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第十一章 文明開化
第349話 新型機に必要なスペック
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――三日後。十一月上旬。
俺、ホレックのおっちゃん、リス族のキューは、王都キャランフィールド郊外にある飛行機の格納庫――ハンガーに集まった。
今日は、ブラックホークの実機を見ながら、開発前の意見交換だ。
垂直離着陸機能を持つブラックホークは、六人乗りの特殊作戦機だ。
パイロット、攻撃用魔道具を操作するガンナー、白狼族の特殊部隊員四名を乗せる。
パワーアップした魔導エンジンと下方向に魔力を放出し機体を宙に浮かせる翼。
そして、薄く伸ばしたミスリルによる魔力伝達回路。
「非常に優れた機体ですが、帆船に乗せるには大きすぎます」
今やトップ技術者のリス族のキューが、腕を組み考え込む。
俺が鹵獲した帆船は、マスト三本の大型船もあるが、横幅は最大八メートルくらいだった。
ブラックホークの翼とほぼ同じ横幅だ。
これでは搭載することは難しい。
「どうサイズダウンするかだよね。でも、サイズダウンしても必要な機能は、しっかり残したい」
俺はキューの言葉を引き継ぎ、どんなスペックが必要か考えた。
まず、垂直離着陸機能は必須だ。
現代の空母のように、広大な甲板や機体を加速させる蒸気カタパルトはないのだ。
俺は頭の中で、英国の海上戦闘機シーハリアーを思い浮かべた。
シーハリアーは、垂直離着陸機能を持つ英国海軍機で、アルゼンチンとの戦争――フォークランド紛争では、大型輸送船の上に耐熱マットを敷いて臨時の空母、臨時の着陸場所として運用した。
シーハリアーは亜音速機なので、エンジンを全開にしてもマッハには到達しない。
対するアルゼンチンの戦闘機は、フランス製のミラージュ戦闘機で音速機だった。
敵に比べて足の遅い機体なので、シーハリアーは役に立たないと思われていた。
しかし、フォークランド紛争では、レーダーが届かない場所の索敵、上陸部隊の援護、艦隊の護衛として活躍したのだ。
――コンバットプルーフ。
つまりシーハリアーは、戦場で役に立つことを証明して見せた。
俺は、これから開発するシーホークも活躍を期待している。
コンバットプルーフを得てくれれば嬉しい。
「垂直離着陸機能は必要だね」
「いや、待った! アンジェロの兄ちゃん、そうとは限らねえぞ。海で使うなら機体の下にボートを取り付けて、水に浮くようにしたらどうだ? 本にかいてあったぞ」
ホレックのおっちゃんが、アイデアを出した。
本とは、ハジメマツバヤシが持っていた地球の本だ。
俺が翻訳して、技術系の本はキューやおっちゃんに見せた。
「なるほど飛行艇か……。小型なら帆船に乗るかな?」
「どうかな? ただよ。ボートと飛行機がくっついた飛行艇は面白そうだろう?」
む……!
ホレックのおっちゃんは、単に飛行艇が作りたくて提案したようだ。
新しいもの好きめ!
ホレックのおっちゃんの提案、飛行艇には、リス族のキューが反対した。
「いや! 待ってください! 飛行艇では、ボートの分だけ重量が増します。ボートを軽い木材で作れば、強度が足りません。頑丈な目の詰まった木材を使えば、重くなります。機体が重くなれば、それだけ燃料の魔石が必要になる。航続距離が短くなりますよ」
「燃費は重要だね。航続距離は長くしたいな」
シーホークは、海上で運用する。
広大な海原では、索敵も重要な任務だ。
航続距離を長くして、長時間の稼働を確保したい。
「うーん。飛行艇はダメか」
「ホレックのおっちゃん。飛行艇は別の使い道があるだろうから、また別の機会に開発しよう」
「そうだな」
軽量なフロートや機体を帆船から海面に下ろすクレーンがあれば、小型の飛行艇を開発しても良かったが、飛行艇はお預けだな。
俺はシーホークに必要なスペックを絞り込むため、話の方向を変える。
「一人乗りで良いかな?」
「どうかな。二人乗りにした方が良いんじゃないか? 攻撃用の魔道具を後ろに積むだろう?」
「攻撃用の魔道具は積むけど、前に撃つようにすれば、一人乗りでも大丈夫だと思う」
「パイロットがガンナーを兼ねるのか? 操作が複雑にならねえか心配だな」
俺とホレックのおっちゃんで意見が割れた。
俺は現代の飛行機を意識しているので、単座で良いと考えたが、ホレックのおっちゃんは複座を推す。
「キューは、どう思う?」
「二人乗りが良いと思います。海の上には目印がないですよね? 方向がわからなくなったら、母艦に帰れなくなりませんか? であれば、二人で母艦を探すようにしておいた方が安全では?」
「「あー!」」
そうか!
