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第130話 弟子と弟子の弟子

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『んーー!!!よく寝たぁ!!』
ベットから飛び降り朝日が差し込む窓を開けて伸びをする!!

『取り敢えず朝御飯にしよう!!』
エルは宿屋の食堂にスキップで降りていく。

ここは〈アルファ王国〉第二都市〈ゼイド〉である。
街が富民街と貧民街に分かれており貧富の差が激しくトラブルの絶えない街で有名である。


昨日着いたばかりのエルは貧民街の宿屋の食堂で朝御飯を食べている。
周りの人達が唖然とする程の食べっぷりを披露しながら今日の予定を考える。

(今日はギルドに行ってみよう。この街は色々と楽しそうなの。色々と・・・)

エルは仕上げにジュースを一気に飲み干す。
『ぷはっ!!美味しかった!!ごちそうさま!!』
そしてギルドに向かうべく食堂を後にした。

『ははっ、いい食べっぷりだったな・・・』
『そうだな、気持ちがいいくらいにな。』 
『俺も気分が落ち込んでたけどなんか軽くなったよ!』

エルが出て行った後、食堂ではエルの食べっぷりに癒され和やかな雰囲気になっていた。


〈ゼイド〉のギルドは富民街と貧民街の間に建てられていてファイデル王国のギルドよりも立派で大きい建物であった。
中に入ると受け付けが富民と貧民に分けられ仕切りがある。仕切りは受け付け側の半分は木の格子で半分は壁になっていて扉がついている。そして富民受け付けの方が2/3を占めていた。

『うわー!!大きいなぁ!!』
ギルドの建物を見上げて声が出てしまう。
そしてエルは意気揚々と〈富民入り口〉へ入って行ってしまった。

中へ入ると眩しい程に壁や天井が装飾され、椅子やテーブル、受け付けカウンターも金色に輝き装飾されていた。

(うわーーー!凄い豪華なギルド!!
って・・・あれ・・?仕切りの向こうにもギルド?・・・これは・・まさか・・・)

エルが答えに辿り着き嫌な予感が当たる。

『おい!!そこのガキ!!!ここはお前の様なゴミが来るところじゃねーぞ!?さっさと出て行け!!』

(やっぱりそう言う事なのね・・・理不尽の臭いがプンプンするの!)

ゆっくり振り返ると豪華な装備で着飾った16~17歳ぐらいの背の低い男がこっちに向かって歩いてくる。

エルはニヤリと笑い男を見据えると小枝を取り出す。

男は構う事なくエルに向かって手を伸ばす!
『とっとと出て行けって言ってるんだよ!!』

エルが小枝に力を入れた瞬間!

『やめなさい!!!』
女性の声がしたと思ったら、男の肩越しに槍の先が覗き頬に触れていた。
『ひぃ!!!!』
男は飛び退き尻餅をつく。

『貴方、私が止めなかったら大変な事になっていたわよ!?相手の実力も分からないの?!』
女性は男に槍を突きつけ言い放つ!

男は尻餅をつきながら虚勢を張る。
『き、貴様!!お、俺にこんな事をしてただで済むと思うなよ?!』

『どこの誰だか知らないけど私はハインド王国第一王女セルナよ!!
何ならアルファ国王に報告してもいいの
よ?!どうするの?!』

周りの貴族達もざわつく。
『な、なんだと・・・・くっ!くそっ!』
男は動揺してジタバタしながらギルドを出て行った。

エルは男の事は気にせずにセルナを眺めていた。
(この人・・・相当強いの・・・何者なのかな?』

セルナも改めてエルを見る。
(この子・・・私が勝てるレベルじゃないわ・・・一体何者なの?!

2人は暫く見つめ合っているとセルナが口火を切って手を出して握手を求める。
『私はセルナよ。よろしく!』

エルはニッ!と笑ってセルナの手を取る。
『私はエルなの!よろしく!セルナは相当強いね!まともに戦ったら面白いかも!』

セルナは苦笑いをしながら
『エル、謙遜はよして。私なんか勝てる気がしないわ!!』

『えへへ!』
『ふふふっ!』
2人は笑いながら意気投合する。

『ねぇ、エル!2人で依頼を受けてみない?
私、今日は空いてるの!
まあ、護衛は付いて来るけど気にしないで!』

『いいよ!!面白そうなの!!どの依頼にするかはセルナが決めてね!!』

セルナが満面の笑みを浮かべる。
『うん!!任せて!!・・・ん?これって・・緊急依頼?!』

セルナが依頼書を受け付けに持っていく。
『ねえ!この依頼書、緊急依頼なのに昨日の日付よね?!ダンジョン内からの救出だけどどうなっているの?!』

受け付け嬢は周りを見ながら小声で説明する。
(はい、2日前にレイドリア伯爵の次男ミラド様が護衛15人と新規ダンジョンの探索依頼を受けたのです。
ですが1日経っても帰って来なかったのでレイドリア伯爵が救出依頼を出したのですが・・ここには自分の命を張ってまで人を助ける人間はいません。貧民街でもわざわざ貴族を助けようとする者がいないんです。
ですので緊急依頼なのですが人が集まらないんです。)

『はぁ、お遊びで冒険者になっている腰抜けが多いって事ね!!』

セルナが大声で言い放つと周りの貴族達が殺気立つ。

『いいわ!!私達が受けてあげる!!
エル!いいかな?』

『セルナが決めたならいいよ!』
エルが親指を立てて了解する。

セルナは受け付け嬢に振り返り依頼書を突き付ける!

『これでお願い!!報酬は金貨1人5枚ね!』

受け付け嬢は笑顔になる!!
『はい!受け付け致しました!よろしくお願いします!!』

しかしこの依頼が厄介事の始まりになるとは知る由もなかったのであった。
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