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ep.05 沈黙は金
(2)*
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「君も浴びるか?」
「そうですね。そうします」
雨に濡れた上に、走り回ったんだ。
これからベッドに行くのなら、シャワーくらい浴びた方がいい。
俺は、コートとジャケットを脱いで、バスルームに向かおうとした。だがそこで、美浜に腕を掴まれる。
「どうせなら、洗ってやろうか?」
笑いもせずに聞かれると、冗談なのか本気なのか判別がつかない。
だがいずれにせよ、俺が取る選択肢は同じだ。
「遠慮します」
俺は、中に入ってしっかり鍵を閉め、服を全部脱いだ。
そして、どれがシャワーかと周囲を見回す。
大きなバスタブの傍に、シャワーヘッドはない。
よくあるバスタブと洗い場が別のタイプなのかと、ぐるりと視線を移動して見つけた。
バスルームの奥に、シャワーブースが別にある。
しかもそれは、ガラス張りで丸見えのタイプだ。
ブースにする意味ってあるのか。
俺はそう思いながら、ドアを開けて中に入り、立ったまま体を洗う。
勝手がわからず困惑したが、やり方は一緒だろう。
ボディタオルの代わりに、へちまがあったのには驚いたが、それはこの際どうでもいい。
とにかく、美浜を待たせておくわけにはいかないと、急いでシャワーを浴びる。
アメニティは、さっきの美浜からした香りと同じだった。
全部洗い終わってから、壁に掛けてあったバスローブを纏い、髪を乾かして部屋に行く。
すると、部屋は照明が絞られていて、中がよく見えなかった。
バスルームのドアを閉め、目が暗さに慣れてくると、窓際のソファに座る美浜が見えてきた。窓の外に目を向けて、グラスを傾けている。
普段と違って、やわらかくセットされた髪も、バスローブ姿も、美浜にはとてもよく似合っていた。リラックスした男の横顔は、ビジネスから解放されて穏やかだ。間接照明の光と窓の外の夜景に照らされて浮かび上がる姿に、俺は目をみはった。
まるで外国映画のワンシーンのようだ。
俺は、美浜に見惚れて、しばらく声が掛けられなかった。
じっと見つめる俺に美浜は気付いたようで、こちらを振り返って口端を上げる。
「終わったのか?」
俺はそれには答えずに、美浜の傍へと歩み寄った。手櫛だけで整えられた髪に触れ、その指通りを心地良く思う。さらりと梳いて、髪を撫でると、美浜は気持ちよさそうに目を瞑った。まるで大きなネコ科の動物のようだ。
そういえば、吉田が猫の肉球について話していたっけ。
美浜に肉球があるとは思えないが、猫の良さは少しわかる気がする。
普段はツンケンしているくせに、気を許すとこうして触れるようになる。
俺に身を委ねて、好きにさせている美浜を見ていると、余計にそう思えた。
俺は、身を寄せて額に唇を押し付け、こめかみを通り頬にも口付けてから、唇にキスを落とした。唇が重なったところで、美浜が俺の腰に手を回し、背中へと撫で上げる。キスを深くして、舌を絡め、美浜の口腔内を味わう。美浜の吐息が鼻に抜け、甘い声が耳をくすぐった。
キスを解いて、お互いに間近で見つめ合っていると、美浜はソファから立ち上がった。
俺の手を引いてベッドに連れて行き、先にマットレスに腰掛ける。俺は、隣に座らずに、美浜の肩を押してベッドに倒し、その上に覆い被さった。
真上から見つめたまま、バスローブの紐をほどく。
右手をタオル地の下に入れて、胸元を撫でた。
指先がぷっくりとした突起に当たり、美浜の乳首が立っているのがわかる。
俺は、バスローブの胸元を大きくはだけ、乳首に顔を寄せた。
舌を伸ばしてぺろりと舐めると、頭をぐいと押しやられる。
