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第288話 新たな課題
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霊峰ガンティアの完全制覇。
その手始めとして、俺は温泉のあった場所近くに新しく村をつくる計画を立てていた。
今回は転移魔法を使用し、その場所を確認するため山へと挑む。
ちなみにメンバーは俺とシルヴィア、そして専門家の意見を聞くためにデルガドさんをはじめとする数人の職人たち――さらに、王立学園でお世話になったアンジェラ先生の妹で、新しくできるジェロム地用の学校に勤務予定のコリーヌさんの大所帯となる。
特に注意をしておきたいのはコリーヌさんだ。
急遽参加することになったわけだが、山に関しては素人。俺たちから極力離れないように注意をしてくださいと伝えておく。
まあ、大人の女性なのでその辺りは問題ないだろう。
というわけで、転移魔法陣のある場所まで移動し、そこから全員一緒に目的地まで一瞬のうちに移動する。
「こ、これが転移魔法……」
初めて体験する転移魔法に驚いていたコリーヌさんだが、その関心はすぐに目の前の霊峰ガンティアへと移り変わる。
「こ、これが霊峰ガンティア……なんていう迫力なの……」
これだけ距離が近いと、麓から眺めていた時とはまったく異なる顔をのぞかせる。俺たちはもう何度も体験しているので誰も特にリアクションをとらないが、最初は大体コリーヌさんみたいな反応になっちゃうんだよな。
それにしても、
「ちょっと肌寒いかな……」
標高があるとはいえ、以前来た時よりも冷気が強くなっているような感じがした。そう思ったのは俺だけではないらしく、かつてここへ足を運んだ者はみんな口を揃えて前よりも寒くなったと発言する。
「想像していたよりも麓と気温差がありますな」
「ですね。シルヴィア、大丈夫か?」
「私なら平気だ」
デルガドさんと状況の確認をしながら、シルヴィアの体調を確認。
問題なさそうでひと安心しつつも、この気温差は今後乗り越えるべきひとつの課題として浮き彫りとなった。
とはいえ、ここにはとっておきのスポット――温泉がある。職人たちが確認したところによると、以前と変わらずに湧きだしているとのことだったので、これを利用して寒さ対策を練るとしよう。
あと心配なのは……雪だな。
ムデル族が住んでいる高さでは降らないようだが、山頂に雪が積もっているのを見る限り、この辺りには降雪の影響が出てきそうだ。
同時に、ひとつ気になったのが……自然災害。
標高が高く、雪が積もるという環境ならば雪崩の心配が出てくるだろう。
「なるべくたくさんの場所に転移魔法陣を用意して、迅速に避難できるような準備を整えておくべきでしょうね」
「領主様……こいつは噂ですがね、なんでも雪崩を事前に探知できる魔道具があるらしいですよ」
「っ! それは興味深いですね」
もしそれが手に入れば、雪崩によるリスクも減るだろう。
問題はどこに売っているか、だ。
或いは、
「自分たちでなんとか雪崩を察知できないかな」
「雪崩探知機をですか?」
「いや――無属性魔法さ」
新しい魔法の扉――それが音を立てて開き始めている感じがした。
その手始めとして、俺は温泉のあった場所近くに新しく村をつくる計画を立てていた。
今回は転移魔法を使用し、その場所を確認するため山へと挑む。
ちなみにメンバーは俺とシルヴィア、そして専門家の意見を聞くためにデルガドさんをはじめとする数人の職人たち――さらに、王立学園でお世話になったアンジェラ先生の妹で、新しくできるジェロム地用の学校に勤務予定のコリーヌさんの大所帯となる。
特に注意をしておきたいのはコリーヌさんだ。
急遽参加することになったわけだが、山に関しては素人。俺たちから極力離れないように注意をしてくださいと伝えておく。
まあ、大人の女性なのでその辺りは問題ないだろう。
というわけで、転移魔法陣のある場所まで移動し、そこから全員一緒に目的地まで一瞬のうちに移動する。
「こ、これが転移魔法……」
初めて体験する転移魔法に驚いていたコリーヌさんだが、その関心はすぐに目の前の霊峰ガンティアへと移り変わる。
「こ、これが霊峰ガンティア……なんていう迫力なの……」
これだけ距離が近いと、麓から眺めていた時とはまったく異なる顔をのぞかせる。俺たちはもう何度も体験しているので誰も特にリアクションをとらないが、最初は大体コリーヌさんみたいな反応になっちゃうんだよな。
それにしても、
「ちょっと肌寒いかな……」
標高があるとはいえ、以前来た時よりも冷気が強くなっているような感じがした。そう思ったのは俺だけではないらしく、かつてここへ足を運んだ者はみんな口を揃えて前よりも寒くなったと発言する。
「想像していたよりも麓と気温差がありますな」
「ですね。シルヴィア、大丈夫か?」
「私なら平気だ」
デルガドさんと状況の確認をしながら、シルヴィアの体調を確認。
問題なさそうでひと安心しつつも、この気温差は今後乗り越えるべきひとつの課題として浮き彫りとなった。
とはいえ、ここにはとっておきのスポット――温泉がある。職人たちが確認したところによると、以前と変わらずに湧きだしているとのことだったので、これを利用して寒さ対策を練るとしよう。
あと心配なのは……雪だな。
ムデル族が住んでいる高さでは降らないようだが、山頂に雪が積もっているのを見る限り、この辺りには降雪の影響が出てきそうだ。
同時に、ひとつ気になったのが……自然災害。
標高が高く、雪が積もるという環境ならば雪崩の心配が出てくるだろう。
「なるべくたくさんの場所に転移魔法陣を用意して、迅速に避難できるような準備を整えておくべきでしょうね」
「領主様……こいつは噂ですがね、なんでも雪崩を事前に探知できる魔道具があるらしいですよ」
「っ! それは興味深いですね」
もしそれが手に入れば、雪崩によるリスクも減るだろう。
問題はどこに売っているか、だ。
或いは、
「自分たちでなんとか雪崩を察知できないかな」
「雪崩探知機をですか?」
「いや――無属性魔法さ」
新しい魔法の扉――それが音を立てて開き始めている感じがした。
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