追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第九章 グンマー連合王国

第197話 即位と旗とじいの涙――新年を言祝ぐ宴

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「国王陛下! ご退位!」

 侍従長が新年を言祝ぐ宴の会場に響く声で、父上の退位を告げた。

 父上は玉座から立ち上がると、ゆっくりと階段を降りた。
 そして、自ら黄金の王冠を外すと、下で控えていた侍従が捧げ持つ赤いラシャ張りのトレイに載せた。

「「「「おお……」」」」

 会場からは、一斉にため息が漏れた。
 侍従長は、すぐに式を進行させる。

「アルドギスル様! 国王! ご即位!」

 まず、アルドギスル兄上の即位からだ。
 先王である父上が、侍従が捧げ持つ黄金の王冠をアルドギスル兄上の頭上に載せた。

「余、レッドボット三世は、アルドギスルに王位を譲る」

「お受けいたします」

 アルドギスル兄上が、父上に応えた。
 これで即位だ。

 続いて俺の番になった。
 侍従長が声をはる。

「アンジェロ様! 国王! ご即位!」

 侍従が捧げ持つ王冠は、新調したミスリルの王冠だ。
 青白く美しい光を放っている。

 父上が、ミスリルの王冠を俺の頭上に載せ、王位を継承する旨を告げる。

「余、レッドボット三世は、アンジェロに王位を譲る」

「お受けいたします」

 これで俺も即位して王になった。

 アルドギスル兄上と並んで、階段を上り玉座に向かう。
 壇上には、侍従たちが用意した二つの玉座が並べられている。

 俺とアルドギスル兄上は、呼吸を合わせて、同時に玉座に座った。

「「「「アルドギスル陛下万歳! アンジェロ陛下万歳!」」」」

 会場から自然と声が上がる。
 俺とアルドギスル兄上の即位を称える声は、やがて大きなうねりとなり会場中に響いた。

 俺はホッとして、小さく息を吐き出した。
 シンプルな式次第で、良かった。

 ぶっつけ本番だったが、ミスはなかったと思う。

 続いて、俺が、連合王国の方針について簡単に説明を行う。

 ・内政に努め、経済と技術を発展させる。
 ・道路、空路を整備し、人と物の行き来を活発にする。
 ・各種族が協力し、共存する。

 あまり難しいことを言っても理解してもらえないので、極力シンプルにポイントを絞って説明をした。

 戦争が終わり、これから経済発展をする――そんな期待感が会場を包んだ。

 各国の大使は、領土的な野心のない俺の説明に胸をなで下ろし、商人たちは、将来得られる利益を想像して目をギラつかせていた。

 一通りの説明が終わり、俺は玉座に腰掛ける。
 侍従に目配せをすると、侍従が会場中に連合王国の名称を発表した。

「連合王国の名前は、グンマー連合王国! 代表はアンジェロ陛下が務められ、呼称は総長であらせられます」

 連合王国の名前が告げられると、貴族たちからは好意的な反応が返ってきた。

「おお! グンマー!」
「グンマーか! 南部の方言だな!」
「どんな意味だ?」
「大きいとか、強いとか」
「うむ! 連合王国に相応しい!」

 そうか!?
 そうなのか!?

 俺がルーナ先生に押し切られて、この名前になってしまったのだが、みんなそれで良いの!?

 反対意見が出たら、この場で変更しようと思っていたのだが……。
 ああ、グンマーで本決まりなのか……。
 北関東の匂いがする!

 俺は諦めの境地に達し、遠い目になっているが、侍従長は遠慮なく式を進行する。

「連合王国の旗を発表いたします!」

 旗?
 そんなのあったかな?

 俺は旗について、すっかり抜け落ちていた。
 アルドギスル兄上がデザインしたのだろうか?

「アルドギスル兄上。連合王国の旗は、アルドギスル兄上の方でデザインされたのでしょうか?」

「何を言っているの? アンジェロのところのルーナさんが、デザインしたって聞いたよ?」

「え?」

「え?」

 ルーナ先生がデザイン?
 何か不安を感じる……。

 二人の侍従が旗を広げて、グンマー連合王国の旗を会場に向けて掲げた。

「おおっ!」

 俺も玉座からのぞき込んでみる。

 ルーナ先生がデザインした旗は、左右に水色、中央に白が配色されていた。
 フランス国旗の色違いと言えばわかりやすいだろう。

「へえ。あの薄い青はアンジェロの髪の色に合わせたのかな?」

「そう……かもしれません……」

 やばい!
 事前にチェックしていなかったから、デザインコンセプトが分からない。

 だが、旗の中央に金糸で何か刺繍がしてある。
 円形に何かが四つ……。
 あれは何だ?

 俺がいぶかしんでいると、侍従が旗について説明を始めた。

「この薄い青は、空と海を現します。そして白は、平和への願いが込められています。中央には、四匹のグンマークロコダイルが円形に配置されており、人族、獣人、エルフ、ドワーフなど、種族を超えた調和を意味します」

 グンマークロコダイルだと!?
 国旗にグンマークロコダイル!?

 ルーナ先生を見ると、笑顔でサムズアップしてみせた。

「ねえ、アンジェロ。種族を超えた調和は良いけど、なんでグンマークロコダイルなの?」

「ええと……アルドギスル兄上……それはですね……」

 隣の玉座に座るアルドギスル兄上に、グンマークロコダイルが国旗に配置されている理由を聞かれて俺はしどろもどろだ。

 あの四匹のグンマークロコダイルは、マエバシ、タカサキ、イセサッキ、ミドリだろ!
 円形なのは、グンマーストリームアタックに違いない!

 くそっ!
 ルーナ先生にやられた!

 どうして、国旗にグンマーストリームアタックなのだ!
 あの国旗は、俺の子供たちも使うのだぞ!

 こうして正式に『グンマー連合王国』が発足した。
 俺は初代総長となり、マエバシたちは国旗の中で永遠に生き続けるのであった。

 じいが涙しているのは、俺の即位なのか、それともグンマーについてなのかは謎だ。
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