178 / 183
第174話 試練のダンジョン(ボス戦)8
しおりを挟む
『ガルーダさん行きますよ!!』
エルが立ち尽くすガルーダに声をかける。
『お、おう!すぐ行く!!』
ガルーダは自分が強くなったと思っていた。しかし自分の理解の外の強さを思い知ったのだ。
〈英雄ハヤト〉達から見たら自分がどれだけちっぽけな存在かをさっきの戦いで身に染みたのだった。
(今日この日から少し落ち着こう・・・俺は調子に乗るほど強くは無い・・・)
ガルーダは自分が強いと言うプライドを捨てた瞬間に肩の荷が降りた様な気がしたのだった。
『さて、この扉の向こうには3年前と同じく強そうな奴が居るみたいね!』
エルが扉に向かって独り言の様に呟く。
『なあ、エル殿。さっき精霊を呼べば簡単に片付くんじゃないのか?』
ガルーダがなんとなく聞いてみる。
『うん。そうなんだけど神級精霊は1日1回しか呼べない契約なのよ。
神様を地上へ呼ぶみたいなものだからね。』
『た、確かに・・あんなのが何回も地上に降りて来たら大変な事になりそうだな・・・』
エルはそう言いながら微塵も不安を感じさせずに扉を開け放つ!!
『それじゃあ行きましょう!!!』
『そうか、そうか!ゼルスはもう現れないんだな!クックックッ・・それなら勝機はあるぞ!前回の失敗を教訓にした部屋だからな!!思い知るがいい!!!』
エル達は扉を潜り部屋に入る。するとエルとミリアの顔が険しくなる。
『・・・やってくれたわね・・この部屋・・・』
『そうですね・・・精霊の力がかなり弱くなっていますね・・・』
正面を見ると前回より二回り程大きなゴーレムがゆっくりと立ち上がる。
エルが肩をすくめて呆れ顔になる。
『本当に・・余程悔しかった見たいね。こんな対策してくるなんてね。
でも、ここまで師匠の言った通りになると笑えてくるわね。』
ミリアも口元を綻ばせる。
『本当にハヤトさんはどこまで見えているんでしょうね。
まるで神でさえハヤトさんの手のひらの上みたいですね。』
『なあ!エル殿!大丈夫なのか?!精霊の力が弱くなっているんだろ?!
戦えるのか?!俺の出番か?!』
ガルーダが心配と期待を込めてエルを見る。
エルはガルーダに向かってニヤリと笑う。
『ふふ。私達が慌てている様に見える?こうなると予想していたのよ?
もちろん対策はしてあるわ!!ねっ!ミリア!!』
するとミリアは意味ありげにニッコリ笑って頷く。
そしてガルーダはゴーレムを警戒して剣を構える。
しかしガルーダは違和感を感じる。先程からゴーレムが微動だにしないのだ。
何故かガルーダの頬に冷たい汗が流れる。
『こ、この感覚・・・まさか・・・エル殿・・・さっき1日1回って言ったよな・・・』
ガルーダがゆっくり振り向くとそこにはミリアに跪くタキシード姿の男がいた・・・。
そうである。
ハヤトはゼルスに神級精霊は自分のフィールドを持ち、どんなフィールドでも自分のフィールドに置き換えれる事を教えてもらったのだ。
その上でミリアを〈大天使〉へと鍛え上げてゼルスの知り合いを紹介してもらったのだ。
その名は〈時の精霊クロノス〉神級精霊の1人である。
『〈大天使ミリア〉様、お呼び頂き感激至極でございます。
取り急ぎあのお粗末な人形を消し去りましょう。』
〈時の精霊クロノス〉が指を鳴らすとゴーレムは微動だにしないまま崩れ去り塵も残さず消えてしまった。
クロノスはゴーレムの時間を作られる前まで急速に戻してしまったのだ。
『〈時の精霊クロノス〉さんありがとうございます。助かりました。』
ミリアがクロノスの肩に手を置く。
『お褒めの言葉感激至極でございます。
この程度の事たわいもございません。
また遠慮なくお呼びください。それでは失礼致します。』
クロノスはミリアの背後に消えて行った。
ガルーダが固まったままゴーレムが居たはずの場所を眺めていた。
『はは・・・俺の出る幕無しか・・・』
『〈大天使〉が2人だとぉぉぉぉぉぉ!!!
