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仲間が増えた生活
温泉街
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その姿を見たルパとミアは僕の両脇に寄ってくる。僕の肩に頭を乗せ、尻尾を振っていた。
「どうしたの二人共?」
「ちょっと近寄りたい気分だっただけ……。別に何も期待してないから」
ルパはそっけない毒を吐き、しかめっ面を僕に見せる。
「ニクスさんを感じたかったので近づいちゃいました」
ミアは僕にくっ付きながら微笑む。
両者共に愛らしい。僕は二名の腰に手を回し、優しく抱き着く。お風呂に入った後なので、とても暖かく、良い匂いがした。
一五分ほど互いの温もりを感じていると、料理が運ばれてきた。ルパとミアは元の場所に戻り、大量の肉料理を前に涎を垂らしそうになっている。
しっかりと焼かれた肉から、生肉まで多種多様な料理が並べられており、とても美味しそうだ。ルパとミアは麦飯を片手に、箸を使い、肉を食していく。
「んんんんーーっ! 美味しいっ!」
ルパとミアは頬が落ちないように手で支え、満面の笑みを浮かべる。
二名が本気で喜んでくれて嬉しい限りだ。
僕は魚尽くしと言うことで、魚料理が大量に並んでいる。船に魚の切れ身がこれでもかと乗っている。塩辛い黒色のソースに付けて食べるらしく、箸で赤色の切れ身を摘まみ、ソースに付けて口に含む。
生魚を食すのは初めてに近しいが、とても美味しい。何と言うのだろう。とても柔らかい肉とでも言うべきか。魚は焼いて食べる品と言うのが根本から覆されるほど美味しい。
生魚は寄生虫の宝庫らしく、調べないとお腹を下すらしい。だが、僕にとってはのど元過ぎれば何もかも焼かれて消滅するため、生魚と相性が良さそうだ。
イカやエビなども生で食す。ほんと麦飯が進む。何がすごいのかと思ったら黒いソースだった。もちろん、魚の新鮮さも素晴らしいが、塩味が利いた黒色のソースが魚の臭みを消し、うま味を引き出している。
大きな船の中に入っている生魚は全て食し、揚げ物や煮つけ、塩焼きなど魚料理を堪能した。肉と同じくらい美味しく、また食べたくなる味だった。
プルスは巨大などんぶりに注がれた麦飯をすべて燃やし、灰にした後、どんぶりに飛び込み、ついばんでいた。
肉尽くし、魚尽くしを食べ終えた僕達は大満足。夕食は離れで提供されるので、どんな品が来るのか楽しみでならない。
「ニクス、ニクスっ! 外に行こう!」
ルパは僕の背中に抱き着いてきて元気に尻尾を振った。
「そうだね。竜の谷巡りをしようか」
僕はルパを背負いながら立ち上がり、驚かせる。ルパは僕にくっ付いて離れなかった。
僕とルパ、ミアは竜の谷を歩く。少し歩いていると、足湯と書かれた小さな浴槽があった。浴槽の周りに人が座っており、足をお湯につけていた。僕たちも試しにやってみる。お湯の温度が全身に浸かるお湯よりも一段階高く、表面が赤くなる。血流が促進されまくっているようだ。
「ひぃー、熱いよー」
「足の疲れがじんわりほぐれていくのがわかります……」
ルパはお湯が熱く、長い間、入れておけなかった。プルスが足を乾かし、靴下を付けて靴を履く。僕とミアは少し長めに浸かり、足を暖めた。
ルパは暇になり、僕に抱き着いて離れなくなる。面倒な性格だ。暇になったら構ってほしいのだろう。
足がしっかりと温まったら足湯を十分堪能したとして上がる。指先に流れる血液まで感じられ、血管が開いたのがわかった。
「ふぅー、足湯だけでも体が楽になった気がするね」
「本当ですね。さっきもお風呂に入りましたけど、また違った心地よさでした」
僕とミアは互いの脚を見せ合い、赤くなった肌を冷ます。
「むぅ、二人だけ楽しんでるのずるい……」
