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第二章
大事な大会には、最高の状態で挑むべき。――9
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『GLLLL……!』
続いて、ライオンヘッドプリーストが杖を高く掲げた。
杖から放たれる光が、ヴェールのような幕を成す。『ハイヒール』の準備態勢だ。
ハイヒールの発動を許せば、ライオンヘッドプリーストのHPは2本と1/4になり、決着が遠のく。
しかし俺は焦らなかった。
レイシーのサポートがあるからだ。
『リィ!』
6秒のチャージタイムを終え、指を組んでいたリーリーが両手を掲げる。
賛美歌のような音色が流れ、ユーの体を煌めきが包んだ。
魔法スキル『ミスティックエール』の発動。その効果は、『味方モンスター1体を対象とし、スキルひとつのクールタイムをリセットする』だ。
要するに、
「ユー、もう一発リバーサルストライクだ!」
本来、5分待たないと再使用できないリバーサルストライクを、すぐに放てるようになるってことだ。
ユーが『防御態勢』を解除し、ロングソードを引き絞る。
『ムゥ――――ッ!!』
そして放たれるリバーサルストライク。
キュドォオオオオオオンンンンッ!!
『GLOOOOOOOOOOHHHH!!』
理不尽とも言えるバーサクリバストの連発を食らい、ライオンヘッドプリーストがのけ反る。
断末魔の咆哮を上げ、ライオンヘッドプリーストは、光の粒子となって消えていった。
ライオンヘッドプリーストとの戦闘を終えたレイシーは、脱力するように息を吐く。
よほど緊張していたのだろう。レイシーの額には汗が浮かんでいた。
そんなレイシーに、俺は快活な笑顔を向ける。
「バッチリだったぞ、レイシー!」
「お役に立てたでしょうか?」
「ああ! ミスティックエールとリバーサルストライクの相性に気付いたことはもちろんだが、戦闘開始直後に使う判断もよかった」
「ロッドくんはきっと、最初にユーさんのバーサクリバストを用いると思ったのです」
「よくわかったな、そのとおりだよ」
俺が目を丸くすると、レイシーは頬を桜色にしてはにかんだ。
「わかります。わたしは、一番側でロッドくんを見てきましたから」
「お、おお、そうか」
レイシーのセリフに、ドキリと心臓が跳ねた。
嬉しいこと言ってくれるなあ。こんな甘酸っぱいセリフ、前世の俺だったら絶対に言ってもらえなかったぞ。
「と、とにかく、本当に見事だった。レイシーがついて来てくれて助かったよ」
「えへへへへ……そう言っていただけたら、わたしも嬉しいです」
ポンポンと頭を撫でると、レイシーはフニャリと頬をゆるめる。
ブンブンと千切れんばかりに振られる尻尾が見えるような、心を許しきった笑顔だった。
参ったなあ、照れ隠しのつもりで頭を撫でたのに、これじゃあ、ますます顔が熱くなっちまうよ。
ライオンヘッドプリーストから得た経験値で、クロは84レベル、ユーは80レベル、リーリーは46レベルに上がった。
その後、俺とレイシーは最奥の部屋にたどり着き、クロ用の装備品を手に入れ、ホクホク顔でジェア神殿をあとにしたのだった。
続いて、ライオンヘッドプリーストが杖を高く掲げた。
杖から放たれる光が、ヴェールのような幕を成す。『ハイヒール』の準備態勢だ。
ハイヒールの発動を許せば、ライオンヘッドプリーストのHPは2本と1/4になり、決着が遠のく。
しかし俺は焦らなかった。
レイシーのサポートがあるからだ。
『リィ!』
6秒のチャージタイムを終え、指を組んでいたリーリーが両手を掲げる。
賛美歌のような音色が流れ、ユーの体を煌めきが包んだ。
魔法スキル『ミスティックエール』の発動。その効果は、『味方モンスター1体を対象とし、スキルひとつのクールタイムをリセットする』だ。
要するに、
「ユー、もう一発リバーサルストライクだ!」
本来、5分待たないと再使用できないリバーサルストライクを、すぐに放てるようになるってことだ。
ユーが『防御態勢』を解除し、ロングソードを引き絞る。
『ムゥ――――ッ!!』
そして放たれるリバーサルストライク。
キュドォオオオオオオンンンンッ!!
『GLOOOOOOOOOOHHHH!!』
理不尽とも言えるバーサクリバストの連発を食らい、ライオンヘッドプリーストがのけ反る。
断末魔の咆哮を上げ、ライオンヘッドプリーストは、光の粒子となって消えていった。
ライオンヘッドプリーストとの戦闘を終えたレイシーは、脱力するように息を吐く。
よほど緊張していたのだろう。レイシーの額には汗が浮かんでいた。
そんなレイシーに、俺は快活な笑顔を向ける。
「バッチリだったぞ、レイシー!」
「お役に立てたでしょうか?」
「ああ! ミスティックエールとリバーサルストライクの相性に気付いたことはもちろんだが、戦闘開始直後に使う判断もよかった」
「ロッドくんはきっと、最初にユーさんのバーサクリバストを用いると思ったのです」
「よくわかったな、そのとおりだよ」
俺が目を丸くすると、レイシーは頬を桜色にしてはにかんだ。
「わかります。わたしは、一番側でロッドくんを見てきましたから」
「お、おお、そうか」
レイシーのセリフに、ドキリと心臓が跳ねた。
嬉しいこと言ってくれるなあ。こんな甘酸っぱいセリフ、前世の俺だったら絶対に言ってもらえなかったぞ。
「と、とにかく、本当に見事だった。レイシーがついて来てくれて助かったよ」
「えへへへへ……そう言っていただけたら、わたしも嬉しいです」
ポンポンと頭を撫でると、レイシーはフニャリと頬をゆるめる。
ブンブンと千切れんばかりに振られる尻尾が見えるような、心を許しきった笑顔だった。
参ったなあ、照れ隠しのつもりで頭を撫でたのに、これじゃあ、ますます顔が熱くなっちまうよ。
ライオンヘッドプリーストから得た経験値で、クロは84レベル、ユーは80レベル、リーリーは46レベルに上がった。
その後、俺とレイシーは最奥の部屋にたどり着き、クロ用の装備品を手に入れ、ホクホク顔でジェア神殿をあとにしたのだった。
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