【完結】それより俺は、もっとあなたとキスがしたい

佑々木(うさぎ)

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ep.05 沈黙は金

(3)*

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 俺は乳首を触っていた手を下げて、今度は美浜のモノに触る。
 驚いたことに、先端がもう先走りで濡れていた。指先で拭って、また擦り付けてやると、美浜はきつく眉根を寄せる。俺は根元から絞り出すように手を動かし、更に先走りを溢れさせる。

「エロいですね、美浜さんは」
「うる、さい」

 はあはあと息を乱しながら、美浜は言い返してくる。

「もう、これだけでイきそうじゃないですか」
「く……っう……」

 美浜の腰が揺れ、本当にこのまま射精してしまいそうだ。
 それでも良かったのだが、俺はそこで身を離してベッドを降りた。
 カバンに入れていたローションを取りに向かおうとしたところで、美浜は俺の腕を掴む。

「……そこの引き出しに、入れておいた」

 何をと聞かなくても、俺はすぐに理解した。
 戻って引き出しを開けると、ローションのボトルが入っている。

「俺も持ってきたんですよ」
「君も?」

 美浜は目を瞬かせ、俺を見上げる。

「抱き合うなら、ローションがいるってこの間あなたが言っていたでしょう?」
「それは、そうだが」

 あの時、ホテル側に聞こうとした美浜を、俺は全力で止めた。
 だから、今日はちゃんと用意をしようと思っていた。

「君が、用意してくるとは、思ってもみなかった」

 俺の方こそ、美浜が自分で買ってくるとは考えていなかった。
 互いを見合ったまま、妙な沈黙が降りる。
 この感覚は、一体何だろう。
 だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
 俺は、ローションの蓋を開け、美浜の胸にぽたりと垂らしてみた。

「……っ冷たい!」
「あ、すみません」

 そう言われて、初めてローションが冷たい物のだと知る。
 俺は、塗ったことはないし、塗られたのはエコー検査くらいなものだ。
 あれは、ちゃんと生温かった。
 だからと言って、ここで温められるような物はない。

「手のひらで温めるんだ」
「なるほど」

 俺は言われた通りに手のひらで温め、その手で美浜の胸に触れる。
 乳首を中心に塗り広げると、さっきよりも手の滑りが良くなる。
 美浜はぷるぷると顎先を震わせ、足先を跳ねさせ始める。
 ローションはやはり有効らしい。プレイがあるのも頷ける。
 俺は再びローションを手に取り、今度は直にモノに触れた。
 先端から根元まで、ローションでぬるつく手を下げていくと、胸の比じゃなくびくびくと身体が跳ねる。

「う……っは……」

 美浜は詰めていた息を吐き、小さく喘ぐ。
 俺の手に感じているのだとわかって、指の力を加減して扱き始めた。

「あ……う……っんあ……あ」

 動かす度に連動して声が漏れ、やがて引っ切り無しに啼くようになる。

「気持ち、いいですか?」

 尋ねてみると、ただ声もなく首を縦に振る。
 俺はそれに頷いてから、リズミカルに手を動かし続けた。

「いちの、せ……あ……っは……くぅ……っ」

 腰がガクガクと震え、美浜の最後が近いことがわかる。
 だがそこで、俺はハタと気付いた。
 そういえば、ローションを取り出したのは、ただのプレイの為じゃない。
 これは、後ろの穴に使う物ではなかったのか、と。

 俺はそこでピタリと手を止め、ベッドサイドにあったボックスティッシュを引き寄せた。
 そして、それで一旦手を拭ってから、改めてローションを手のひらに垂らす。
 もう一度、丹念に温めてから、そっと尻に手を伸ばした。モノの後ろに触れ、するりと尻まで手を滑らせると、ぐいと腕を掴まれる。何事かと目を上げると、美浜が目を大きく見開いている。

 もしかしたら、こっちに触ってほしくなかったのだろうか。
 俺を見据える美浜の出方を、俺は少し待った。
 美浜は唇を薄く開けて、戦慄かせている。
 何か言おうとしているのに、声が出ない。そんな顔つきだ。

「俺に触られるのは、嫌ですか?」
「違う」
「怖い、とか?」
「そうではない」

 美浜は短く答えるだけで、核心まで言おうとしない。
 仕方なく、美浜から言い出すのを待っていると、微かに耳に届くくらいの声量で言った。

「汚く、ないだろうか」

 今更何を言い出すのか。
 一瞬そう言いかけたが、これは照れもあるのかもしれない。
 俺は伸び上がって、美浜の鼻先にキスを落とした。

「あなたに汚いところなんて、ありませんよ」

 切れ長の瞳を瞬かせ、美浜はホッとしたように身体の力を抜いた。

「君は案外、こういうことに慣れているのだな」

 案外とはどういう意味か。
 それに、実際はまったくの初心者だ。

 俺は吐息で笑うだけにし、美浜の膝を立てさせて、後ろに指で触った。
 そろりと触り、周辺を指で行き来させる。その度に、ぴくぴくと太腿が震えた。
 相当緊張しているのだろう。
 それはそうだ。
 男に初めて抱かれるのなら、仕方がない。
 それにしても、こんなに緊張してガチガチなくらいなのに、どうして俺に抱かれてみたいなんて思ったのか。
 根本的な問題に立ち返り、聞いてみようかと顔を見たところ、美浜は腕で顔を覆ってぎゅっとこぶしを握り締めていた。
 こんな状況で、聞けることじゃない。
 俺は美浜の尻に目を戻し、指先で窄まりを押し広げた。

「ひあ……っ」

 突然、そんな悲鳴のような声が聞こえて、俺は動きを止める。

「……すまない。少し、驚いただけだ」

 動揺しているのか、声が掠れている。
 俺は美浜をちらりと窺ってから、指を入れた。
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