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実家に向かう

猫族

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「ごめんごめん。ルパ、プリンを頼んで良いから許して」

「許す……。でも、バケツじゃないと許さない」

 ルパは小声でつぶやき、さらに大きな要求を言ってきた。

「すみませ~ん! バケツプリンを一つお願いしま~す!」

 僕は定員さんにプリンを注文する。

「逆にミアは身長が欲しいんだ?」

「は、はい。ルパちゃんくらい欲しかったです……。一六二センチくらいあれば完璧に近かったんですけどね……。一四五センチは低いです……」 

「ミアの身長が高かったらもう全身凶器だよ。でも身長が低くても犯罪臭がするし、胸が大きすぎるのも考え物だね。僕は好きだけど」

「もう、ニクスさんの言い方だと大きなおっぱいが好きって言っているようじゃないですか。ま、全然かまわないんですけど」

 ミアはプイっと視線を退け、すねてしまった。

「ごめんごめん。なんて言ったら許してくれる?」

「ミア、大好きだよ。今日の夜、いっぱい可愛がってやるからな、って言ってくれたら許してあげます」

 ミアはバケツプリンよりも難しいお題を叩きつけて来た。

「ミア、大好きだよ。今日の夜、いっぱい可愛がってやるからな……」

「きゃ~、可愛がられちゃいます~」

 ミアは甲高い猫なで声を出し、頬を赤らめる。

「ニクス、気持ち悪い。あとミアだけ可愛がるなんてズルい。私は可愛がってくれないの」

 ルパは頬を膨らましながら言う。

「ルパがいいって言うなら……。どれだけでも可愛がるんだけど……」

「ル、ルパちゃんはまだ早いよ。あとニクスさんの初めてはとってあるから安心して!」

「何言ってるの二人共?」

 僕とミアの話とルパの頭の中で物凄く大きな違いが生まれていた。

 バケツプリンを食べ終わったルパ、僕、ミアは料理屋さんを出て新たなお店を探す。

 何軒のお店を回っただろうか。数えきれないほど食べ歩き、ルパは満足した様子で宿のベッドに寝ころんでいる。

「はぁ~。お腹がパンパンになるまで多くの料理を一日で食べたのは初めて……。満腹すぎてお腹が重いよ~」

 ルパのお腹は赤子がいるのかと思うほど大きく、今にもはち切れそうだ。

「もう、ニクスさんのせいでルパちゃんのお腹が膨らんじゃったじゃないですか。ちゃんと責任取ってくださいよ」

 ミアはルパのお腹を摩りながら僕をからかってくる。

「も、もちろん。僕が責任を取るよ」

「な、何の責任を取るの……?」

 ルパは頭に? を浮かべ、ミアは笑っていた。ほんと、ミアのいじりには堪えるな。

 僕はルパの体をお風呂に連れて行って洗い、ベッドに再度寝かせるまで、責任をもって介護した。

 ルパのお腹が大きくなりすぎて動けなくなっていたのだ。食べ過ぎてお腹を壊さないように、プルスを臍の上に乗せておく。どうやら、胃腸の働きが活発になるらしい。

 僕とミアは二人でお風呂に入る。嫌な予感しかない……。

「はぁ~。ニクスさんと二人っきりのお風呂、何気に久しぶりな気がしますね。もしかすると初めてあった時のお風呂以来じゃないですか?」

「そうかもしれないね。というか、ミア、近いね……」

 ミアは僕の腕を肩に回し、体を密着させている。当たっている部分は背中なのでまだ耐えられているが、水面に浮かびそうになっている大きな脂肪が破壊力抜群で危ない。

「ニクスさんをもっと近くで感じたいと思いまして。嫌ですか?」

 ミアは琥珀色の瞳を潤わせながら僕の顔を見る。ルパに負けず劣らずの可愛さで、心臓が苦しくなる。ルパの言う通り、可愛い女の子なら誰でもいいのか……と自分の心に投げかけて、首を振る。

「ニクスさんの心臓、もの凄く脈打ってます……。この音、私、すごく安心してしまいます」

 ミアは愛くるしい猫耳を僕の胸に当てて心音を聞いていた。

 ミアの肩を掴んでいる手に力が入る。僕の胸にミアは唇を当ててきたのだ。下半身が無理やり起き上がらされてしまう。
 するとミアは僕の体に悪戯を始めた。今回は長かった……。

 もう、ミアの特別超奉仕と言ってもいいぐらい、体をいじめられた。体中の筋肉を解され、疲れが抜ける。もちろん疲れ以外もたくさん抜き取られたが、ミアが毎回喜ぶのでなぜか僕も嬉しくなった。

「はぁ、はぁ、はぁ……。やっぱり、ニクスさんは他の男性と全然違いますぅ……。形、大きさ、力強さ……、もうどこもかしこも血管が浮き上がっててすごいバキバキ……」

 ミアは僕の筋肉を触りながら鼻血を流してしまった。

 僕は興奮しすぎだと思い、布をミアの鼻に当てて止血する。

「もう、ミア。筋肉が好きすぎ……。僕の体は普通だって」

「な、なにいっへるんへるか。にくふはんのからだはとんでもないへふよ!」

 ミアは耳と尻尾を動かし、大きな声を出す。鼻を摘ままれているため、声がおかしく聞こえた。

「まぁ、他の騎士を見た覚えがないからわからないんだけどさ。他の人はどれくらいなの?」

「も、もう。核が違うと思いますよ。ニクスさんの体のどこに脂肪があるのかわからないくらいですからね。初めて見た時から思っていましたけど、こんな綺麗な筋肉見た覚えありません。唯一柔らかいのが大きくなる前のココと唇くらいなんじゃないですか~」

 ミアは笑いながら弄ってくる。

「ミア、本当はこういうことが大好きな女の子なんじゃないの?」

「ニクスさんのせいですよ。ニクスさんが私をこんな破廉恥にしちゃったんです。ニクスさんに褒められるのが嬉しくて嬉しくて仕方なくてもっといっぱい褒めてもらいたくて何でも頑張っちゃうんです。でも全然嫌じゃないのが不思議なんですよ。私も驚いています」

 ミアは嘘を言っていない。眼を見たらわかる。正直に話しをしている眼で、訴えかけていた。

「わかったわかった。そんなに向きに説明しなくても信じるよ。ミア、いつもありがとう。すごく助かってるよ。こんなに優しくて頼りになって破廉恥なメイドさんを持って僕は幸せ者だ」

 僕はミアを抱きしめながら頭を撫でる。
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