レーダーもナビもないから、母艦の位置がわからなくなりやすい。
すると後部席はナビゲーター席にして、ナビゲートするための機械を開発しないとダメか?
母艦の位置を知る計測器機とか?
無線機とか?
「細かい所を詰めると、乗り越えなきゃならない技術的なハードルが意外とあるね」
「だな」
「まったくです」
俺、ホレックのおっちゃん、キューは、腕を組み、頭を抱え、あーだこうだと言い、新型機に必要なスペックを出していった。
まだ、前途多難だ。
だが、海賊が出ているから、あまり時間はかけられない。
「計測器機は、ラッキー・ギャンブルに相談してみるよ」
「ちっ! エルフの元締めか!」
「おっちゃん!」
「まあ、そういうのは、エルフの領域だな。任せるぜ!」
「ああ、おっちゃんとキューは、モックアップの制作に入ってくれ」
モックアップとは、実寸大の模型のことだ。
実機をくみ上げる前に、木材など加工が簡単な素材を使って、実物大の模型を作る。
後の作業を、ホレックのおっちゃんとキューに任せて、俺はエルフ族のラッキー・ギャンブルの元へ向かった。
計測器機は、エルフの知恵と魔道具の力を借りよう。
俺、ホレックのおっちゃん、リス族のキューは、王都キャランフィールド郊外にある飛行機の格納庫――ハンガーに集まった。
今日は、ブラックホークの実機を見ながら、開発前の意見交換だ。
垂直離着陸機能を持つブラックホークは、六人乗りの特殊作戦機だ。
パイロット、攻撃用魔道具を操作するガンナー、白狼族の特殊部隊員四名を乗せる。
パワーアップした魔導エンジンと下方向に魔力を放出し機体を宙に浮かせる翼。
そして、薄く伸ばしたミスリルによる魔力伝達回路。
「非常に優れた機体ですが、帆船に乗せるには大きすぎます」
今やトップ技術者のリス族のキューが、腕を組み考え込む。
俺が鹵獲した帆船は、マスト三本の大型船もあるが、横幅は最大八メートルくらいだった。
ブラックホークの翼とほぼ同じ横幅だ。
これでは搭載することは難しい。
「どうサイズダウンするかだよね。でも、サイズダウンしても必要な機能は、しっかり残したい」
俺はキューの言葉を引き継ぎ、どんなスペックが必要か考えた。
まず、垂直離着陸機能は必須だ。
現代の空母のように、広大な甲板や機体を加速させる蒸気カタパルトはないのだ。
俺は頭の中で、英国の海上戦闘機シーハリアーを思い浮かべた。
シーハリアーは、垂直離着陸機能を持つ英国海軍機で、アルゼンチンとの戦争――フォークランド紛争では、大型輸送船の上に耐熱マットを敷いて臨時の空母、臨時の着陸場所として運用した。
シーハリアーは亜音速機なので、エンジンを全開にしてもマッハには到達しない。
対するアルゼンチンの戦闘機は、フランス製のミラージュ戦闘機で音速機だった。
敵に比べて足の遅い機体なので、シーハリアーは役に立たないと思われていた。
しかし、フォークランド紛争では、レーダーが届かない場所の索敵、上陸部隊の援護、艦隊の護衛として活躍したのだ。
――コンバットプルーフ。
つまりシーハリアーは、戦場で役に立つことを証明して見せた。
俺は、これから開発するシーホークも活躍を期待している。
コンバットプルーフを得てくれれば嬉しい。
「垂直離着陸機能は必要だね」
「いや、待った! アンジェロの兄ちゃん、そうとは限らねえぞ。海で使うなら機体の下にボートを取り付けて、水に浮くようにしたらどうだ? 本にかいてあったぞ」
ホレックのおっちゃんが、アイデアを出した。
本とは、ハジメマツバヤシが持っていた地球の本だ。
俺が翻訳して、技術系の本はキューやおっちゃんに見せた。
「なるほど飛行艇か……。小型なら帆船に乗るかな?」
「どうかな? ただよ。ボートと飛行機がくっついた飛行艇は面白そうだろう?」
む……!
