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第58話 騎士団参謀リゲルの暴走

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『クソ!何故だ!俺が選抜した47人が全滅?!全員レベル100越えだぞ?!
俺の面子が丸潰れだ!!』

リゲルは部屋の机を蹴飛ばし荒れていた。
リゲルは焦っていた。このままでは無能の烙印を押され奴隷に落とされてしまう。
追い詰められたリゲルは騎士団の一軍を使う事を決断してしまう。
そして18騎士団の内の3人の団長を呼んだ。

『バイン・セス・メイラ、お前らは今すぐにファイデル王国に行ってもらう。
そこで【英雄】とその弟子達を捕獲してこい!!』

『え?50人近く行ったではありませんか?失敗したのですか?』
バインは不満そうに答える。

『う、煩い!!お前らは命令を遂行すれば良いんだ!!
いいか?!失敗は許されん!
相手は手練れだ!油断は禁物だぞ!
部下を10人づつ、鑑定士も連れて行け!!
直ぐに行け!!』

『『『・・はい。』』』
皆、やる気が無さそうに出て行く。


朝ご飯を食べていると、
『師匠!!今日は武器屋に行きたい!!
ドラゴンの魔石と素材を持っていくって約束したんだ!』
ギエンが目を輝かせている。

色々と準備も必要だしこの際、ギルドでドラゴンを解体してもらうか・・。

『よし!今日はギエン達に付き合うか!
それと、メル・マリ・エリは屋敷の地下に広い部屋があるみたいだから、自分達のスキルを検証して欲しい。』

『『『はい!』』』

『よし!あとは皆んな、気付いていると思うが屋敷を伺ってる奴らがいる。各々自由に過ごしてくれ!』
『はーい!』

俺達は屋敷を出て馬車に揺られている。
『ギエン、取り敢えずギルドに寄ってドラゴンを解体してもらうぞ!それから武器屋だな!あと気付いているな?』

『・・12人。付けられてるな。』ジンが呟く。
『あぁ、警戒はしておいてくれ。屋敷の方はまず問題はないだろう。』


『おい!鑑定は出来たか?!』
『い、いえ。ま、まだ範囲外です。』
『クソ!使えんな!!
それにしてもなんだ・・この圧迫感は・・。
バインは汗を滲ませ呟く。

俺達がギルドに入ると空気が張り詰める。
付けて来た集団から1人だけギルドに入ってくる。
俺は構わず受け付けに行き話しかける。
『魔物の解体を頼みたいんだがいいか?』

『ハヤト様!大丈夫です!こちらへどうぞ。』
受け付け嬢の声が弾んでいるのは気のせいか・・・。
『ここへお願いします。』
流石、王都のギルド。解体場もかなり広い。
俺はレッドドラゴン・ブルードラゴン・地竜を出目の前に出す。

受け付け嬢と解体士達が口をあんぐり開けている。
『時間はどれぐらい掛かる?』
『は、は、はい。全員でかかれば半日も掛からないと思います。』

『分かった。その頃にまた来るよ。よろしくね!!』

『よし、お前達は適当に時間を潰して来い。
俺は奴らを探ってみる。警戒はしておけよ!』
『『『はい!』』』
ギエン達がギルドを出ようとした時だった。
『ガタタタッッッ!!!!』
椅子から崩れ落ちた女の子が急いで外に出て行った。

『おい!どうだった?!』
女の子は震えながら答える。
『ば、ば、化け物です!!!!
レ、レ、レベルが3人共2500を越えてます!!!
私達ではどうしようもありません!!』

『馬鹿な!!見間違いだろう!!!レベル2500なんて人間いる訳ないだろう!!!馬鹿か!!』
バインが疑心暗鬼で文句を言う。
『目の前に居たんです!!!見間違いじゃない!!!
攻撃力が26万越えてるんです!!!!桁が違うんです!!
私のことを信じないと大変な事になります!!!!』
必死に訴えてかける。
バインは少し冷静になって考える。
『馬鹿な・・そんな事が・・前の50人は本当にやられたのか・・・』

『でも、、、師匠と言われている人はレベル10でした・・・』
女の子がポツリと溢す。
『な、何だと!!それは本当か!?本当にレベル10なのか?!』
バインが女の子に詰め寄る。

『は、はい。間違いなくレベル10でした。
でもレベル2500の師匠がレベル10・・・何かおかしくありませんか?』

バインは藁にも縋る気分だった。このまま帰ればだだの無能扱い、下手すれば奴隷に落とされる。
バインは考える。おそらくガキ達の親代わりで少し基本だけ教えてた?そこで師匠と呼ばれ弟子達が守っている?
考えが纏まらない。でもレベル10だ。
なんとかなるような気がしてくる。

『よし・・・師匠とやらを捕獲するぞ!!お前ら全員こい!!
今、弟子達は居ない。レベル10が1人だ!
行くぞ!』

無能扱いの方がまだ良かった・・
今、死地へ踏み出してしまうバイン一行だった。
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