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仲間が増えた生活

地盤作り

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 なにやら柔らかい感触が口に当たり、僕は目を覚ました。どうやら、ミアの目覚ましのキスだったらしく。今も続いている。少々長すぎる気もするが減るものでもないので良いだろう。

「はぁ、はぁ、はぁ……。ニクスさん。おはようございます……」

「おはよう。久しぶりにミアの方が早く起きたんだね」

「やっぱり、こっちだと起きられるみたいです。ニクスさんの寝顔を見られて嬉しくなっちゃいました……。ニクスさん、もう一回……」

「ちょ、ミア……」

 ミアはお替りと言わんばかりに、僕の唇にしゃぶりついてくる。仕方がないので、ミアの体を抱きしめながら後頭部を撫でてあげると、大変喜んだ。

 冬の間は勉強に鍛錬、遊び、料理、などに時間を使った。

 四月八日、春になり、暖かくなってきた。
 雪が溶け始め、過ごしやすい季節となって来た頃……。僕とルパ、ミアは大きな黒板にチョークで絵を描いていた。何を隠そう、新居の設計図だ。二階は作らず平屋にする。それだけで、作りやすさが断然違う。

「よし、じゃあ、皆で家を作ろう」

「おーっ!」

 僕達は簡易的な家ではなく、本気で作るとことにした。寝るための家はあるので、時間をどれだけかけても全く問題ない。
 まずは地盤作りから始めた。どれだけの大きさにするかを考え、二五メートル四方の地面を固める銅や鉄の杭を刺して地盤を支える方法が一般的だ。なので、僕達は金属を集めまくった。生憎、近くに噴火した鉱山があるので、鉄や銅は簡単に手に入る。

 炭鉱を作り、岩から銅を沢山採取した。ルパとミアは何のために銅を集めているのかわかっていなかったので、簡単に説明した。

「地面が緩いと家を建てた時に傾くことがあるんだ。それを防止するために、硬い地面まで杭を差し込んで家を支える土台を作るために、銅を沢山集めているんだよ」

「なるほど。でも、集めすぎじゃない……」

 ルパは炭鉱の外に出された銅の山を見る。
 手押し車何台分の金属が集まっただろうか。わからないが、足りない可能性もあるので、沢山集めておいて損はない。

 プルスの炎だと熱すぎて全て灰になってしまうので、僕のファイアで銅を溶かしていく。僕が出せるファイアはプルスの炎よりも制御が利きやすい。そのため、銅が溶ける温度を維持させることが出来た。

 プルスが浮かせる炎の鍋にどろどろに溶けた銅が入っており、とりあえず三〇メートルの銅の柱を作るため、灰と木で型を作った。

 直径三〇センチメートルの銅柱を一本作るころには七日経っていた。
 銅柱を地面に差し込んでいくわけだが、あらかじめ穴をあけて置き、その中に入れる。穴をあける際、プルスの作った炎の槍で地面を焼き、灰にして開けた。その中に銅柱を入れていくと、五メートル付近ですでに銅柱が入りにくくなった。この土地の地盤は相当固いらしい。無理やり差し込み、ハンマーで思いっきり叩いても動かなくなった一五メートルで、焼き切る。
 二五メートルさきの地面にも同じように銅柱を差し込んでいく。ほぼ同じだけ入り、あと三本ほど差しこんで、平らにならすコンクリートを敷けば地盤の強化は完成だ。

 七日掛け、銅柱を作り、地面に突き刺す作業に加え、石灰、水、砂利、砂を大量に集める。石灰は鉱山で生憎沢山取れた。水と砂利、砂は問題なく集められた。

「はぁ、はぁ、はぁ。もう、土を掘るの疲れたー。こんなことしていたら奴隷時代を思い出しちゃうよー」

 ルパは二五メートル四方の端をスコップで掘っていた。

「四つの面を掘ってしまえば、あとはプルスが燃やしてくれるから、頑張って」

「うぅ、はーい。頑張ればいいんでしょ、頑張ればー!」

 ルパは一メートルの溝を掘り、二五メートル四方の範囲がとてもわかりやすくなった。プルスが溝に入り、火を履くと面積内の土がどんどん燃えて灰になっていく。荒野に窪んだ場所が出来上がり、その中に大量のコンクリートを流し込んでいく作業に入りたいが、材料が全く足らなかった。
 特に石灰が足らず、街で購入。二五メートル四方、一メートルの高さとなると、体積は六二五立方メートルとなる。とんでもない量の石灰が必要だ。

 六二五立方メートルの敷地をコンクリートで埋めるために必要な素材の量は石灰、六二五〇〇キログラム。水、一二五〇〇〇リットル。砂、二九四一一八キログラム。砂利、三九〇六二五キログラムと一朝一夕で集まる量ではなかった。まあ、川の水辺には砂利と砂、水が一気に取れるので心配はない。

「はぁ、はぁ、はぁ……。ほんと、とんでもないことをしている気がする……」

 ルパは大きな桶に砂を入れ、運んでいた。

「本当だね……。あの凝り性のニクスさんを本気にさせちゃったのが悪いのかも……」

 ミアもルパと同じ桶を持ち、砂を運ぶ。雨が降る梅雨の前に地盤を固める作業はやってしまいたい。

 ルパとミアは獣族のため、力が強く、とても助かっている。僕一人で行っていたらとんでもない時間がかかっていた。
 彼女たちの服装は水着のような面積の少ない恰好だった。作業服を着ると汗を大量に掻くのと、動きづらいのが嫌なのだそう。肌を露出したくないミアもルパと近しい恰好をしている。もう、砂利運びや砂運びだけで鍛錬になるため、剣を振ったりする行為はしていない。家を作りながら体を鍛えられるなんてとても効率がいいと気づいてしまったのだ。

「ルパ、ミア。昼休憩にしよう」

「はあー、やっと休憩。なんか、普通の鍛錬よりも疲れるよー」

 ルパは地面にドカッと寝転がり、息を上げていた。僕は桶に入っている冷たい水をルパの顔に掛ける。すると、髪をグシャグシャと洗い、体全体であびた。その後、体を震わせ、水気を飛ばす。土や砂まみれだったのでとても綺麗になった。

「気持ちよかった。もっと、水を掛けてほしい」

「あんまりすると、風邪をひくからこのくらいにしておきな。手洗いうがいをした後、昼食にするよ」

「はーいっ!」

 僕は麦飯を炊き、厚切りの肉と甘辛いソース、目玉焼きなど、力に変わる品を作り、ルパとミアに食べさせる。僕の料理も幾分かましになり、ルパとミアは美味しそうに食べてくれた。
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