天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす!

yoshikazu

文字の大きさ
110 / 183

第108話 ネルバの切り札

しおりを挟む
『ねえ、領主の屋敷は何処にあるの?』
エマがギルドマスターに笑顔で聞く。

『お、おう。ここを出て右に行けば、でかい屋敷があるからすぐ分かるぞ。
まさか・・・何かするのか・・・?』

ギルドマスターが固い笑顔で聞く。

モーニングスターを素振りしながら
『ふふっ。喧嘩を売られたので買うんです。理不尽を振り翳す者がどうなるか教えに行くだけですよ。』

『あんた、一体何者なんだ?その強さ普通じゃないだろう?!』

ギルドマスターが、1番聞きたかった事を切り出した。

エマはモーニングスターを肩に担ぐ。
『私はファイデル王国〈英雄ハヤト〉の弟子が1人!〈聖神のエマ〉よ!』

冒険者達が騒めく!
『あの噂の〈英雄の弟子達〉か!!眉唾だと思ってたが・・納得だ。』

(なるほど・・〈英雄の弟子達〉か・・噂でしか聞いた事がなかったからな・・・ここまでとはな・・だが悪い人間では無いな。)

『俺はギルドマスターのバーニンだ。お手柔らかに頼むぞ!
それと、ネルバの屋敷には魔物が居ると噂がある。気を付けてな・・』

『ありがとう!何とかするわ!じゃあね!』
エマは何もなかった様にギルドを出て行った。

バーニンは散歩にでも行く様に出で行くエマの後ろ姿を眺める。

『〈英雄の弟子達〉か・・・凄まじい力だったな・・・。』

『〈聖神〉なんて職業初めて見ました・・・もう訳がわかりません・・・』

2人共初めて見た規格外の存在に想いを馳せるのであった。


『なんだとぉぉぉ!!!リグル達が全滅だとぉぉぉ!!!
何があったんだ?!子娘1人に何をやっている?!』

ネルバが机を拳で叩き男に詰め寄る。

『ネルバ様!!アレは規格外の強さです!!噂通り〈英雄の弟子達〉は一筋縄ではいきません!!』
様子を見ていた男が憤る。

ネルバは男の勢いに少し怯む。
『ふ、ふん!!ならば規格外には規格外だ!!
アレを連れて来い!!』


(さて、まずは腹ごしらえね!)
串焼きを頬張りながらネルバの屋敷に向かう。
街は人通りが多いが屋敷に近づくに連れて人通りが無くなっていく。
するとエマが立ち止まる。

(何?!この気配は?人間じゃない?
そう言えば魔物が居るって言ってたわね・・・でも・・強いわね・・・。用心していこう。)

『【パーフェクトガード】!!』

『さあ!行くわよ!理不尽をぶっ飛ばしに!!』

屋敷の門の前に立つと執事らしき男が一礼する。
『ここはネルバ・クライドン様のお屋敷です。どの様なご用件でしょうか?』

『領主に【英雄の弟子】が来たと伝えてくれる?』

『かしこまりました。少々お待ちください。』
執事は一礼して屋敷の中に入っていった。

(今の執事・・・人間じゃないわね・・・)

しばらくすると執事が戻ってくる。

『お待たせ致しました。どうぞお入りください。』
執事が門を開ける。

エマが中に入ると執事が門を閉める。
『地獄へようこそ!!』
声を聞き振り返って見ると、
執事から殺気が漏れ、見た目が豹変していく。
執事服が裂けて破れ筋肉が盛り上がっていく。そして2m程の筋骨隆々の男がそこに居た。

『お前には恨みは無いが死n・・・』

エマはいい終わる前にモーニングスターを男の脇腹にめり込ませる。

『ふん!!!』

どこぉぉぉん!!
『ぷぎゃぁぁぁぁ!!』
どぉぉぉぉぉーーーん!!

男は外壁に沿ってぶっ飛び壁にめり込み動かなくなる。

エマはモーニングスターを振り下ろす。

『御託が多いわ!襲うならさっさと来なさい!!』

すると目の前に敷地いっぱいの魔物が現れる!!
そして魔物達の前に3人の男達が立ちはだかる!しかし、少し顔が引き攣っているのが分かる。

『よ、よくも・・・ラングを・・・』

さっきの男はラングと言うらしい。

『き、貴様ぁぁぁぁ!!』
男が飛び掛かろうとした瞬間真ん中の男が首根っこを掴む。

『待て!!お前らではこいつには勝てん!
冷静になれ!!
まず、こいつの実力を見る。下がれ!!』

男達は屋敷の屋根に飛び上がる。すると屋敷の窓からネルバが顔を出す。

『ぶわぁはっはっはっはっーー!!!
罠に掛かったなぁぁぁ!!!〈英雄の弟子〉と言えど、この状況はどうしようもあるまい!!大人しく奴隷になるか、痛ぶられて奴隷になるか選べぇぇぇぇ!!!
ひゃあっはっはっはっはっはーー!!』