し、しかも!ク、クロノス・・・お前もか・・・どれだけ俺の邪魔をすれば気が済むんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
い、1日で2回も神級が降臨?!前代未聞だぞ!?
どうしてだ?!なんでだ?!アイツらは何故神である俺を越えていく?!・・・・・はっ!この気配は・・・』
ダンジョンの神が背中に威圧感を感じてゆっくり振り向くとそこにはタキシード姿の男が立っていた。〈時の精霊クロノス〉である。
クロノスは目を細めて怒りを込めてダンジョンの神を見据える。
『一度ならずも二度までも〈大天使〉様達の手を煩わすとは・・・一体どう言う了見だ?
納得のいくように説明してもらおうか?』
クロノスは徐にダンジョンの神の髪を鷲掴みにする。
『あうっ!!痛っててててててて!!!!お、落ち着こう!!落ち着いて話をしようじゃないか?!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
こ、これは、〈英雄ハヤト〉に対するし、試練なんだ!!神が人間に試練を与えるだろ?!それだ!!』
クロノスはダンジョンの神の髪を鷲掴みにしたままで笑い出す!
『アーッハッハッハッハァ!!!お、お前如きが〈英雄ハヤト〉殿に試練?!
片腹痛いわ!!!〈英雄ハヤト〉殿は〈大天使〉様達の師匠だぞ?!
・・・まあ、私も人間如きがと調子に乗ってちょっかいを出してコテンパンにされたからな・・・。お前の事は言えないか・・・。』
クロノスは思い出して頭を掻く。
『えっ?!ま、待てよ?!お前がコテンパン?!嘘だろ?!嘘だと言ってくれ!!お前の時間操作は最強なんだろ?!』
『あぁ、そうだと思っていた・・・。だがな・・・上には上がいるんだよ・・・〈英雄ハヤト〉殿の【時空属性魔法】は・・・この私を・・・遥かに凌駕していたよ・・・私も精進しないとな・・・・そうそう話を戻そうか。
お前が試練を与えている人間はお前に試練を与えるだろうな。』
クロノスはそう言い残して消えて行った。
ダンジョンの神は自分が取り返しのつかない事をしているかもと感じ始めるのであった。
エルが立ち尽くすガルーダに声をかける。
『お、おう!すぐ行く!!』
ガルーダは自分が強くなったと思っていた。しかし自分の理解の外の強さを思い知ったのだ。
〈英雄ハヤト〉達から見たら自分がどれだけちっぽけな存在かをさっきの戦いで身に染みたのだった。
(今日この日から少し落ち着こう・・・俺は調子に乗るほど強くは無い・・・)
ガルーダは自分が強いと言うプライドを捨てた瞬間に肩の荷が降りた様な気がしたのだった。
『さて、この扉の向こうには3年前と同じく強そうな奴が居るみたいね!』
エルが扉に向かって独り言の様に呟く。
『なあ、エル殿。さっき精霊を呼べば簡単に片付くんじゃないのか?』
ガルーダがなんとなく聞いてみる。
『うん。そうなんだけど神級精霊は1日1回しか呼べない契約なのよ。
神様を地上へ呼ぶみたいなものだからね。』
『た、確かに・・あんなのが何回も地上に降りて来たら大変な事になりそうだな・・・』
エルはそう言いながら微塵も不安を感じさせずに扉を開け放つ!!
『それじゃあ行きましょう!!!』
『そうか、そうか!ゼルスはもう現れないんだな!クックックッ・・それなら勝機はあるぞ!前回の失敗を教訓にした部屋だからな!!思い知るがいい!!!』
エル達は扉を潜り部屋に入る。するとエルとミリアの顔が険しくなる。
『・・・やってくれたわね・・この部屋・・・』
『そうですね・・・精霊の力がかなり弱くなっていますね・・・』
正面を見ると前回より二回り程大きなゴーレムがゆっくりと立ち上がる。
エルが肩をすくめて呆れ顔になる。
『本当に・・余程悔しかった見たいね。こんな対策してくるなんてね。
でも、ここまで師匠の言った通りになると笑えてくるわね。』
ミリアも口元を綻ばせる。
『本当にハヤトさんはどこまで見えているんでしょうね。
まるで神でさえハヤトさんの手のひらの上みたいですね。』
『なあ!エル殿!大丈夫なのか?!精霊の力が弱くなっているんだろ?!
