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次はどんな本を読もう?
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陽向は、手にしていた本を最後の一行まで読み終えると、そっと閉じた。
「…終わった」
いつの間にか、完全に物語の世界に入り込んでいた。
読み終えたばかりなのに、まだその余韻が頭の中に残っている気がする。
(なんだろ、この感覚…)
心の中が満たされたような、それでいて少し寂しいような…
そんな不思議な気分だった。
そして、ふと気づく。
(次は…どんな本を読もう?)
…今まで、こんなふうに「次の本」を考えたことなんてなかった。
本なんて、学校で読まされるものか、トラ老師に無理やり読まされるものだったのに…
今は違う。
「読んでみたい」と思う本を、自分で選びたくなっている。
「…フン」
背後から、小さな鼻息が聞こえた。
陽向が顔を上げると、いつの間にかトラ老師が本棚の上に座っていた。
前足を揃え、どこか満足げな表情で陽向を見下ろしている。
「ようやく貴様も『本を選ぶ楽しみ』がわかってきたようだな」
「…うるせぇな」
陽向はムッとした顔をしながらも、どこか否定できない気持ちになった。
「でも…まぁ、そうかもな」
自然に、そう口にしていた。
それを聞いたトラ老師は、薄く目を細めると、静かに毛づくろいを始める。
「フン…もう俺が口を出さなくても大丈夫そうだな」
陽向は、それをじっと見つめた。
いつもなら偉そうな態度にイラッとくるところだが…
今日はなんとなく、そう言われることが嬉しかった。
窓の外を見ると、空はすっかり夕焼け色になっていた。
「…よし」
陽向は立ち上がる。
「どこへ行く?」
トラ老師が、毛づくろいをやめて尋ねた。
「ちょっと…本屋にでも行ってみるか」
自分で言って、少し驚いた。
本屋なんて、今までろくに行ったことがなかったのに…
今は、なんとなく行ってみたくなった。
もっと、いろんな本を見てみたい。
今まで知らなかった物語を、自分の手で探してみたい。
「フフン…」
トラ老師が喉を鳴らす。
「どうした?」
「いや…貴様の顔が、なかなかいい顔をしていたのでな」
「…は?」
陽向が眉をひそめると、トラ老師は小さくあくびをし、のびをした。
「行ってこい。お前が何を選ぶか、見ものだ」
そう言うと、トラ老師は本棚の上でくるりと丸まり、再び目を閉じる。
「…なんなんだよ、こいつ」
陽向は苦笑しながら、カバンを肩にかけた。
そして、初めての「本を選ぶ旅」に出かけることにした。
「…終わった」
いつの間にか、完全に物語の世界に入り込んでいた。
読み終えたばかりなのに、まだその余韻が頭の中に残っている気がする。
(なんだろ、この感覚…)
心の中が満たされたような、それでいて少し寂しいような…
そんな不思議な気分だった。
そして、ふと気づく。
(次は…どんな本を読もう?)
…今まで、こんなふうに「次の本」を考えたことなんてなかった。
本なんて、学校で読まされるものか、トラ老師に無理やり読まされるものだったのに…
今は違う。
「読んでみたい」と思う本を、自分で選びたくなっている。
「…フン」
背後から、小さな鼻息が聞こえた。
陽向が顔を上げると、いつの間にかトラ老師が本棚の上に座っていた。
前足を揃え、どこか満足げな表情で陽向を見下ろしている。
「ようやく貴様も『本を選ぶ楽しみ』がわかってきたようだな」
「…うるせぇな」
陽向はムッとした顔をしながらも、どこか否定できない気持ちになった。
「でも…まぁ、そうかもな」
自然に、そう口にしていた。
それを聞いたトラ老師は、薄く目を細めると、静かに毛づくろいを始める。
「フン…もう俺が口を出さなくても大丈夫そうだな」
陽向は、それをじっと見つめた。
いつもなら偉そうな態度にイラッとくるところだが…
今日はなんとなく、そう言われることが嬉しかった。
窓の外を見ると、空はすっかり夕焼け色になっていた。
「…よし」
陽向は立ち上がる。
「どこへ行く?」
トラ老師が、毛づくろいをやめて尋ねた。
「ちょっと…本屋にでも行ってみるか」
自分で言って、少し驚いた。
本屋なんて、今までろくに行ったことがなかったのに…
今は、なんとなく行ってみたくなった。
もっと、いろんな本を見てみたい。
今まで知らなかった物語を、自分の手で探してみたい。
「フフン…」
トラ老師が喉を鳴らす。
「どうした?」
「いや…貴様の顔が、なかなかいい顔をしていたのでな」
「…は?」
陽向が眉をひそめると、トラ老師は小さくあくびをし、のびをした。
「行ってこい。お前が何を選ぶか、見ものだ」
そう言うと、トラ老師は本棚の上でくるりと丸まり、再び目を閉じる。
「…なんなんだよ、こいつ」
陽向は苦笑しながら、カバンを肩にかけた。
そして、初めての「本を選ぶ旅」に出かけることにした。
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