追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第九章 グンマー連合王国

第193話 魔導列車でGO!

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 ――翌日。

 俺は執務室で、腕を組み考え事をしていた。

 うーん……、困った……。
 ルーナ先生と黒丸師匠から、宿題をもらったのだが、どうしたものだろう。

 進むべき道……。
 リーダーの使命……。

 ビジネス書では読んだ事があるけれど、いざ自分がその立場に置かれると上手く考えをまとめられない。

 前世日本で、会社員生活に挫折した俺だ。
 それほど優秀って訳ではない。

 平和な世界に……。
 共存共栄……。
 ガンガン儲けよう……。
 いや、もっと、こう何かないかな?

 うんうん、唸っているとルーナ先生が入室してきた。

「アンジェロ。旗はどうする? 国の旗が決まってないぞ。私が作っておこうか?」

「お願いしまーす」

「わかった。任せろ」

 ルーナ先生は、すぐに出て行った。

 何かルーナ先生が言っていたが、考え事をしていたので、ちゃんと聞いていなかった。
 まあ、良いか。

 しばらくしたら、ホレックのおっちゃんが、入室してきた。

「アンジェロの兄ちゃん。ちょっといいか?」

「大丈夫ですよ。座ってください」

 どうも考えすぎだ。
 ホレックのおっちゃんと話をして、頭の中をリセットしよう。

 応接ソファーに腰掛けて、ホレックのおっちゃんと向かい合わせで話を始めた。

「次に開発するのが何か知っておきたくてな。武器か? 防具か? それとも乗り物か?」

「乗り物ですね。北部縦貫道路が、間もなく開通します。六輪自動車タイレルよりも、人が沢山乗れて、積載量が多い自動車が欲しいですね」

「ふむ……。それは問題ないだろう。荷台を改造すれば対応出来る。弟子にやらせよう」

「自動車の数は、揃えられますか?」

「エルフの連中の魔導エンジンの生産次第だな。エルフの方は、アンジェロの兄ちゃんから頼む」

「わかりました」

 北部縦貫道路は、一月中には開通する見込みだ。
 そうすれば、商業都市ザムザから、ここキャランフィールドまで直通でアクセス出来る。
 人と物が一気に動き出すだろう。

 大量輸送時代が幕を開ける。

「ホレッックのおっちゃん。汽車を作れないかな?」

 大量輸送とくれば、汽車だろう。
 大量輸送の時代は、鉄道時代の幕開けでもある

「キシャ? わからんな。絵に描け」

「ん……。こんな感じ……」

 俺は羽根ペンで紙に汽車の絵を描いてみせる。
 先頭が機関車で、客車や貨車が続く。

 ホレッックのおっちゃんは、不思議そうに俺の絵を見ている。

「何だこりゃ? ヘビか?」

「ここに人が乗るんだよ。で、ここに荷物を載せて……。先頭の車両が牽引する」

「ははあ、なるほど……。こいつはかなりデカイ代物だな?」

「そうだね。何十人、いや、百人以上を一気に運べる」

「ほう! そいつはスゲエな!」

「で、この先頭が全体を牽引する役割の汽車。これ全体では、列車と呼ぶ。レールの上を走る」

「レール?」

「えーと……絵に描くよ……」

 俺は、レールの絵を描いてみせる。
 レール全体の構造、レールの断面を見せ鉄道の説明をすると、ホレッックのおっちゃんは唸った。

「うううん……。すると、このレールってのを、キャランフィールドとザムザの間に敷くのか……」

「そうだね。必要なレールの量が多いけれど、出来そう?」

「無理だな。手作業じゃ、まかないきれん」

 うーん。
 ドワーフ軍団でも無理か。

 かといって、いきなり工業化するのは無理だしな……。
 代替案は……木製?

「俺のいた世界では、最初は木製のレールを使っていたらしい。ただ、耐久性に難ありだったとか」

「そりゃ、そうだろう。何十人、何百人が乗り込むなら、この列車自体も頑丈に作らなくちゃなんねえ。つまり重量が出る。レールは鉄じゃなきゃ、もたんだろうよ」

「そうすると……、生産は難しいか……」

「いや……。鋳物でいけるんじゃねえか?」

「鋳物ねえ……」

 鋳物というのは、熱して溶けた鉄を型に流し込み成型した鉄製品の事だ。
 この製造方法は、鋳造といって、同じ形の鉄製品を作れるメリットがある。

 一方で、熱した鉄の塊をハンマーで叩いて形を整える手法は鍛造だ。
 鍛造の方が、鉄が強くなり耐久性が出る。

「鋳造でもいけるかな?」

「最初っから、この絵の通りデカイ列車を作るのは無理だ。最初は小型の列車を作って、徐々に大型化するので良くないか? それならレールが鋳造でも、もつだろう」

「んー、わかった。車両の大きさ自体は、最初は小型で構わないけれど、レールの幅は、統一しておきたいな」

「良いだろう」

 レールの規格は統一しておきたい。
 レールの幅が地域によってバラバラだと、せっかく開発した車両を使い回せなくなってしまうからだ。

「ホレッックのおっちゃん。汽車だけど、魔導エンジンでいけるかな?」

 地球の産業発展史に沿えば、最初の鉄道は蒸気機関車だ。

 だが、この異世界には石炭がない。
 探せばあるのかもしれないが、少なくともこの大陸北西部でお目に掛かったことはない。

 とすると石炭の代わりに木炭を燃やすか、火属性の魔石を媒体にするか……。

 そこまでするなら、魔導エンジンで魔石のエネルギーを回転運動に変換した方が早い。

 それに、蒸気機関はエネルギー効率が悪いと聞く。
 可能であれば、魔導エンジン、既に出来上がった技術で列車を動かしたい。

 ホレックのおっちゃんは、技術者らしい顔で考えてから答えた。

「そうだな……。ギヤ比を調整すれば、良いだろう」

「じゃ、魔導エンジンでいこう。魔導列車って所かな」

「へっ、魔導列車か……。なかなか良い呼び名じゃねえか。じゃあ、早速開発に入るぞ!」

「よろしく!」
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