ホレックのおっちゃんは、単に飛行艇が作りたくて提案したようだ。
新しいもの好きめ!
ホレックのおっちゃんの提案、飛行艇には、リス族のキューが反対した。
「いや! 待ってください! 飛行艇では、ボートの分だけ重量が増します。ボートを軽い木材で作れば、強度が足りません。頑丈な目の詰まった木材を使えば、重くなります。機体が重くなれば、それだけ燃料の魔石が必要になる。航続距離が短くなりますよ」
「燃費は重要だね。航続距離は長くしたいな」
シーホークは、海上で運用する。
広大な海原では、索敵も重要な任務だ。
航続距離を長くして、長時間の稼働を確保したい。
「うーん。飛行艇はダメか」
「ホレックのおっちゃん。飛行艇は別の使い道があるだろうから、また別の機会に開発しよう」
「そうだな」
軽量なフロートや機体を帆船から海面に下ろすクレーンがあれば、小型の飛行艇を開発しても良かったが、飛行艇はお預けだな。
俺はシーホークに必要なスペックを絞り込むため、話の方向を変える。
「一人乗りで良いかな?」
「どうかな。二人乗りにした方が良いんじゃないか? 攻撃用の魔道具を後ろに積むだろう?」
「攻撃用の魔道具は積むけど、前に撃つようにすれば、一人乗りでも大丈夫だと思う」
「パイロットがガンナーを兼ねるのか? 操作が複雑にならねえか心配だな」
俺とホレックのおっちゃんで意見が割れた。
俺は現代の飛行機を意識しているので、単座で良いと考えたが、ホレックのおっちゃんは複座を推す。
「キューは、どう思う?」
「二人乗りが良いと思います。海の上には目印がないですよね? 方向がわからなくなったら、母艦に帰れなくなりませんか? であれば、二人で母艦を探すようにしておいた方が安全では?」
「「あー!」」
そうか!
レーダーもナビもないから、母艦の位置がわからなくなりやすい。
すると後部席はナビゲーター席にして、ナビゲートするための機械を開発しないとダメか?
母艦の位置を知る計測器機とか?
無線機とか?
「細かい所を詰めると、乗り越えなきゃならない技術的なハードルが意外とあるね」
「だな」
「まったくです」
俺、ホレックのおっちゃん、キューは、腕を組み、頭を抱え、あーだこうだと言い、新型機に必要なスペックを出していった。
まだ、前途多難だ。
だが、海賊が出ているから、あまり時間はかけられない。
「計測器機は、ラッキー・ギャンブルに相談してみるよ」
「ちっ! エルフの元締めか!」
「おっちゃん!」
「まあ、そういうのは、エルフの領域だな。任せるぜ!」
「ああ、おっちゃんとキューは、モックアップの制作に入ってくれ」
モックアップとは、実寸大の模型のことだ。
実機をくみ上げる前に、木材など加工が簡単な素材を使って、実物大の模型を作る。
後の作業を、ホレックのおっちゃんとキューに任せて、俺はエルフ族のラッキー・ギャンブルの元へ向かった。
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