ルパは腕に力を入れ、僕の体にこれでもかと抱き着いてくる。どれだけくっ付けば気が済むんだと言うくらい……。
「もう、ルパ。あんまり抱き着かれると苦しいんだけど」
「ふんっ、私だけ除け者にするのが悪い。親友なんだから、仲間外れにしないでよ」
ルパは視線を背け、ツンツンし始める。さっきまでデレデレだったのに。
「別に除け者にしているわけじゃないよ。ルパが苦手なことをしているだけさ。だから、そんなに怒らないで。次を楽しんで行こうよ」
「むぅ……。わかった。次は私も楽しむ」
ルパは僕から離れ、立ち上がる。僕も靴下と靴を履き、立ち上がった。表面が冷めた足の内部がじんわりと熱い。脚が軽いような気がする……。お湯に足を付けただけでも疲労回復の効果があった。
竜の谷を移動していると、露店や屋台が並んでいた。串焼きや煮物、麺類料理などが並んでいる。先ほど昼食を得たばかりなのに、お腹が鳴った。
「に、ニクス……。肉串食べたい。肉まんと肉巻き、いっぱいいっぱい食べたい……」
ルパは涎をじゅるりと吸い、食欲を隠しきれていない。辺りを見渡すと、食べ歩きをしている方や屋台でお酒を飲みながら談話している者もいる。外は気温が低いと言うのに……。
僕は屋台で肉料理をかたっぱしから買った。四人前をいくつも買って行くと、長い通りを通過するころにはお腹が膨れ、体が暖かくなっていた。
ルパは足湯で損ねた機嫌を直し、今では尻尾が揺れまくっている。肉まんを頬張り、満面の笑みだ。
「ニクスさん、串焼きを食べさせてください……。あー」
僕はミアに串焼きを食べさせる。ミアは食べさせてもらうのが癖になってしまったのか、少々エロっちい表情で、おねだりしてくるようになってしまった。舌をチロリと出し、あいらしい表情が色気むんむんになる。
僕はミアの頬を撫で、手の冷たさを彼女の体温で温める。
屋台通りを抜けると、壁からお湯が流れている景色を見つけた。白い湯気が立ち昇っており、幻想的だ。どうやら飲める温泉らしく、柄杓が置かれており、自由に試飲していいようだ。
「どうしたの二人共?」
「ちょっと近寄りたい気分だっただけ……。別に何も期待してないから」
ルパはそっけない毒を吐き、しかめっ面を僕に見せる。
「ニクスさんを感じたかったので近づいちゃいました」
ミアは僕にくっ付きながら微笑む。
両者共に愛らしい。僕は二名の腰に手を回し、優しく抱き着く。お風呂に入った後なので、とても暖かく、良い匂いがした。
一五分ほど互いの温もりを感じていると、料理が運ばれてきた。ルパとミアは元の場所に戻り、大量の肉料理を前に涎を垂らしそうになっている。
しっかりと焼かれた肉から、生肉まで多種多様な料理が並べられており、とても美味しそうだ。ルパとミアは麦飯を片手に、箸を使い、肉を食していく。
「んんんんーーっ! 美味しいっ!」
ルパとミアは頬が落ちないように手で支え、満面の笑みを浮かべる。
二名が本気で喜んでくれて嬉しい限りだ。
僕は魚尽くしと言うことで、魚料理が大量に並んでいる。船に魚の切れ身がこれでもかと乗っている。塩辛い黒色のソースに付けて食べるらしく、箸で赤色の切れ身を摘まみ、ソースに付けて口に含む。
生魚を食すのは初めてに近しいが、とても美味しい。何と言うのだろう。とても柔らかい肉とでも言うべきか。魚は焼いて食べる品と言うのが根本から覆されるほど美味しい。
生魚は寄生虫の宝庫らしく、調べないとお腹を下すらしい。だが、僕にとってはのど元過ぎれば何もかも焼かれて消滅するため、生魚と相性が良さそうだ。
イカやエビなども生で食す。ほんと麦飯が進む。何がすごいのかと思ったら黒いソースだった。もちろん、魚の新鮮さも素晴らしいが、塩味が利いた黒色のソースが魚の臭みを消し、うま味を引き出している。
