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第4話 パーティー当日 ジゼル視点(1)

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「はっはっはっ。はーっはっはっはっ! 見たかジゼル! これがバフェテンス家だ!」

 午前5時半過ぎ。当主ノリス様の生誕パーティーが始まってから、およそ三十分が過ぎた頃でした。私はコルベット様の指示で会場の隅へと一時的に寄っていて、そんな私の隣ではコルベット様が大笑いをしていました。

「王太子殿下や大公閣下が、直々にいらっしゃる。更には、祝福してくださる。こんなことを行っていただける人間なんて、極々一部。父上や俺は、そんな一握りの中に居るんだ。どうだっ、すごいだろう!」

 この方が私をここへと呼び寄せたのは、こうして自慢をしたかったから。人気(ひとけ)の多い場所にいると存分に誇れないので、このためだけにわざわざ移動させたのです。

「まさに、選ばれし者。お前もそう思うだろう? そんな偉大な人間の婚約者となれて嬉だろうっ?」
「はい。幸せでございます」

 今まではそんなお姿を『素敵』だと感じ、瞳を輝かせて同意していました。
 ですが魅力というフィルターがなければ、真逆。無様な姿として映っていて、私は心の中でため息をつきながら同意をしました。

「お前の家は平凡な伯爵家だったのに、俺に気に入られたから仲間入りを果たせるんだ。よかったな、ジゼル」
「はい。感謝しております」
「お前は運がいい。本当に運がいい! は~っはっはっはっ!」

 お酒が少し入っているから――では、ありません。今日も今日とてコルベット様は驕り高ぶり、強要をして、今日の私は内心呆れながらお返事をしてゆきます。

 すごいだろう! すごいだろうっ! すごいだろうっ!!

 そのあとも自慢は休みなく飛び出し、5分後ようやく終了。満足されたコルベット様は大きく胸を張り、再び会場の中心へと戻ってゆきました。
 ですので――そうしたくはありませんが、今はまだ婚約者ですので仕方がありません。小さく息を吐いたあと、コルベット様を――

「こんばんは。想像以上に酷いパーティーだね」

 ――コルベット様を、追いかけようとしていた時でした。不意に背後から、聞き覚えのある声が響いてきたのでした。

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