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何度もここにいるのに
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蓮はグラスの水をひと口飲み、ソファに腰を下ろした。
静かな部屋に、シャワーの音が響いている。
バスルームのドア越しに、修一が髪を洗う気配が伝わる。
この光景にも、もう慣れた。
修一がここに泊まるのは、もう何度目になるだろう。
最初は「たまたま」だったはずだ。
終電を逃したとき、雨が降っていたとき、ただの流れで泊まっていくだけ。
けれど、今では 「自分の部屋に帰るより、こっちのほうが楽だから」 という理由でここにいる。
そんなことを言いながら、修一は当然のようにシャワーを浴び、蓮のベッドで眠る。
気づけば、それが当たり前になっていた。
けれど、蓮は―― まだ一度も修一に触れていない。
触れたくなかったわけではない。
むしろ、ずっと求めていた。
だけど、無理に押し倒すことはしなかった。
あの人は 「逃げ道がない」と思えば、きっと離れていく。
蓮は、修一が逃げないと確信できるまで、ずっと待つと決めていた。
シャワーの音が止まり、しばらくしてバスルームのドアが開く。
湿った空気とともに、タオルで髪を拭きながら出てきた修一が、無造作にソファに腰を下ろす。
シャワー上がりの濡れた髪。
無防備に首元を掻く仕草。
肌に落ちる水滴をそのままに、蓮の前で無頓着に座っている。
いつも思う。
この人は、自分の色気にまるで気づいていない。
タオル越しにゆるく髪をかき上げる動作すら、妙に艶っぽい。
もし今、蓮が少しでも理性を緩めれば、押し倒してしまいそうだった。
だが、それはしない。
修一が自分から蓮を求めるまで、あと少し――
蓮は、手元のグラスを持ち上げ、水を飲むことで意識をそらした。
「……お前、ほんとに手ぇ出さねぇよな」
不意に修一がぼそりと呟いた。
蓮はグラスを置き、静かに微笑む。
「我慢してますから」
修一は、何か言いたげに眉を寄せる。
そして、無意識に「悪いな」と呟いた。
その言葉が、心の奥に落ちる。
――やっと、ここまで来た。
蓮は微笑みながら、ゆっくりと修一を見つめた。
「わかってるなら、もう少し意識してください」
修一は不機嫌そうに顔を背けるが、耳の先が赤くなっているのを見逃さなかった。
今夜は、きっと――
静かな部屋に、シャワーの音が響いている。
バスルームのドア越しに、修一が髪を洗う気配が伝わる。
この光景にも、もう慣れた。
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最初は「たまたま」だったはずだ。
終電を逃したとき、雨が降っていたとき、ただの流れで泊まっていくだけ。
けれど、今では 「自分の部屋に帰るより、こっちのほうが楽だから」 という理由でここにいる。
そんなことを言いながら、修一は当然のようにシャワーを浴び、蓮のベッドで眠る。
気づけば、それが当たり前になっていた。
けれど、蓮は―― まだ一度も修一に触れていない。
触れたくなかったわけではない。
むしろ、ずっと求めていた。
だけど、無理に押し倒すことはしなかった。
あの人は 「逃げ道がない」と思えば、きっと離れていく。
蓮は、修一が逃げないと確信できるまで、ずっと待つと決めていた。
シャワーの音が止まり、しばらくしてバスルームのドアが開く。
湿った空気とともに、タオルで髪を拭きながら出てきた修一が、無造作にソファに腰を下ろす。
シャワー上がりの濡れた髪。
無防備に首元を掻く仕草。
肌に落ちる水滴をそのままに、蓮の前で無頓着に座っている。
いつも思う。
この人は、自分の色気にまるで気づいていない。
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もし今、蓮が少しでも理性を緩めれば、押し倒してしまいそうだった。
だが、それはしない。
修一が自分から蓮を求めるまで、あと少し――
蓮は、手元のグラスを持ち上げ、水を飲むことで意識をそらした。
「……お前、ほんとに手ぇ出さねぇよな」
不意に修一がぼそりと呟いた。
蓮はグラスを置き、静かに微笑む。
「我慢してますから」
修一は、何か言いたげに眉を寄せる。
そして、無意識に「悪いな」と呟いた。
その言葉が、心の奥に落ちる。
――やっと、ここまで来た。
蓮は微笑みながら、ゆっくりと修一を見つめた。
「わかってるなら、もう少し意識してください」
修一は不機嫌そうに顔を背けるが、耳の先が赤くなっているのを見逃さなかった。
今夜は、きっと――
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