくここで教師をしているアンジェラ先生にはその苦労が分かるのだろう。
当然、俺もそう簡単にことが運ぶとは思っていない。
これまででもっとも困難な道になるのは間違ないと断言できる――が、将来的にあのジェロム地方を盛りあげてくれる若い世代を育てるという意味でも、学校の存在は欠かせないと感じていた。
だからこそ、アンジェラ先生に何か助言をもらえないかと思っていたのだが……
「うーん……」
当のアンジェラ先生は何やら悩んでいる様子。
厄介な案件であることは重々承知しているけど、やはりここは現場で働いている人の率直な意見が聞きたかった。
しばらくすると、アンジェラ先生は答えを見出したのか、「パン」と手を叩いて晴れやかな表情を俺たちに向ける。
そして――
「あなたたち――この学園に体験入学してみない?」
なんか、とんでもない提案をされた。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
5,505
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。