エマはニヤリと笑いアイテムボックスから銀色に輝く杖を取り出す。
背丈程の長さで先端は丸くかたどられており
中央に鳳凰の装飾がされ鳳凰の目に魔石が嵌め込まれている。

『いつものクズのセリフなんて聞き飽きたわ!!
あんた達に見せるのは勿体無いけど見せてあげるわ!そして後悔しなさい!!【魔装】解放!!】』

杖の魔石とペンダントの魔石が共鳴して光出す!そして銀色の光がエマを包む!
目の前の魔物や男達も眩しくて目を覆う。

光が徐々に晴れていく。そして目を開けるとそこには銀色の王冠を頭に乗せ、女性用の銀の司祭服を着たエマの姿があった。

魔物達が後ずさる。エマの発する魔力に怯えているのだ。
屋根の上に居る男達も驚愕の表情だ。

男がカタカタ震えながら
『ジ、ジルバ様・・・ア、アレと闘うのですか?』

ジルバがロボットの様に首を男に向ける。
『・・・だ、駄目かもしれん・・・だが、相手は魔法使いだ。接近戦で連携すれば勝機はある・・・と思う・・・取り敢えずラングを治療しろ!』

『は、はい!』

エマは男達に杖を向ける!
『私はファイデル王国〈英雄ハヤト〉の弟子が1人!〈聖神のエマ〉!!
〈英雄ハヤト〉の名において成敗します!!』

『【シャイニング・サンバースト】!!!』

屋敷の敷地がスポットに照らされた様に明るくなる!
そして空から圧倒的な熱量の光線が降り注ぐ!!

ずどどどどどどどどど!!!!!

魔物達は逃げるまもなく断末魔の声を上げる暇もなく蒸発する。
屋敷にも光線は降り注ぎあっという間に廃墟と化した!!

男達は辛うじて避けたが皆、無傷ではなく腕や脚が蒸発していた。

『がぁぁぁ!!!な、な、何だあの魔法は?!接近戦とかのレベルじゃない!!化け物だ!!!
喧嘩を売っては駄目な奴だ!!!
それよりも、アレで弟子だと?!信じられん!!!』

エマは男達が這いつくばっている所へ杖をつきながらゆっくりと歩み寄り、ニッコリ笑う。
『あんた達、まだやる気?』

男達は高速で首を横に振る!
『いやいやいやいや!!!!もう、降参だ!!勘弁してくれ!!!』
ジルバ達は土下座する。

エマは拍子が抜けたような顔をする。
『あっそう・・・じゃあいいわ。後は、あのデブに話を付けないと・・・』

ネルバを探す為に周りを見渡すと、右腕と右脚がないネルバが泣きながらもがいていた。

『ぐがぁぁぁぁ!!!な、何なんだ・・・こんな事・・・〈英雄の弟子達〉・・・ば、化け物め・・・』

うつ伏せでもがいているネルバの背中に杖を付く!!

『ぐげっっ!!』

『誰が化け物ですって?!私に喧嘩をったのよね?
さっき私を奴隷にするとか言ってなかった?』

背中の杖をぐりぐりねじ込む。

『が、がはっ!!た、助けてくれ!!金ならある!!
お、俺が悪かった!!ゆ、許してくれ!!』

『クズの上部だけの謝罪なんて何も響かないわ!!ところでであの男達は何者なの?!』

『あ、あいつは〈闘拳王ジルバ〉だ!
さ、3年間に封印を解いて奴隷にしたんだ!』

『はぁ?!魔人を奴隷に?!なんて間抜けな魔人なの?!
どうせ、薬かお酒で寝込みを襲ったんでしょう?』

『そ、そうだ!衣食住を面倒見ると言ったら喜んで付いてきたんだ・・・』

エマはため息を付いて魔人の元へ行く。

『間抜けな魔人さん!奴隷なんだって?悪さをしないなら解放してあげるけどどうする?』

ジルバはキョトンとするが土下座して頼み込む。

『本当か?!約束する!!あんたの言う事も聞く!!助けてくれ!!』

『仕方ないわね。分かったわ!【パーフェクトヒール】!!】

ジルバの奴隷紋が消え男達の傷も癒えていく。

『はい!消えたわよ!後、あのデブは任せたわ!好きにしなさい。
私は地下にいる人達を助けに行ってくるわ!』

『あんた凄いな!!恩にきるぞ!!』
そしてジルバ達はネルバを睨みつける。

そして階段を降りるエマの背後でネルバの断末魔の叫びがこだまするのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...