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第38話 お屋敷へ行こう

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模擬戦場の控え室で弟子達といる。
『皆んなお疲れ様。ここに来てから色々とあったが、ここでの俺達の役目は終わった。だから屋敷へ行こうと思う。そこで今後の事を決めたい。』
『賛成!どんなお屋敷かな?楽しみ!』
『おう!使用人も居るって言ってたよな!本当に楽しみだ!』
ギエンとパルがはしゃいでいる。
『よし各自部屋に帰って準備してくれ。』
『はーい!』
皆、楽しみで声が弾んでいる。
扉を勢いよく開けて出ていく。
皆を見送り反対側の扉に向けて声をかける。
『王女様、何か御用でしょうか?』
扉の向こうで焦った気配がする。すると扉がゆっくり開いて王女様が入ってきた。なんだか怖い者を見るような表情をしている。
チラチラと俺の顔を見てモジモジしていたが話し出す。
『あ、あの・・さっきは、ごめんなさい・・・。』
(素直に謝りに来たか・・。だけど話の続きがありそうだな・・。ここはさっさと退散しよう。)
『王女様、分かって頂ければ幸いです。こちらこそ失礼いたました。俺はこれから屋敷へ移動いたしますので失礼します。』
一礼して立ち去る。
『あ、あの・・・』
後ろから声が聞こえたが聞こえないふりをして部屋に向かった。
部屋に着くと既に弟子達が集まっていた。
『師匠!!遅いー!早くー!』
エルが急かすように跳ねている。
『あぁ、行こうか!』
エルの頭に手を置いて歩き出す。

王宮から馬車で30分ぐらい揺られ馬車が止まった。扉が開き、使用人から声をかけられる。
『ハヤト様、お疲れ様でした。お屋敷に到着致しました。』
『うん。ありがとう』礼を言い馬車から皆が降りると目の前に広がる光景に息を飲む。
身長より遥かに高く大きい門、門から数十メートル先に佇む自分達が想像する豪邸を遥かに上回る豪邸!
そして、門を開けられ脇に立ち並ぶ数十人のメイド達。
圧倒さてれ呆然としていると
『お帰りなさいませ。ハヤト様。お待ちしておりました。』
執事服を着こなし凛とした初老の男性が出迎えてくれた。
メイド達も完璧な所作でおじぎをする。
『私はメイド達の取りまとめをしております。アルノーと申します。以後お見知りおきを。』
『あぁ、アマクサ・ハヤトだ。こちらこそよろしく頼む。』
まだ驚きから立ち直っていないのでぎこちない。
『ハヤト様、お弟子様も中へどうぞ。』
アルノーが案内してくれる。
門を入ると広い庭の真ん中に噴水が水を吹き出し虹が出ている。大きなドアを入ると自分の家が入りそうなエントランスが広がる。
高い天井を見上げていると
『ハヤト様、湯浴みの用意とお食事の用意がしてございます。どうなさいますか?』
アルノーが聞いてくれる。
俺は取り敢えず気を取り直して
『お前達、風呂かご飯かどっちがいい?』
『お風呂がいいーー!!』
開口1番パルが答える。女性陣はお風呂がいいらしい。
『アルノー、湯浴みを頼む。』
『かしこまりました。取り敢えずお部屋にご案内します。後はメイドがご案内します。』
『あぁ、頼むよ。』
(取り敢えず、早く落ち着きたい・・・。)
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