大きな船の中に入っている生魚は全て食し、揚げ物や煮つけ、塩焼きなど魚料理を堪能した。肉と同じくらい美味しく、また食べたくなる味だった。
プルスは巨大などんぶりに注がれた麦飯をすべて燃やし、灰にした後、どんぶりに飛び込み、ついばんでいた。
肉尽くし、魚尽くしを食べ終えた僕達は大満足。夕食は離れで提供されるので、どんな品が来るのか楽しみでならない。
「ニクス、ニクスっ! 外に行こう!」
ルパは僕の背中に抱き着いてきて元気に尻尾を振った。
「そうだね。竜の谷巡りをしようか」
僕はルパを背負いながら立ち上がり、驚かせる。ルパは僕にくっ付いて離れなかった。
僕とルパ、ミアは竜の谷を歩く。少し歩いていると、足湯と書かれた小さな浴槽があった。浴槽の周りに人が座っており、足をお湯につけていた。僕たちも試しにやってみる。お湯の温度が全身に浸かるお湯よりも一段階高く、表面が赤くなる。血流が促進されまくっているようだ。
「ひぃー、熱いよー」
「足の疲れがじんわりほぐれていくのがわかります……」
ルパはお湯が熱く、長い間、入れておけなかった。プルスが足を乾かし、靴下を付けて靴を履く。僕とミアは少し長めに浸かり、足を暖めた。
ルパは暇になり、僕に抱き着いて離れなくなる。面倒な性格だ。暇になったら構ってほしいのだろう。
足がしっかりと温まったら足湯を十分堪能したとして上がる。指先に流れる血液まで感じられ、血管が開いたのがわかった。
「ふぅー、足湯だけでも体が楽になった気がするね」
「本当ですね。さっきもお風呂に入りましたけど、また違った心地よさでした」
僕とミアは互いの脚を見せ合い、赤くなった肌を冷ます。
「むぅ、二人だけ楽しんでるのずるい……」
ルパは腕に力を入れ、僕の体にこれでもかと抱き着いてくる。どれだけくっ付けば気が済むんだと言うくらい……。
「もう、ルパ。あんまり抱き着かれると苦しいんだけど」
「ふんっ、私だけ除け者にするのが悪い。親友なんだから、仲間外れにしないでよ」
ルパは視線を背け、ツンツンし始める。さっきまでデレデレだったのに。
「別に除け者にしているわけじゃないよ。ルパが苦手なことをしているだけさ。だから、そんなに怒らないで。次を楽しんで行こうよ」
「むぅ……。わかった。次は私も楽しむ」
ルパは僕から離れ、立ち上がる。僕も靴下と靴を履き、立ち上がった。表面が冷めた足の内部がじんわりと熱い。脚が軽いような気がする……。お湯に足を付けただけでも疲労回復の効果があった。
竜の谷を移動していると、露店や屋台が並んでいた。串焼きや煮物、麺類料理などが並んでいる。先ほど昼食を得たばかりなのに、お腹が鳴った。
「に、ニクス……。肉串食べたい。肉まんと肉巻き、いっぱいいっぱい食べたい……」
ルパは涎をじゅるりと吸い、食欲を隠しきれていない。辺りを見渡すと、食べ歩きをしている方や屋台でお酒を飲みながら談話している者もいる。外は気温が低いと言うのに……。
僕は屋台で肉料理をかたっぱしから買った。四人前をいくつも買って行くと、長い通りを通過するころにはお腹が膨れ、体が暖かくなっていた。
ルパは足湯で損ねた機嫌を直し、今では尻尾が揺れまくっている。肉まんを頬張り、満面の笑みだ。
「ニクスさん、串焼きを食べさせてください……。あー」
僕はミアに串焼きを食べさせる。ミアは食べさせてもらうのが癖になってしまったのか、少々エロっちい表情で、おねだりしてくるようになってしまった。舌をチロリと出し、あいらしい表情が色気むんむんになる。
僕はミアの頬を撫で、手の冷たさを彼女の体温で温める。
屋台通りを抜けると、壁からお湯が流れている景色を見つけた。白い湯気が立ち昇っており、幻想的だ。どうやら飲める温泉らしく、柄杓が置かれており、自由に試飲していいようだ。
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