驚いて顔を見ると、俺から目を逸らして唇を噛む。
何か問題でもあるのかとじっと見下ろしたところ、きつい眼差しで睨みつけられた。
「そんなに見るな」
「いや、何か言いたいことでもあるのかと思って」
すると、みるみるうちに目元が赤くなる。
「……変な、感じがした」
「変な? 感じたってことですか?」
「違うっ。くすぐったかった、だけだ」
鋭い声でそう言ったが、後半は声が小さくなる。
「くすぐったいのは、感じるようになる場所……っ痛」
隣にあった枕で殴られて、俺は声を上げた。
実際は大して痛くなかったが、美浜は眉を下げる。
心配しているのだとわかって俺は笑い、もう一度、仕切り直して覆い被さる。
「あなたが言ったんですよ?」
「……わかっている」
「乳首で気持ち良くなるのが、恥ずかしいんですか?」
「言うなっ」
美浜はまた目を逸らして、口元を手の甲で覆っている。
俺はそれを見てから、再び乳首を舐めた。今度は何度も舌を行き来させ、唇で吸い上げる。音を立ててちゅぱちゅぱと刺激していると、また頭に手を置かれた。だが、今度は押し返すのではなく、添えただけだ。俺は集中して舌を動かし、反対の乳首は指先で弄り続けた。
「……ん……っあ……」
やがて声が漏れだして、びくびくと身体が揺れる。美浜が感じ始めたのだと、こっちまで気持ちが高ぶる。俺は今度は逆の乳首に吸い付いて、同じように刺激した。すると、右よりも左の方が感度が高いことがわかる。
「そういえば、利き手と逆の方が感じるんでしたっけ」
「……私に、聞くな」
弱々しく、裏返った声が聞こえてきて、俺は顔を上げた。
美浜は、息を乱して、痛みを堪えるような顔をしていた。
俺は起き上がって、キスをしながら乳首を刺激し続ける。
「ん……ぁ……っふ……」
キスの合間に声が漏れ、美浜が感じているのが伝わってくる。
薄目を開けて表情を窺い、美浜を追い詰めていくのはやっぱり愉しい。
いつもはあんなに優れたビジネスパーソンなのに、今は俺の下で喘いでいる。
そのギャップに、燃えてしまうのかもしれない。
「そうですね。そうします」
雨に濡れた上に、走り回ったんだ。
これからベッドに行くのなら、シャワーくらい浴びた方がいい。
俺は、コートとジャケットを脱いで、バスルームに向かおうとした。だがそこで、美浜に腕を掴まれる。
「どうせなら、洗ってやろうか?」
笑いもせずに聞かれると、冗談なのか本気なのか判別がつかない。
だがいずれにせよ、俺が取る選択肢は同じだ。
「遠慮します」
俺は、中に入ってしっかり鍵を閉め、服を全部脱いだ。
そして、どれがシャワーかと周囲を見回す。
大きなバスタブの傍に、シャワーヘッドはない。
よくあるバスタブと洗い場が別のタイプなのかと、ぐるりと視線を移動して見つけた。
バスルームの奥に、シャワーブースが別にある。
しかもそれは、ガラス張りで丸見えのタイプだ。
ブースにする意味ってあるのか。
俺はそう思いながら、ドアを開けて中に入り、立ったまま体を洗う。
勝手がわからず困惑したが、やり方は一緒だろう。
ボディタオルの代わりに、へちまがあったのには驚いたが、それはこの際どうでもいい。
とにかく、美浜を待たせておくわけにはいかないと、急いでシャワーを浴びる。
アメニティは、さっきの美浜からした香りと同じだった。
全部洗い終わってから、壁に掛けてあったバスローブを纏い、髪を乾かして部屋に行く。
すると、部屋は照明が絞られていて、中がよく見えなかった。
バスルームのドアを閉め、目が暗さに慣れてくると、窓際のソファに座る美浜が見えてきた。窓の外に目を向けて、グラスを傾けている。
普段と違って、やわらかくセットされた髪も、バスローブ姿も、美浜にはとてもよく似合っていた。リラックスした男の横顔は、ビジネスから解放されて穏やかだ。間接照明の光と窓の外の夜景に照らされて浮かび上がる姿に、俺は目をみはった。
