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第3話 大間違い レナエル視点(1)
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「うふふ。『どうして気付かれてしまったの……!?』、そう思っているみたいですわね。わたくしが気付けた理由は、レナエル。貴方が勝手に教えてくれたからですわ」
頭を一度リセットするためにお花を眺めていて、つい眠ってしまったあとでした。
『…………オーガスティン・テデファリゼ様……。……………………す、き……。………………だい、すき…………。…………あしたは、たのしみ……』
私は寝言でそう呟き、それを聞いてこの子は『私がオーガスティン様を好き』だと確信したそうです。
「ずっと上手く隠していたみたいだけれど、ザンネンでした。眠ってる時は無防備で、思っているコトがぜ~んぶ出ちゃっていたんですのよ」
「……………………」
それは、違います。そちらは恐らく昨夜告げられた言葉の一部で、私はオーガスティン様の言葉を反芻してしまっていただけです。
「副会長と会計だけど、単なる生徒会仲間だった。それは大間違いで、知らない間にあ~んな仲になって、あんなコトを企んでいただなんてね。わたくしもお父様もお母様も、まんまと騙されましたわ」
「……………………」
それも、違います。確かに私には考えていることがありますが、それはお父様達にオーガスティン様との婚約を邪魔させないためのものではありません。
「で・も、気付いたからもう無理。しかもね、レナエル。婚約や結婚を阻止されるだけじゃなくて、貴方はこれから大好きな人を奪われることになってしまいますのよ」
ソレはきっとこの子に、『私が関わるとよく見えるようになる』性質があるからだと思います。今までなんとも感じなかったオーガスティン様が『一番の男性』と感じるようになり、婚約したいと強く願うようになっているそうです。
「オーガスティン様もまたレナエルを想っているのは、分かっていますわ。でもわたくしなら、そんな状況下でも願いを叶えることが出来るんですわ」
「……………………」
「ふふふふふ。今度は、『どうするつもりなの……?』と思っているみたいですわね。だから優しいわたくしは、丁寧にこれから行うことを教えてあげますわ」
そこも違っていて、あまりにも予想外なので唖然としてしまっているだけです。けれどザラは自信満々に頷き、肩越しに斜め後ろを見やりました。
そうすれば――
頭を一度リセットするためにお花を眺めていて、つい眠ってしまったあとでした。
『…………オーガスティン・テデファリゼ様……。……………………す、き……。………………だい、すき…………。…………あしたは、たのしみ……』
私は寝言でそう呟き、それを聞いてこの子は『私がオーガスティン様を好き』だと確信したそうです。
「ずっと上手く隠していたみたいだけれど、ザンネンでした。眠ってる時は無防備で、思っているコトがぜ~んぶ出ちゃっていたんですのよ」
「……………………」
それは、違います。そちらは恐らく昨夜告げられた言葉の一部で、私はオーガスティン様の言葉を反芻してしまっていただけです。
「副会長と会計だけど、単なる生徒会仲間だった。それは大間違いで、知らない間にあ~んな仲になって、あんなコトを企んでいただなんてね。わたくしもお父様もお母様も、まんまと騙されましたわ」
「……………………」
それも、違います。確かに私には考えていることがありますが、それはお父様達にオーガスティン様との婚約を邪魔させないためのものではありません。
「で・も、気付いたからもう無理。しかもね、レナエル。婚約や結婚を阻止されるだけじゃなくて、貴方はこれから大好きな人を奪われることになってしまいますのよ」
ソレはきっとこの子に、『私が関わるとよく見えるようになる』性質があるからだと思います。今までなんとも感じなかったオーガスティン様が『一番の男性』と感じるようになり、婚約したいと強く願うようになっているそうです。
「オーガスティン様もまたレナエルを想っているのは、分かっていますわ。でもわたくしなら、そんな状況下でも願いを叶えることが出来るんですわ」
「……………………」
「ふふふふふ。今度は、『どうするつもりなの……?』と思っているみたいですわね。だから優しいわたくしは、丁寧にこれから行うことを教えてあげますわ」
そこも違っていて、あまりにも予想外なので唖然としてしまっているだけです。けれどザラは自信満々に頷き、肩越しに斜め後ろを見やりました。
そうすれば――
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