戦えるのか?!俺の出番か?!』
ガルーダが心配と期待を込めてエルを見る。
エルはガルーダに向かってニヤリと笑う。
『ふふ。私達が慌てている様に見える?こうなると予想していたのよ?
もちろん対策はしてあるわ!!ねっ!ミリア!!』
するとミリアは意味ありげにニッコリ笑って頷く。
そしてガルーダはゴーレムを警戒して剣を構える。
しかしガルーダは違和感を感じる。先程からゴーレムが微動だにしないのだ。
何故かガルーダの頬に冷たい汗が流れる。
『こ、この感覚・・・まさか・・・エル殿・・・さっき1日1回って言ったよな・・・』
ガルーダがゆっくり振り向くとそこにはミリアに跪くタキシード姿の男がいた・・・。
そうである。
ハヤトはゼルスに神級精霊は自分のフィールドを持ち、どんなフィールドでも自分のフィールドに置き換えれる事を教えてもらったのだ。
その上でミリアを〈大天使〉へと鍛え上げてゼルスの知り合いを紹介してもらったのだ。
その名は〈時の精霊クロノス〉神級精霊の1人である。
『〈大天使ミリア〉様、お呼び頂き感激至極でございます。
取り急ぎあのお粗末な人形を消し去りましょう。』
〈時の精霊クロノス〉が指を鳴らすとゴーレムは微動だにしないまま崩れ去り塵も残さず消えてしまった。
クロノスはゴーレムの時間を作られる前まで急速に戻してしまったのだ。
『〈時の精霊クロノス〉さんありがとうございます。助かりました。』
ミリアがクロノスの肩に手を置く。
『お褒めの言葉感激至極でございます。
この程度の事たわいもございません。
また遠慮なくお呼びください。それでは失礼致します。』
クロノスはミリアの背後に消えて行った。
ガルーダが固まったままゴーレムが居たはずの場所を眺めていた。
『はは・・・俺の出る幕無しか・・・』
『〈大天使〉が2人だとぉぉぉぉぉぉ!!!
し、しかも!ク、クロノス・・・お前もか・・・どれだけ俺の邪魔をすれば気が済むんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
い、1日で2回も神級が降臨?!前代未聞だぞ!?
どうしてだ?!なんでだ?!アイツらは何故神である俺を越えていく?!・・・・・はっ!この気配は・・・』
ダンジョンの神が背中に威圧感を感じてゆっくり振り向くとそこにはタキシード姿の男が立っていた。〈時の精霊クロノス〉である。
クロノスは目を細めて怒りを込めてダンジョンの神を見据える。
『一度ならずも二度までも〈大天使〉様達の手を煩わすとは・・・一体どう言う了見だ?
納得のいくように説明してもらおうか?』
クロノスは徐にダンジョンの神の髪を鷲掴みにする。
『あうっ!!痛っててててててて!!!!お、落ち着こう!!落ち着いて話をしようじゃないか?!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
こ、これは、〈英雄ハヤト〉に対するし、試練なんだ!!神が人間に試練を与えるだろ?!それだ!!』
クロノスはダンジョンの神の髪を鷲掴みにしたままで笑い出す!
『アーッハッハッハッハァ!!!お、お前如きが〈英雄ハヤト〉殿に試練?!
片腹痛いわ!!!〈英雄ハヤト〉殿は〈大天使〉様達の師匠だぞ?!
・・・まあ、私も人間如きがと調子に乗ってちょっかいを出してコテンパンにされたからな・・・。お前の事は言えないか・・・。』
クロノスは思い出して頭を掻く。
『えっ?!ま、待てよ?!お前がコテンパン?!嘘だろ?!嘘だと言ってくれ!!お前の時間操作は最強なんだろ?!』
『あぁ、そうだと思っていた・・・。だがな・・・上には上がいるんだよ・・・〈英雄ハヤト〉殿の【時空属性魔法】は・・・この私を・・・遥かに凌駕していたよ・・・私も精進しないとな・・・・そうそう話を戻そうか。
お前が試練を与えている人間はお前に試練を与えるだろうな。』
クロノスはそう言い残して消えて行った。
ダンジョンの神は自分が取り返しのつかない事をしているかもと感じ始めるのであった。
1
あなたにおすすめの小説
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる