天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす！

第39話 一息つこうと思ったが

俺はやたらとでかい風呂に浸かって今までの事を思い返している。
ゆっくりと思いに浸りたいところだが、、、
ギエンとロウが目の前でお湯を撒き散らし泳いでいる。
レベル2500オーバーのばた脚で繰り出されるしぶきがビシビシと当たる。

『おい！2人共！風呂で泳ぐんじゃない！！ジンを見習え！一般人が一緒に入っていたらしぶきで死ぬぞ！！』
『あ！師匠ごめんなさい。つい広いお風呂をに入ると泳ぎたくなって・・・』
ロウが申し訳なさそうに頭を掻く。
ギエンはそっと平泳ぎになっていた・・。
（王宮の風呂でもやってたな・・・まぁいいか。）
『さあ、上がってご飯にするか！！』

今、お昼ご飯に襲い掛かっている弟子達を眺めている。
メル、マリ、エリはまるで貴族のような所作で食べているが・・・。
これで良いのか不安になってきた今日この頃である。

食事という名の戦争を終え、食後の紅茶を頂いている。
『皆んな聞いてくれ。これから女性陣でメル、マリ、エリの身の回りの物を揃えてやってくれ。後は基本的に自由にしてくれていい。』
女性陣は嬉々として立ち上がり俺の所へ小走りで来る。パルが首を傾げニコッと笑い手を出す。分かっているでしょう？と言わんばかりな笑顔だ。
『分かってるよ。これで頼むよ。』
パルの手に金貨9枚を乗せると金貨を握り笑顔になる。
『はい！行ってきます！』
『あ、ちょっと待って。』
俺はパルを止めてメル達の所へ行き、彼女達の手をとり金貨を3枚づつ渡す。
『これはお前達が好きに使ってくれ。皆んなにも渡してある。』
『こ、こんなにも、、、』
彼女達は金貨を見ながら呟き俺の顔を見る。
『これから少しずつ普通の生活に慣れて欲しい。これは俺からの特訓だ！』
『ありがとうございます。』
彼女達は目を潤ませながら頭を下げる。
『じぁあ、皆んな頼んだぞ！行ってこい！』
『はい！！』
女性陣は声を揃えて小走りで出て行った。
『師匠！俺達も町へ行ってくるよ！』
ギエンがテンション高めに言ってくる。
『あぁ、気を付けてな。あんまり無茶するなよ！』
ギエン達も続いて出て行った。よく考えたら16歳だ。子供っぽくて当然だと笑いが漏れた。
すると、アルノーが話しかける。
『ハヤト様、これからどうなさいますか？』
『あぁ、部屋に戻って一息つこうと思う。それと、騒がしくて悪いな。俺も含め皆、作法を知らないんだ。』
『ハヤト様、お気遣い感謝します。ですが
自由にしていてください。そのうち環境に慣れれば自然に身に付く事かと思います。
それではお部屋にご案内いたします。』
アルノーは柔らかな笑顔で軽く頭を下げる。
『あぁ、ありがとう。甘えさせてもらうよ。』

部屋に入るとメイドが紅茶を淹れてくれる。
『御用の際はお呼びください。』と完璧な所作で部屋を出て行く。しばらくは、この扱いに慣れないだろうと思う。

紅茶を一口飲み庭にある噴水を見ていると視界の端に違和感を覚える。
【索敵】を使うと屋敷の門に誰か居る。もう誰だか分かっているのだが・・・。ため息をつきメイドを呼ぶ。
『ハヤト様、御用でしょうか？』
『あぁ、屋敷の門の外で中を伺っている者がいるから、丁重にここへ連れてきて欲しいんだ。』
『は、はい。かしこまりました。』
少し驚いた顔をして部屋を出て行った。

そして予想通り俺の目の前にセティア王女が座っている。
なんだか落ち着かない様子で斜め下と俺の顔を交互に見ている。
『こんにちは、セティア王女様。みなぜこんな所へお越しに？』
なんとなく用件は分かっているのだが聞いてみる。
『・・・ど、どんな所なのか、・・・見にきただけよ・・・。』
相変わらず、もじもじしながら話している。
『そうでしたか！幸い弟子達も出払っているのでアルノーに案内させましょう！』
『え、あ、あの・・・』
王女が何か言いたそうだが、
俺は問答無用でメイドにアルノーを呼ぶように伝える。
直ぐに扉がノックされる。
『入ってくれ。』
『ハヤト様、お待たせ致しました。どうされましたか？』
『あぁ、セティア王女様が屋敷を見たいと言っているんだ。案内してやって欲しいんだ。後、馬車も用意しておいてくれ。』
『さようでございましたか。かしこまりました。
では早速、セティア王女様こちらへ。』
アルノーに扉へ促されながら、何か言いたそうに出て行った。
（やれやれ、弟子達が帰ってくる前に大人しく帰って欲しいんだが・・・。）