天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす！

第102話 魔法王シャルvs魔法神パル 2

（パ、パル殿・・・あ、あれ程の使い手だったのか！？
敵に回したら・・・国ごと滅ぶぞ・・・）

城壁の上からレノンが呟いている。

冒険者達も200人程集まり撃ち漏れた魔物を討伐している。

『おいおい！あの先頭で戦って居るのは女か？！
なんだよあの馬鹿でかい竜巻は？！』

『なんかメチャクチャ光ってるぞ？！』

『あ、ああ、かっこいいなぁ・・・ファンになりそう・・・』


（ふう。まぁまぁ面白い相手だったわね。
後はシャルとか言う親玉だけね。
だけどその前に・・・。）

『【アースクエイク】！！！』

地属性上級魔法である。
目の前の大地が波打つ！！魔物達が立っていられず転がる！
そして巨大な地割れがいくつも走り魔物を飲み込んでいく！！
魔物達を咀嚼するかの様に地鳴りがすると大地は沈黙して元通りになる。

見渡すとまだ魔物は残っているが皆、本能で怯えている様だ。
後退り戦意が無い様に見える。

『うん！いい感じに減ったわね！まだ【ハイ・トルネード】も残っているから大丈夫ね
！』
パルは風を纏って敵陣の奥まで進む。魔物達はパルから逃げるように道を開ける。

すると前方から大きめの火の玉が沢山飛んできた。
（なんでファイヤーボール？！もっと強力な魔法は？）

パルはファイヤーボールを払い除けながら
進むと、がむしゃらにファイヤーボールを撃ちまくる〈魔法王シャル〉が見えてくる。

『いやぁぁぁぁーー！！！来ないでぇぇぇぇ！！！！化け物ぉぉぉぉぉ！！！たすけてぇぇぇぇ！！！！』

自分より遥かに強い魔法使いを見たシャルがパニックになっていた・・・。

（あらら・・あれは戦意無しかな・・・）
パルは溜め息をつく。

（ちよっと大人しくしてもらおうかな。）

『【ファイヤーボール】！』

進行方向に直径5m程の火の玉が放たれる！

『え、え？あ、あ、アレが【ファイヤーボール】なの？！
シャルは前方に現れた巨大な火の玉に愕然として足の力が抜けてペタンと座り込み覚悟する。
しかし【ファイヤーボール】はシャルを通り越して後ろの崖に着弾する。

どっぐぉぉぉぉぉぉーーーーん！！

『きやぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！』

爆風が荒れ狂いシャルが飛ばされ転がる。

『あ、、、う、うぅぅ、、、』

爆風が収まり汚れた顔を上げて見ると、
崖は破壊され向こう側の景色が見えていた。

『な、な、何？！あの威力は・・・・』

『あんたが〈魔法王シャル〉ね？』

唐突に声をかけられ我に返り見上げると覗き込んでいるパルと目が合う。

シャルはあまりの圧力に声も出せずに固まり頷く事しか出来なかった。

（戦う気は無さそうね。）
パルは【魔装】を解除する。

『ねえ！取り敢えず、あの魔物達を何とかしてくれない？』
少し威圧しながら言う。

『は、はい！』
シャルは土下座状態で素直に返事をして魔物達を消した。　

『ふう。で、これからあんたはどうするの？』
パルはしゃがんでシャルと目線を合わせる。

『わ、分からないわ・・・500年封印されてて外に出たら化け物がいて・・・』

ゴン！！

『きゃっ！！！』

『誰が化け物なの？！』
ワンドで小突く。

『うぅ・・・十分化け物よ！私が最強だと思っていたのに・・・あんたは何者？！500年の間に何があったの？！』
シャルが涙目で俯く。

『私はファイデル王国、〈英雄ハヤト〉の弟子が1人！〈魔法神のパル〉よ！
あんたは師匠曰く”井の中の蛙大海を知らず”
って言うの。
あんたぐらいのレベルならファイデル王国に普通に居るわよ！』

シャルは唖然とする。
『ま、魔法・・・神？！私が目指した・・神の域・・・いや、ちょっと待って！弟子？！
その域まで上り詰めて弟子？！
じゃあ師匠は？！あんたより強いの？！』

パルは立ち上がり笑みを溢し言い放つ！
『当然よ！！私達の師匠は最強よ！
師匠ならこの程度のスタンビート、手加減した魔法１つで終了よ！！
私の魔力なんか師匠の足元にも及ばないわ！！』

シャルの顔から緊張感が無くなる。
『もう、自分が雑魚になった気分だわ・・・
でも会ってみたい。
私も教えを乞いたいわ・・・』

『会いに行けばいいじゃない！行くとこないんでしょ？
私の紹介だって言えばいいわ！
自分の未熟さが嫌ってほど分かるわよ！
魔人仲間のカルノーとデンバーも居るはずよ！』

シャルの顔が明るくなる。
『えっ？！カルノーとデンバーも？！
久しぶりだなぁ・・・パル！ありがとう！
行ってくる！！』

パルに手を振りながら空の彼方へ消えて行った。

『さてと戻ってご飯を食べよう！！』