まるで外国映画のワンシーンのようだ。
俺は、美浜に見惚れて、しばらく声が掛けられなかった。
じっと見つめる俺に美浜は気付いたようで、こちらを振り返って口端を上げる。
「終わったのか?」
俺はそれには答えずに、美浜の傍へと歩み寄った。手櫛だけで整えられた髪に触れ、その指通りを心地良く思う。さらりと梳いて、髪を撫でると、美浜は気持ちよさそうに目を瞑った。まるで大きなネコ科の動物のようだ。
そういえば、吉田が猫の肉球について話していたっけ。
美浜に肉球があるとは思えないが、猫の良さは少しわかる気がする。
普段はツンケンしているくせに、気を許すとこうして触れるようになる。
俺に身を委ねて、好きにさせている美浜を見ていると、余計にそう思えた。
俺は、身を寄せて額に唇を押し付け、こめかみを通り頬にも口付けてから、唇にキスを落とした。唇が重なったところで、美浜が俺の腰に手を回し、背中へと撫で上げる。キスを深くして、舌を絡め、美浜の口腔内を味わう。美浜の吐息が鼻に抜け、甘い声が耳をくすぐった。
キスを解いて、お互いに間近で見つめ合っていると、美浜はソファから立ち上がった。
俺の手を引いてベッドに連れて行き、先にマットレスに腰掛ける。俺は、隣に座らずに、美浜の肩を押してベッドに倒し、その上に覆い被さった。
真上から見つめたまま、バスローブの紐をほどく。
右手をタオル地の下に入れて、胸元を撫でた。
指先がぷっくりとした突起に当たり、美浜の乳首が立っているのがわかる。
俺は、バスローブの胸元を大きくはだけ、乳首に顔を寄せた。
舌を伸ばしてぺろりと舐めると、頭をぐいと押しやられる。
驚いて顔を見ると、俺から目を逸らして唇を噛む。
何か問題でもあるのかとじっと見下ろしたところ、きつい眼差しで睨みつけられた。
「そんなに見るな」
「いや、何か言いたいことでもあるのかと思って」
すると、みるみるうちに目元が赤くなる。
「……変な、感じがした」
「変な? 感じたってことですか?」
「違うっ。くすぐったかった、だけだ」
鋭い声でそう言ったが、後半は声が小さくなる。
「くすぐったいのは、感じるようになる場所……っ痛」
隣にあった枕で殴られて、俺は声を上げた。
実際は大して痛くなかったが、美浜は眉を下げる。
心配しているのだとわかって俺は笑い、もう一度、仕切り直して覆い被さる。
「あなたが言ったんですよ?」
「……わかっている」
「乳首で気持ち良くなるのが、恥ずかしいんですか?」
「言うなっ」
美浜はまた目を逸らして、口元を手の甲で覆っている。
俺はそれを見てから、再び乳首を舐めた。今度は何度も舌を行き来させ、唇で吸い上げる。音を立ててちゅぱちゅぱと刺激していると、また頭に手を置かれた。だが、今度は押し返すのではなく、添えただけだ。俺は集中して舌を動かし、反対の乳首は指先で弄り続けた。
「……ん……っあ……」
やがて声が漏れだして、びくびくと身体が揺れる。美浜が感じ始めたのだと、こっちまで気持ちが高ぶる。俺は今度は逆の乳首に吸い付いて、同じように刺激した。すると、右よりも左の方が感度が高いことがわかる。
「そういえば、利き手と逆の方が感じるんでしたっけ」
「……私に、聞くな」
弱々しく、裏返った声が聞こえてきて、俺は顔を上げた。
美浜は、息を乱して、痛みを堪えるような顔をしていた。
俺は起き上がって、キスをしながら乳首を刺激し続ける。
「ん……ぁ……っふ……」
キスの合間に声が漏れ、美浜が感じているのが伝わってくる。
薄目を開けて表情を窺い、美浜を追い詰めていくのはやっぱり愉しい。
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