殿下、妃殿下。貴方がたに言われた通り、前世の怨みを晴らしに来ましたよ

柚木ゆず

文字の大きさ
23 / 30

13(2) エリル・ハーマ視点

しおりを挟む
「「? ?? ???」」

 理解に苦しむ出来事が連続し、わたくし達は揃ってポカンとしてしまう。
 ぇ……? え……?

「陛下が敬意? 内密? 前世の怨み? なにが、どうなってますの……?」
「3つの疑問について、順番に答えましょう。1つ目、なぜ公爵家と伯爵家の人間に敬意を払っているか。それは僕達が、ヴィクトル・ハマンとミリヤ・アリネス――かつての王族と、その婚約者の生まれ変わりだからですよ」

 カウスズ様が右手を上げ、人差し指がゆっくりと立った。

「ヴィクトル、ミリヤ……。君達が、あの罪人達……?」
「『罪人』、そうですね、今は、その認識で構いません。僕達は昔の王族関係者なので、あのような態度を取ってくださっているのですよ」
「まっ、待ってくださいなっ。陛下は、どうして信じていますのっ!? そんな荒唐無稽な内容を、どうしてあっさりと信じてますのっ!?」
「それはこの裁判が終わったあと、私達に教えてくださるそうです。その理由はまだこちらも分かりませんので、次に移りますね」
「疑問の2つ目。なぜ、突如オフレコになっているのか。それは僕達が、陛下に依頼をしたからですよ」

 ヴィクトル様が指が動き、人差し指の隣にある中指が立った。

「貴方達が死刑となる前に・・・・・・・、どうしても四人で話をしたかったんです。そのため、この時間を設けていただきました」
「し、死刑……!? ちっ、違うっ!! そうじゃないんだ!! 何かの間違いなんだっ!!」
「サーヤ様っ!! 貴女まで疑うんですのっ!? だっ、騙されないでくださいなっ!! わたくし達は決して――」
「いえ、騙されてなんていませんよ。なぜならその『間違い』を仕組んだのは、私達なのですから」

 ……………………。
 さ、さーやさま、たちが……? しくんだ……?

「あの日婚約発表をしたのも、その際に貴方がたの傍に居続けたのも、全てこの為なのですよ。自然に貴方がたを処せるように、動いていたのですよ」
「なっ、なぜだ!? なぜ俺達をそんな目に遭わせるんだ!?」
「わたくし達が、なにをしましたの……っ!? 何をしたというんですの……!?」
「その答えが、3つ目になります。僕達が、『俺達をそんな目に遭わせる』理由。それはかつて貴方達が、僕達を嵌めたからですよ」

 最後の指が――薬指が上がり、ヴィクトル様の瞳が鋭く細まった。

「貴方がたが今受けている濡れ衣を、僕らは貴方がたによってかけられたのですよ。そうして僕達は咎人となり、処刑されてしまいました」
「その際に貴方達は、仰ったのですよ。『そんなに許せないのなら、復讐しに来るといいですわ。来世で』。『もしも来世があるのならばその時は素直に復讐されてあげますわ。思う存分、その恨みを晴らしてくださいな』。『折角だ、ヴィクトルと一緒に来るがいい。その日を楽しみに待っているぞ、はははははははははっ!』。と」
「なのでこうして、二人一緒に来たのですよ。ロドリグ兄さん、レーファ義姉さん」

 !!

 その名前を呼ばれた瞬間、わたくしに――アルズ様にも金槌で頭を殴られた衝撃が走り、間欠泉の如く記憶が蘇っってきた。

『ふふふ、残念だったなヴィクトル。俺は、弟を過小評価しない。「力」を使って、保険を用意していたのだよ』
『ミリヤさん、貴方も残念でしたわね。逆に貴女達が犯罪者で、どう足掻いても逆転はできませんわよ?』

『上手くいって良かった。もう安心だよ、レーファ』
『わたくし達はもうじき国王夫婦となって、二人は王族の恥部として歴史に刻まれる。素晴らしい結末ですわね、ロドリグ様』

 そうだ。そうですわ。
 わたくし達は、そうだった……っ。わたくし達はかつての国王夫婦、レーファとロドリグ……!

しおりを挟む
感想 133

あなたにおすすめの小説

【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。

金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。 前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう? 私の願い通り滅びたのだろうか? 前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。 緩い世界観の緩いお話しです。 ご都合主義です。 *タイトル変更しました。すみません。

【完結】消えた姉の婚約者と結婚しました。愛し愛されたかったけどどうやら無理みたいです

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベアトリーチェは消えた姉の代わりに、姉の婚約者だった公爵家の子息ランスロットと結婚した。 夫とは愛し愛されたいと夢みていたベアトリーチェだったが、夫を見ていてやっぱり無理かもと思いはじめている。 ベアトリーチェはランスロットと愛し愛される夫婦になることを諦め、楽しい次期公爵夫人生活を過ごそうと決めた。 一方夫のランスロットは……。 作者の頭の中の異世界が舞台の緩い設定のお話です。 ご都合主義です。 以前公開していた『政略結婚して次期侯爵夫人になりました。愛し愛されたかったのにどうやら無理みたいです』の改訂版です。少し内容を変更して書き直しています。前のを読んだ方にも楽しんでいただけると嬉しいです。

【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

【完結】巻き戻したのだから何がなんでも幸せになる! 姉弟、母のために頑張ります!

金峯蓮華
恋愛
 愛する人と引き離され、政略結婚で好きでもない人と結婚した。  夫になった男に人としての尊厳を踏みじにられても愛する子供達の為に頑張った。  なのに私は夫に殺された。  神様、こんど生まれ変わったら愛するあの人と結婚させて下さい。  子供達もあの人との子供として生まれてきてほしい。  あの人と結婚できず、幸せになれないのならもう生まれ変わらなくていいわ。  またこんな人生なら生きる意味がないものね。  時間が巻き戻ったブランシュのやり直しの物語。 ブランシュが幸せになるように導くのは娘と息子。  この物語は息子の視点とブランシュの視点が交差します。  おかしなところがあるかもしれませんが、独自の世界の物語なのでおおらかに見守っていただけるとうれしいです。  ご都合主義の緩いお話です。  よろしくお願いします。

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。 本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。 初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。 翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス…… (※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)

【完結】この運命を受け入れましょうか

なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」  自らの夫であるルーク陛下の言葉。  それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。   「承知しました。受け入れましょう」  ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。  彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。  みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。  だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。  そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。  あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。  これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。  前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。  ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。     ◇◇◇◇◇  設定は甘め。  不安のない、さっくり読める物語を目指してます。  良ければ読んでくだされば、嬉しいです。

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

処理中です...