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第7話 大好きな方の幼馴染からの、楽しい? お誘い ザラ視点(4)

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「だからだから、だからね、わたしは邪魔をされたくないの。邪魔を許さないの。だから貴方にはね、これから出す選択肢のどちらかを選んでもらうわ」

 光りがまったくない瞳がわたくしの両目を射抜き、視界の隅では右手の指は2本上がった……。

「選択肢その1、『関係を絶つと約束して金輪際オーガスティンに近づかない』。選択肢その2.『関係を持ち続けると返事をして、わたしに消される』。貴方にはこの二つから、選んでもらうことになるの」
「…………………………」
「本当ならね、ここまで関係を進展させていたメスは迷わず有無を言わさず殺してるの。でも貴方のお姉様に以前ご迷惑をかけてしまったから、そのお詫びで大サービス。特別に、生き残れる選択肢をあげる」

 よ、よく分からないけど……。レナエルと、以前何かがあって……。
 チャンスを、もらっていたみたい…………。

「メス、貴方はラッキーよ。さあ、どうする? わたしとしては、ふひひっ、後者を選択してくれると嬉しいのだけど――。どちらを選ぶ?」
「1つ目です! 1つ目を選ばせていただきます!! 関係を絶つと約束して金輪際オーガスティン様に近づかないという方を選ばせていただきますわ!!」

 こっちは子爵家であっちは侯爵家、そんなものは関係ない。例えこの方が格下の男爵家であったとしても、わたくしは即座にこう答えていた。

 だって、マリー様は危険なんですもの……。

 この方に、常識は通用しない。
 目的を果たすためなら、どんなことでも平然と行って、完遂させてしまう。そう確信できる迫力が――狂気が溢れているから……。
 わたくしは無意識的に両膝を突き、大粒の涙を零しながらマリー様を見上げた。

「あらザンネン。お仕置きをしたかったのだけれど、それなら仕方がないわ。レナエル様に免じて許してあげる」
「あっ、ありがとうございますっ! ありがとうございますっ!!」
「じゃあ至急、オーガスティンに――オーガスティンは明日まで、お家の用事で忙しかったわね。……きっと疲れているでしょうし、ゆっくり休ませてあげないといけないものね。明日登校したてオーガスティンに会ったらすぐ、交際解消を伝えなさい」
「はいっ! はいっっ! 承知いたしました!!」
「その様子なら杞憂だと思うけど、決してオーガスティンに告げ口をしては駄目よ? もちろん、わたしに関することもNG。約束を破ったら、早く死にたくなるような目に遭わせるわよ?」
「そんな真似は致しません!! どちらも口外いたしません!!」

 わざわざ地獄に落ちることなんて、するはずはない! なので即座に首を振って反故にしないと誓い、そうしたらようやく解放されることになって…………。

「じゃあ明日のお昼休みに、またここで待っているわ。念のために、報告しに来なさい」
「はぃっ!! はぃぃっ!! はぃぃぃっ!! しっ、失礼致しますっっ!!」

 何度も何度も頭を下げたあと、逃げるようにその場を去ったのでした……。


 〇〇


 そうしてボロボロになって、お屋敷に戻ったザラでしたが――。父と母に抱き締められながら慰められていた彼女に、とある問題が浮上してしまうのでした――。

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